今日の「天職人」は、岐阜市長住町の「ホルモン屋女将」。(平成十九年十二月二十五日毎日新聞掲載)
色付く街に賛美歌と 恋人たちのはしゃぎ声 あんな時代もあったなと ネクタイ緩めコップ酒 レバーにネギマ ホルモンと 上司の愚痴をアテにして 酒を煽って憂さ晴らし オヤジ二人のクリスマス
岐阜市長住町のホルモン水谷本店。二代目女将の水谷信子さんを訪ねた。

「おお~い、酒二杯に串三本やで勘定おいとくわ」。
夜も更けた光景かと思いきや、まだ昼下がりの午後二時半だ。
名鉄岐阜駅を西に入ったビルの谷間。
歩道に突き出した煙突からは、炭火に爆ぜる美味そうな肉汁の香りが漂う。
歩道をゆけば、ついつい袖を引かれそうになるのが人情。
それが証拠にこんな真昼間から、店内はもう鈴鳴り状態。
店から溢れ出した客用に、ビールケースに板を載せた簡易テーブルが組み立てられ、客も手慣れた様子で丸椅子を運び出し、歩道脇に陣取ってコップ酒を煽る。
「家の名物は何てったって、厚切りレバーやて」。信子さんが、串盛りを差し出した。

「まあお茶菓子代りに食べてみたって」。
確かに串に刺さったレバーの厚みは、2㌢近くもある。
まるで学校給食に添えられていた、三角形のチーズ大の大きさで、おまけに惜しげもなく一串に二切れという大胆さ。
これで一本百円とは、鈴鳴り人気にも合点がいく。
信子さんは昭和18(1943)年、一文菓子屋を営む後藤家に誕生。
中学を出ると化粧品屋に勤務し、看板娘として販売を担当した。
ちょうど娘盛りの20歳を迎える頃の事だ。
「練炭屋に夫を紹介されたんやて」。信子さんは心なしか照れ臭げだ。
「旅館をやってた叔母が『下見してきたるわ』って、この店にこっそりやって来て夫の品定めやて。それで『三郎さんなら間違いない』って、太鼓判押すもんやで」。
昭和38(1963)年、水谷家の二代目三郎さんに嫁ぎ、二女を授かった。
「当時も店はてんてこ舞い。だから娘二人は住み込みのオバサンに任せっぱなし」。
高度経済成長期を支えた男たちは、ホルモン屋でまずは景気を付け、ネオン瞬く柳ヶ瀬へと繰り出していった。
「よう明治気質の義父から教わったもんやて。『飲み過ぎた人に売っちゃいかん』って。だから今でもそれは肝に銘じとるんやわ」。

平成12(2000)年、夫が他界。
「もう二代限りで終わりにしようかって思っとったんやて。そしたら娘婿が、『俺が会社辞めて継ぐ』って涙浮かべて言ってくれたんやわ」。
信子さんは言葉を詰まらせながら、誇らしそうに焼き場の娘婿を見つめた。
「わしなんか忘れたくらい昔から、ほとんど毎日通っとるって。値上がりせんし、隠居の身には助かるんやて。だから勘定も自己申告みたいなもんやって」。
帰り際に常連客の老人が笑い飛ばした。

思い思いの客がそれぞれの人生を引っ提げ、小さな丸椅子に腰かけ赤ら顔で串を頬張る。
ここでは会社の看板や、身分の上下など一切通用しない。
だからこの店が大人たちの止まり木であり、楽園であり続けるのだ。
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焼き鳥が食べたくなったら『日本一』と言うお店で買ってきます。とり皮、なん骨、つくね、それにレバー。若い頃はレバーなんて嫌いだったのに…。歳を重ねると好みも変わるのね。ビールが美味し!!
鳥皮は、塩がいいですねぇ。
でも冷めると・・・。
焼き立ての串を頬張りコップ酒をすすりたいものです。
どて煮は好きだけど 基本 ホルモン系は苦手。食べれないわけじゃないけど…。でも レバーだけは どうしても食べられないんです。
味もさることながら あの食感が(泣)
ネギマにビールで 大満足しちゃう私です。
一人立ち飲みのお店 ないかなぁ〜( ◠‿◠ )
お洒落な立ち飲みでなくってもいいなら、味のある戦後間もなくから続く、名代の立ち飲み屋が豊橋駅前の大通りにありますよ!
立ち飲み「朝日」。
近いうちに、その店の女将も天職人としてアップされますから、どうかお楽しみに!!!
こんにちは。
・ホルモン屋女将のお話ですね。
・ホルモン美味しそうですね。
・私は、ホルモンを、食べません。硬い食べ物は、食べれません。
ホルモン お酒のおつまみには、良いですね。
串焼き!
プッハァ~好きな人のみならず
あたしも大好き!
酒の肴って!
味が少し濃いめで美味しい!
昔、岐阜駅前問屋街に勤めていた頃
店の前を通る度に「プ~~ン」と良い匂いが・・
「おやじ⤴冷たいビールと串の盛り合わせを適当に・・」
なんて!事を言うのを憧れていけど・・
まぁ~⤴酒嫌いなあたしには一生言う事がないでしょうねぇ!
オカミノファミリーは酒豪の美熟女が多いけど・・
自粛して、家で「プッハァ~」しているんでしょうねぇ?
あの煙がモクモクと歩道に漂っていると、ついつい袖を引かれちゃうってもんです。
お昼からオジサマ方が幸せそうで、いつも羨ましく思っていました。
今年の初め頃は、若い人達もいました。
レトロな感じがオシャレなのかも。
今はコロナで、なかなか大変かもしれませんね。
早く賑わいが戻りますように・・。
いつか私も伺ってみたいっす!
真っ昼間っから、歩道で一杯なんて、大人の楽園ですよねぇ。
おはようございます。いいですね~こういうお店がほんと近くにあると最高なんですけどね・・・・
お昼過ぎにこんなお店で一杯やれるなんてほんと・・こういうのが「贅沢」ってもんですよね~
もっとも、私の場合はそんなに呑めないので雰囲気を味わうほうですけどね・・・
岐阜にもこんなお店がまだあるんですね~
いいよねぇ!
なぁ~んも考えずに、気の合う仲間と真昼間っから一献なんて!
立冬が過ぎ、ちょっと寒くなって来ると、赤ちょうちんが恋しくなりますねぇ。
そうなんですって!
人肌の恋しさですねぇ。
焼き鳥に ビールを ぷっファ〰️
カンパーイ (*⌒3⌒*)
早く行きたいな ~ (●^o^●)
仕事帰りに通ると ついつい 寄りたくなる雰囲気 は 昔から変わらないですね❗
水谷さんの 店の外には、4時を過ぎた頃から 丸いパイプ椅子を持ち出し ビールを ぷっ ファー〰️
ワイワイ 笑顔の皆さんを 横目に
喉が鳴ります ~ (^^)人(^^)
あの匂いとあの雰囲気は、やっぱりただ物じゃあないですものねぇ。
嗚呼!ぼくもコロナを気にせず、ワイワイガヤガヤやりたいものです。