今日の「天職人」は、岐阜市岩崎の「ギター職人」。(平成23年1月22日毎日新聞掲載)
継ぎ接ぎだらけジーンズに ロンドンブーツ長い髪 ギターケースを手に提げて 黒のレイバン伊達眼鏡 駅の人混み佇めば 若い娘が振り返る フォークバンドのメンバーと サインねだられ勘違い
岐阜市岩崎のロッシギターズ、ギター職人の小池博さんを訪ねた。

燻る紫煙。
重なり合うグラスの音。
ジャズトリオの演奏が始まった。
心地よい4ビートのリズムに、目を閉じ体を揺らす者。
グラスを見詰め、指先でリズムを刻む者。
ところが隣りの男は、熱心にギター奏者に視線を注いでいる。

しかもアーチトップギターだけに。
まるで愛しい恋人でも見詰めるようだ。
「あれ、ぼくが制作したギターなんです。だから無性に逢いたくなると、こうしてライブを聴きに来るんです」。

「名前が博ですから、それをイタリアンっぽく呼んで、ロッシなんです」。
博さんは大工の父の元で、次男として誕生。
中学生の時、ラジオから流れるビートルズのレット・イット・ビーに魂が震えた。
やがて関西の大学で、グラフィックデザインを学び、そのまま印刷会社でアートディレクターに。
「30代の半ばに、中古のギターを買ったんです。でも自分では修理が出来ず、修理してくれる工房を探して。そしたらそこは、趣味のギター作りも教えていて。それで4年ほど通いました」。

趣味が高じて作り上げたギターを、腕試しとばかりに展示会へ出品。
するとギターの専門誌にも取り上げられた。
「『ぼくは出来るんじゃないか?』って、すっかり勘違いしまして」。
入社20年を目前に、これからも中間管理職としてサラリーマンを続けるのか、はたまた思い切ってギター職人として生きるか、自問自答の毎日が過ぎた。
「ある日友人から『職人としてやるなら、体力と集中力がある早いうちだぞ』と背中を押され」。
42歳にして職人道へ。

「何と言ってもギターの命は、ネック(棹)とボディ(胴)のジョイントです」。
博さんが、自慢の一本を取り出した。
アーチトップとは、「かしまし娘」や「玉川カルテット」らの漫才師が、舞台で弾いていたギターとでも言えば、お分かりいただけるだろうか?
ロッシ・アーチトップギターの製作は、ボディの表面にスプルース(松)、裏面にメイプル(楓)の柾目材を、ドーム形に削り出す事に始まる。
そして表材の裏に力木を当て、サウンドホール開ける。

「材の厚さや力の入れ方で、倍音域が変わるんです」。
側板となるメイプルの薄い材を水に浸け、熱を加えて曲げ、表と裏面を接着し箱状に。
続いてメイプルをネックに型取りし、ボディとのジョイント部を組み木状に加工。
次にヘッドを形成し、ロッシの銘を入れ、糸巻き穴を開ける。

さらにフィンガーボード(指板)を貼り付け、フレットを打ち、ネックの握りを削り、ボディとネックを組み上げて塗装へ。

「木は呼吸するから、微細な穴の出来るラッカーで」。
受注から4~5ヶ月が費やされ、この世にたった一つきりの名器が生まれる。
ライブの演奏が終わった。
博さんはいつまでも、己がギターに拍手を贈る。
このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。
ギターはひけないけど、大正琴はひけれるようになった。今は上級の練習に入りました。弦を弾くのはギターも琴も一緒ですから(笑)ただ指押さえは大正琴のほうが楽ですね。
だってタイプライター風ですもの封ですものねぇ。
頑張れ!ヒロちゃん
小、中学生の頃は音楽がダメダメだった兄が、高校生になったら急に音楽に目覚めたらしく、ギターの練習をよ〜く家でしてた。そう言えば、あのギターってどうやって手に入れたんだろう。今も、色んな楽器を演奏しているみたい(^^♪
凄い探求心のあるお兄さんですねぇ!
ぼくなんて怠け者だから、お兄様のような姿勢が羨ましいですねぇ。
いやぁ~⤴
岐阜に生まれて66年!
もぐりと言われても仕方ないかも
知らなかった、直ぐ身近にギター工房があったとは・・・
ネットで検索したら「ロッシギターズ」
ヘッドのロゴがとてもオシャレでイイ感じ!
夢は自分だけのオリジナルギターが欲しい⤴
下手な横好き!だけどねぇ!
オカダさんのとても希少な(オベーション風)ヤイリギター
一度音色を聞かせて下さい。
いつだったか、このブログの火曜Liveで、オベーション風のヤイリギターで弾き語りしたんだけどなぁ。
何の曲だったか?
また歌う気になったら、弦を張り替えて弾いてみますか!
短大生の頃 社交ダンス部の憧れの先輩にギターの弾き方を教えてもらった事があります。
思い出しました( ◠‿◠ )
すぐそばにいるし 時々手も触れるから 心臓がドキドキして 全然集中出来ず…(笑)
結局 一曲も弾けなかったなぁ〜。
でもね ギターの音色と先輩の声が凄く合ってて ふんわりとした居心地の良い時間でした。
先輩 元気にしてるかなぁ〜。
いいものですねぇ。
そんな甘酸っぱい思い出。
誰もがいつか来た道ですよねぇ。