昭和がらくた文庫7話(2011.7.28新聞掲載)~「昭和の知恵で一涼み」

連日更新される最高気温。

だが今年の夏は、何だか様子が異なる。

その正体は、天気予報ならぬ電力予想。

さすがに我慢も限界と、エアコンのスイッチを入れようとする度、妙な後ろめたさに苛まれる。

ぼくが育った昭和の半ば。

風神様もたじろぐような、神憑りなエアコンなどという神器は無い。

だからもっぱら昼寝に行水、軒の打ち水に破れ団扇で涼を求めた。

写真は参考
写真は参考
写真は参考
写真は参考

とっぷりと陽も落ち、父が帰宅するのを待って、やっと扇風機が唸り始める。

写真は参考

あまりの涼しさに、扇風機が首を振るたび追い掛け回し、結局また一汗かき、天花粉を叩かれたものだ。

ししゃしゃししゃしんしゃしんは写真は参考写真は参考

夜も更ければ、吊り込まれた蚊帳へと潜り込む。

写真は参考

蚊遣り豚に燻る煙を見つめ、いつしかまどろんだ。

写真は参考

ポツリポツリと燈る、裸電球の街灯。

写真は参考

それ以外の灯かりと言えば、時折り過ぎる車のヘッドライトくらいのもの。

だからか?

今ほど寝苦しくも感じなかった。

それとも昔は、今より涼しかったのか?

気象庁が記録を取り出した、1961年から昨年までを比較してみた。

岐阜市内の7月28日、午後3時の最高気温である。

すると60年代の平均が32.36℃、70年代31.16℃、80年代29.84℃、90年代31.32℃、2000年代30.58℃とあり、60年代が最も暑かった勘定となる。

ちなみに過去半世紀の、岐阜市の今日の最高気温は、2004年の37.7℃だった。

何のことは無い。

暑さは今も昔も不変だ。

ならばいっそ、文明の利器頼りの現代人も、「ダッセー」と片付けず、一涼みの風情に知恵を巡らせた、昭和の粋人を見習ってみてはどうだ。

このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「昭和がらくた文庫7話(2011.7.28新聞掲載)~「昭和の知恵で一涼み」」への8件のフィードバック

  1. 昔は イヤ〜な暑さじゃなかった気がします。扇風機で充分だっだわけですから。夏休みは 小学校のプールに… 家では 水風呂に(笑)
    ヤクルトを凍らせて スプーンでガリガリしながら食べてましたっけ。
    今でも 家で一人の時は エアコンじゃなくて扇風機オンリー。な〜んか後ろめたい気になるんですよね。

    1. 子どもの頃って、家の前の道がアスファルトで塗り固められていなかったからか、砂利道に夕方お母ちゃんが打ち水をすると、誇りも収まっていっぺんに涼しくなったものでした。
      今じゃそんな打ち水撒いたって、すぐに熱湯になっちゃいそうですものねぇ。

  2. 子供の頃は夜なんか、窓を開けて、扇風機で十分だった。
    でも、子供ってよく蚊に刺されるよねぇ!
    昔は、熱中症ってあったのか?
    熱中症と言う呼び方はしていなかったかも?
    歳取るとねぇ!気温の変化についていけない・・
    本当にそう思う!我慢は禁物!
    余談ですが
    2回目のコロナワクチン接種を打っての副反応
    やっぱり私の場合高齢者ですから、なんもなかった!
    ただ、14時頃、37度2分くらいの熱が出たけど、
    夕方には熱も下がったので安心!

    1. もう昭和半ばの頃とは違いますから、我慢したりせずこれからはエアコンも上手に使って、熱中症には気を付けねば!

  3. エアコンは、一瞬で部屋全体を冷やしてくれますが、やっぱり扇風機の風の方が好きですねぇ⤴️

    1. 扇風機を回しながら、扇風機の風を顔に直接受けながら、よく子どもの頃は童謡を歌ったものです。
      扇風機の風で歌声が震えるので、それを面白がっていたものでした。

  4. 蚊帳懐かしい!中に入るのが楽しみでした。殺虫剤よりも趣があってGOOD!

夢ちゃん へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です