「虫下しチョコと肝油ドロップ、泣く子も黙るイチジク浣腸!」

昭和半ばの時代。
今の子どもたちとは比べ物にならぬほど、どこもかしこも軒並み不衛生。
しかも食糧事情が悪く、子どもたちの栄養状態もすこぶる悪かった。
だから小学校でも、回虫駆除の虫下しチョコの配布や、ビタミン補給の肝油ドロップの服用を推奨したものだ。
虫下しと名が付くものの、チョコと言う甘い響きが曲者。

早く食べたくてならず、放課後のチャイムを待ちわびたものだ。
とは言え、所詮回虫を駆除する薬ゆえ、本物のチコレートとは似ても似つかぬ薬臭さ。
それでも本物のチョコレートなど、めったやたらと買っても貰えぬ当時は、すこぶるご馳走に感じたものだった。
一方のビタミン補給の切り札は、肝油ドロップ。

夏休みの前になると先生がクラスで注文を取り、楕円形の缶に入った肝油を自宅に持ち帰ったもの。
一日一回1粒と決められてはいても、ゼリーの様でグミのような微妙な食感で、甘くて美味しくついついお母ちゃんの目を盗んでは、おやつ代わりに頬張ったもの。

だから夏休みも半ばに入ると、いつの間にやらスッカラカン。
その度お母ちゃんの逆鱗に触れた。
当時ぼくは、よく便秘に悩まされていた。
偏った食生活によるものか?
「あんたぁ、ウンチ3日も出とれへんやろ?」と、母がイチジク浣腸を片手にぼくを追い回す。

「浣腸したるで、早ようお尻出しなさい!」。
浣腸なんて嫌で嫌で、泣きながら抵抗するも虚しく、容赦なくイチジク浣腸の洗礼を浴びた。
するとすぐにお腹がグルグル。
たちまち下腹部を激痛が見舞う。
泣きながらしばらく、トイレにしゃがみこんだものだ。
どんなに薬臭くとも、虫下しチョコの方がまだましと思ったほど。

だから何が何でも、この泣く子も黙るイチジク浣腸だけは、ご免被りたかった。
「今度の日曜日、潮干狩りに行かへん?皆でお弁当持って」。
「ええねぇ。でもそれはそうと潮目はどうなん?」。
「それがねぇ、ちょうどお昼頃に大潮の干潮なんやって」。
「本当、そりゃ丁度ええわ」。
玄関先で母と近所のオバちゃんの会話が聞こえた。
「…おおしおのかんちょう?って、『ええっ?…大塩の浣腸?』。しかもお弁当を食べるお昼に?」。

その日の夕飯時のこと。
「潮干狩りやったら、お父ちゃんが工場で熊手を溶接して作って来たるわ」と父。

「浜辺で海を眺めながら、お弁当広げたらきっと美味しいで」と母。
ぼくは「潮干狩りなんて行きとうないもん」と、どうにもさっきの「大塩の浣腸?」が頭から離れず、涙ながらに訴えた。
「何やの、変な子やねぇ?お隣のサッチャンだって行くんやに」と母。

ぼくは項垂れたまま、消え入りそうな小声で囁いた。
「だって…潮干狩りに行ったら…『大塩って言う塩味の浣腸』されるんやろ?」。
すると母も父も顔を見合わせ「………」。
ぼくは涙声で「嫌や嫌や、大塩の浣腸なんて!」と、さらに訴え続けた。
すると母が、「アッハッハッハ!たぁけやね、この子は。大潮の干潮は、塩味のイチジク浣腸の事やないよ。大潮ってのは、地球の引力の関係で、浜から海水が沖へと引くから、海水が干上がると書いて干潮って言うんやよ」と母は笑い転げ、広告チラシの裏側に大きく「大潮」と「干潮」、そして「浣腸」の漢字を並べて書いて見せた。
子どもの頃は漢字も知らず、そんな「勘違い」ならぬ「漢違い」をよくしたものだ。
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自慢するけど、この歳になるまで「いちじく浣腸」ってした事がない・・
子供の頃、ふざけて、ゆび浣腸はされた事があるけどねぇ❢
潮干狩り・・あまり好きでない❢
何か?子供の頃に潮干狩りに行って大体、皆さん裸足だと思うけど
その時に足を何か?で切って・・それ以来トラウマになって
それと、砂浜を歩くのは、やっぱ❢大嫌い❢
上手く歩いても少し、靴の中に砂が入るでしょう。
それが絶対に許せない、だから絶対にイヤ⤴
へんなこだわりですなぁ!
裸足で陽に焼けた砂を踏んでザブーンって、青春そのものじゃないですか!
それを・・・!
でももう手遅れですものねぇ!
肝油ドロップは知ってるけど、虫下しチョコは知らないなぁ。学校で希望した子だけ虫下しの甘いようなシロップを飲んだ記憶です。
そうですかあ!
シロップなんてぇのもあったんですか!
当時は色んなものが蔓延ってたんですねぇ。
ブログの半分以上が『 浣腸 』(大笑)
もう笑うしかないですよ( ◠‿◠ )
肝油ドロップで思い出しました。
きっと あのオレンジ色のグミみたいな食べ物は 肝油ドロップだったのかなぁ〜って。
幼稚園の頃 帰る準備として 外に一列に並んでお迎えを待つんですが お母さんが来ると 先生が必ずオレンジ色の小さなグミみたいな食べ物を私達の手のひらに乗せてくれたんです。
ほんの少しだけ甘みがあって柔らかくて 毎日楽しみにしてました。
栄養補給だと知らずに( ◠‿◠ )
ちょっとした甘い物は、子どもの頃ってそれだけでご馳走でしたものねぇ。