今日の「天職人」は、岐阜市南蝉の「夜市の露地野菜売り」。(平成23年2月12日毎日新聞掲載)
伊奈波神社の参道も 粉雪舞って雪化粧 戸板の上の露地野菜 春まだ遠き岐阜夜市 どてら羽織で馴染み客 「寒いやろで」と籬越し 椀の甘酒差し出せば 夜市の親爺手を合わす
岐阜市南蝉の農夫で夜市の露地野菜売りをする、北川弘さんを訪ねた。

「おーっ、今日は店出しとるよ。そやそや、6時頃までやったら開けとるで」。
老人は野良着のポケットに、携帯電話を仕舞い込んだ。
「最近はこんなん持たされてまって。馴染みの客が『今日やっとる?』って掛けてくるんやて」。
伊奈波神社の参道夜市で、自家栽培の露地野菜売りを始めはや57年。
弘さんは昭和6(1931)年、同市鷺山の農家で5人兄弟の3男として誕生。
11歳の年に、叔父の家へと養子入り。
昭和21年、尋常高等小学校を出ると、家業の農業を手伝った。
「しばらくすると、鳶の仕事も掛け持ちしてな」。
そして昭和29年、丹精込めて栽培した露地野菜を、夜市に持ち込んだ。

「伊奈波は昔から夜市が立っとって、隣り近所のもんらがみな店出しとったんやて」。
弘さんは自転車でリヤカーを引き、長良橋を渡り金華山西麓へと毎晩通った。
「まんだ家の近くの金華橋が出来とらなんだもんで、えらい遠回りやったって」。
翌年、近在から富美恵さんを嫁に迎え、やがて一男一女を授かった。
「とにかく当時は、日曜でもようけ売れて大忙しやったて」。
以来、鳶を辞し、作物作りと夜市の野菜売りで一家を支え抜いた。
「オジサン、これ大きいなあ。サトイモか?」。

歩道に籐編みの乳母車を止め、馴染みの老婆が品定めを始めた。
「そやそや、今さっき畑からもじいて来たとこやで、新鮮でええ出来やに」。
「ほうか。今日は雪が降り出してまったで、ひょっとしたら休んどるやろかと思っとったんやて。でもよかったわ。店開けとってくれてたで。そういやああんた、こないだ休んだやろ。みんな馴染みのもんらが、風邪でも拗らしとれせんやろかって、気揉んどったんやに。もう無理したらあかん。あんたも年なんやで」。
「そう言うあんたも、年えろうかわらんやろに」。
「そやなあ。わっちが嫁入りして来た時には、あんたんとこ店出しとったんやでな。あっ、今日はあとホウレン草も一緒に包んどいて」。
「いつもすまんな、ありがと。ちょっとやけど、ネギを一把入れとくわ」。
昭和半ばの頃のような、緩やかで何ともほのぼのとしたやり取りが続く。
畳一畳ほどの台の上には、弘さんが丹精込めて栽培した、白菜、ホウレン草、餅菜、サトイモ、大根、長ネギに手作りの切干大根、そして大根と白菜の漬け物までが居並ぶ。

「漬け物もみんな手製やて。夏んなるとキュウリの糠漬けやし。これもまた美味しいよ」。
昔は弘さんの集落から、15~16人が夜市で店を張ったとか。
「でももう今は、わし1人やて。周りから、『よう年食っても行きやっせるな』とからかわれるけど、わしが店出すの待ってくれとる馴染みもあるで、いつまでたっても限がないわ」。
客の美味いの一言に、ほだされ続けた半世紀。
正直者は、今日も美味い野菜作りに精を出す。
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へぇ~⤴
伊奈波さんの参道で夜一をやっていたとは知りませんでした。
以前、会社の慰安旅行で香港へ行った時
夜、泥棒市観光へ行きましたが、なんか?楽しそうでワクワクしました。
勿論!売ってる商品は「バッタもん」ばかり
まぁ~⤴バッタもんの私にはお似合いかもねぇ!
長良川の北側で農作物を作っている方が、採れたての野菜を並べておられたんですよ。
市って楽しいですよねぇ⤴️
野菜、果物、お漬物と色々あって 何を買おうかなぁと迷いながらのワクワク。「これ、おまけしとくねぇ」なんて、ちょっぴりのサービスも嬉しい(•ө•)♡
市って人情味たっぷりですもの!
ぼくもバザールとかも大好きです。
❖ 夜店 ❖
私は実家近く 真砂町の夜店にいつも行ってましたが、伊奈波通りにも出ていたんですね〜 (◍•ᴗ•◍)
顔なじみになると 学校の事やテレビの事なんか話したり おまけして貰えたり、ちょっと見た目が良く無いのは、『これはお金貰えんで サービスな!』と言って 買い物カゴに入れてくれたり、優しいおじいちゃん って感じでしたね (◍•ᴗ•◍)❤
泥付きも沢山あり、新聞紙に包んでもらいました ❣
最近は おしゃれに マルシェ❢ なんて言ったりしますが 、、、
ビールのお供 岐阜の枝豆が出始めましたよ〜 ❣
岐阜の枝豆ですかぁ!
茹で上がったばかりの枝豆に塩を一振り、そしてキリン一番搾りでプッハァと!
羨ましい岐阜の夏もいよいよですねぇ。
露地野菜売り 良いですよね〜( ◠‿◠ )
新鮮だからでしょうけど なんだか野菜が輝いて見えますよ。
「ねぇねぇ!見て!美味しいよ!」って野菜からも言われてるみたい。
販売してる方とのやりとりも相まって ワクワクしちゃう。
珍しいお野菜にも出会えそうだし。
きっと持ち切れないぐらい買ってしまいそう(笑)
それが失われつつある、対面販売の掛け合いですものねぇ!
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