「ギヤマンの欠片(かけら)」No.13

「ボーッと黄昏れてんじゃねぇよ~っ!中高年癒しの楽園ラジオ」7月4日(火)からFM WATCH 78.5MHz 毎週火曜日15:00~16:00で始まります‼(※詳しくは、6月19日のブログをご覧ください)

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まずはぼくの楽曲「花筏」をお聴きいただきつつ、物語の世界をお訪ねいただければこの上なく幸せです。

「ギヤマンの欠片(かけら)」No.13

お藤の膝頭の前には、ギヤマンの欠片が既に五片ほど繋ぎ合わされていた。

小さな欠片同士が、寸分の狂いも無く、隣り合わせに並んでいる。

写真は参考

「その隣は、この欠片ではないか?」

喜八郎はお藤の脇に坐し、幾つかの欠片の中から、一欠片を摘み上げ、お藤の目線の先へと翳した。

写真は参考

お藤は畳から目を上げ、喜八郎を見詰めながら、ニコリと微笑んだ。

そして喜八郎に、欠片を宛がうよう目で促す。

「なんと。わたしには、ぴたりと合わさるようにしか、見えぬというのに…。しかしどう向きを変えてみたところで、合わぬものは…合わぬか……」

喜八郎が手こずる姿を見詰め、お藤がクスリと声を上げて笑った。

写真は参考

「お藤!お前、今…」

志乃は急に、咽ぶように泣き崩れた。

「この子は不憫な子でございましてな…。今年の桜が咲き始めた頃、うちの人が高遠藩の江戸上屋敷に、絵皿をお届けに上がったんですよ。ですがね、そしたらそれっきり、パッタリ戻らなくなっちまって…」

喜八郎は思わず絶句し、惣兵衛と定安の顔を窺った。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「ギヤマンの欠片(かけら)」No.13」への4件のフィードバック

  1. 陶器の置物で思い出した・・
    昔、子供の頃
    サルのタバコを吸う置物って無かった!
    タバコは、つま楊枝程の太さと大きさで
    誰か?知らんかな~~ぁ⤴
    チョット思い出してみてぇ!

    1. ええーっ、流石にそれは知りませんでしたぁー。
      グラスの水を飲む鳥の置物は知っていますが・・・。
      ネットで検索して見よっと。

  2. 今日 妹と一緒に母の面会に行って来ました。認知症のグループホーム。
    部屋での面会が出来るようになった為 母の部屋へ。妹が母からの愚痴を聞いてる間に 私は部屋の片付けを。何気に箪笥の引き出しを開けると空っぽ!見ると全ての引き出しの中が空っぽ!(笑)
    前回の面会時 衣替えをしたばかりなのに。
    またか〜! これで何度目だろう…
    本人にとって嫌な事があると 『もう家に帰るから!』と 箪笥の中の物全てを大きい鞄に詰め込み ベッドの布団も畳み 雑貨小物等も鞄に。
    一口に認知症と言っても 皆さん顔や性格が違うように認知症も人それぞれ。誰だって自分の家で過ごしたい。それが出来ないから苛立ったりもする。利用者さん同士の揉め事も。
    帰る時いつも ” 申し訳ない ” と思ってしまう。
    父親の面会時 自らの発語が少ない父が『やっぱり外がいいなぁ〜』とポツリ。
    胸が苦しくなりました。ごめんね…とも。
    二人共 コロナ禍と同時期に入所。本来なら家族との交流や行事が満載予定だったのに 叶わず。
    『忘れてないよ!大切に想ってるよ!』
    この気持ちを伝える為に 面会の回数を多くしてます。少しでも穏やかな気持ちで日々を暮らしてくれれば…と。

    1. とてもご立派な事だと思います。
      それに引き換えぼくは・・・。
      認知症になって施設に入っていた父との面会も、夢ちゃんのようにとは行かず、家族とのスケジュールを優先するばかりで、父への面会はついつい疎かにしてしまっていました。
      今になって悔やんでも致し方ありませんけど。
      ぼくのように後になって悔やまなくていいように、夢ちゃんにはご両親との面会を出来る限り続けて欲しいものです。

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