今日の「天職人」は、三重県名張市赤目町の「へこきまんじゅう職人」。(平成23年4月9日毎日新聞掲載)
行者滝から銚子滝 赤目五瀑の修行道 清けし森の曼荼羅に 心洗うて香落渓 穢れ落として一休み へこきまんじゅう舌鼓 往きに食せばたちどころ 腑に屁が湧きて立ち往生
三重県名張市赤目町のたまきや。2代目女将の玉置弘美さんを訪ねた。

新緑に覆われた赤目渓谷。

行者滝へと続く入り口の店先に、「へこきまんじゅう」の看板。

こんなものを目にすると、もはや滝巡りどころではない。
「中身がサツマイモやで、せやったら『へこきまんじゅうやろ』って、主人が名前付けて。そしたらこれがまた、お通じがようなって便秘にええって、女性の方にえらい評判で」。弘美さんが、へこきまんじゅうを差し出した。

何ともほっこりとした舌触りに、サツマイモ自体のやさしげな甘味。
あっという間に平らげてしまった。
「形は違うけど、餡の無い大判焼みたいですやろ」。
なるほどうまい表現だ。

形は長さ12センチ、幅7センチ、縁の厚さは2センチほどでも、真ん中が3センチほどにこんもり膨らんだ長方形で、愛嬌のある忍者が模られている。
弘美さんは昭和37(1962)年に、兼業農家の長女として誕生。
高校へ上がると柔道部のマネージャーに。
同じ道場を利用する剣道部のキャプテンと目が合うたび、思春期の心が微かに揺れた。
卒業後は、名古屋の専門学校で学び、19歳の年に地元の印刷会社へ入社。
それから4年年後、見合い話が持ち上がった。
「何とお相手が、高校の剣道部のキャプテン」。
半年後に武史さんと結ばれ、やがて2女を授かった。
「もともと主人の両親が、伊賀で最初の民宿しとって。平成になってホテルに建替えて私らに譲り、義母は土産物並べてうどん売ったりしとったんさ。ところが土産も年々売れやんようになって」。
何か起死回生の手立てはないかと、たどり着いたのが忍者型した大判焼。

「せやけど、売れるのは秋だけなんさ」。
鋳型で特注した大きな焼台だけが残された。
「この焼台使って、違うもの焼いたらどないやろ」。
それがサツマイモをふんだんに使った、へこきまんじゅうの誕生だった。

「試作したらえらい好評で」。
1週間後に店頭に並べ販売を開始。
「『名前はなとしょ?』となって、主人が『せやったらへこきでええぞ』って。その場で紙にへこきまんじゅうって書いて貼り出したんさ」。
すると我も我もと飛ぶような売れ行きに。

平成15年のことだった。
今では全国各地のデパートから、実演販売の声が掛かる人気振りだ。
へこきまんじゅう作りは、赤目近郊のサツマイモの皮剥きから。
それを輪切りにして蒸し上げ、生クリーム、卵、砂糖、シナモン、塩、小麦粉を混ぜ合わせ、ミキサーで攪拌。
後は忍者の鋳型に流し込み、2~3分焼き上げれば出来上がり。
「どこも不景気で沈んどった時に、このへこきのお陰で、皆が元気になってな。何や赤目の神さんが『これしなさい』ってゆうてくれたようで」。

誰より郷土を愛する弘子さんは、忍者型のへこきまんじゅうを携え、全国各地を飛び回る。
名所赤目四十八滝を、知らしむる伝道師さながらに。
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「天職一芸〜あの日のpoem 413」もう まいりました。ですね。
食べてみたくなります。
新緑の季節をもう少し楽しみたいですね。
これがまた、芋栗南京が苦手なぼくでも、ペロリと平らげられちゃいました。
キャッ!! 注文する時、どうしましょう。そうか「これ下さい。」でいいのかぁ⤴️でも、絶対笑っちゃう(*^^*)
駄目です!
ちゃんと商品名を正々堂々と笑いながら言ってこその、へこきまんじゅうなんですから(笑)
これ!美味しそ~ぉ⤴
商品名がイイねぇ!「へこきまんじゅう」
これななら、メタボにも安心!カロリーゼロ!
だって、オナラと一緒に高カロリーがフッ飛んで行くでしょう!
そう言えば「ワクチン接種券」が届いた!
やっぱ、私は66歳の高齢者でした。
あ~~ぁ⤵
美味しかったよ!へこきまんじう!
ワクチン早く打てるといいですねぇ。
「くくくくくっ」
言えませんよね。私も「これください」にします。
えええええっ!
それはいけませんって!
え〰〰 へ◯きまんじゅう??
なんてスゴいネーミング (⊃。•́‿•̀。)⊃
でも 自然の甘さ とっても美味しそう
勇気を持って『 へこきまんじゅうくださいな 』って 言ってみたいですね
( ꈍᴗꈍ)
名張は【而今 じこん】とゆう お酒が 美味しいんですよね (◍•ᴗ•◍)❤
落武者殿 ワクチンですか〜
私も早く2回接種して ピカピカの1年生と年少さんに会いに行きたいよ〜 ❣️
へぇ~っ、地酒の而今ですか、知りませんでしたねぇ。
その土地土地に銘酒ありですねぇ。
生地も中身もぎっしりなんですね。
それに 生地も中身もシンプルだけど 実は 物凄く凝ってる。パッケージも。
『 名前で笑って 食べて満足』
このキャッチコピーも素敵 ( ◠‿◠ )
今のコロナ禍 特に必要な気がします。
「へこきまんじゅう下さ〜い」って 大声で子供のような言い方で注文しよ〜っと!(笑)
赤目四十八滝見学の折には、片手にへこきまんじゅう、片手にキリン一番搾り?
こりゃあちょっと似合わないか!
でもぼくなら平気です!