今日の「天職人」は、三重県名張市の「寫眞(しゃしん)師」。
晴れのち曇り時々豪雨 子供還りに彷徨う父を 妻といつも天気に例えた せめて父への尊厳として 褪せたアルバム広げては 縁で船漕ぐ小さな背 モノクロ写真の母が笑む 時代繰る手も夢の中
三重県名張市の「写真の川地」、五代目の川地清広さんを訪ねた。

「爺さんはハイカラな人やった。出張撮影に出掛けるんも、馬ん乗って颯爽とな。昭和二十年代後半までは、医者や髪結い、それと寫眞師くらいや。馬なんて乗れたんわ」。清広さんはコーヒーカップを傾けた。
写真の川地は、明治10(1877)年に久居市出身の川地長七により創業。
日本の国産写真の夜明けは、安政4(1857)年に遡る。長崎の舎密(せいみ)試験所にて、オランダ人軍医ポンペと長崎出身の門下生上野彦馬、そして上野の先輩に当たる津藩士堀江鍬次郎が、手製の写真と湿版写真用感光乳剤、更に現像用のコロジオン液を見よう見真似で完成させた。堀江の影響で、津藩主藤堂亮猷(とうどうたかゆき)が、当時最高級だった英国製人物写真機を購入。後に津の藩校に舎密学の講師として上野が招かれた。その頃長七は産声を上げ、十代後半の若さで写真館を開業した。

余談ではあるが、後に上野は長崎へと戻り「上野撮影局」を開業し、勝海舟や坂本龍馬など、幕末を駆け抜けた志士たちの雄姿を、歴史の一コマとして撮り続けた。
「これがその頃の硝子湿版写真や」。

清広さんは桐の箱を開いた。硝子の大きさは、縦十センチ、横七センチほどの手札サイズ。当時は硝子板に塗布した感光乳剤が濡れている間に撮影。肖像写真の場合、三十分ほどは動いてならず、首や頭がぶれないように托頭器(たくとうき/ヘッドレスト)を使用した。不動の姿勢を強いられた被写体たちは、まるで写真機に魂を吸い取られたかの様にグッタリだったとか。


硝子湿板に淡く浮かぶ、明治初期の裕福そうな家族。しかし家族の視線はいずれもバラッバラ。「昔の女性は袖に手を隠し、寫眞機に魂を抜き取られんよう、眼を合わさんだらしい。今や普通の人らがカメラの前で、堂々と肌を露わにする時代やのに」。隣で六代目を継ぐ長女美貴さんもうなづいた。

「自然の光に敵うもんはない。その光の中で生きる人々を、六代に渡ってファインダー越しに覗いて来たんやでなぁ。時代を切り取るようにな。まぁ、寫眞機持ったまま死ねたら本望や」。清広さんが穏やかな笑顔を向けた。
スタジオの中庭で、過行く夏を惜しむように、蜩が再び鳴き始めた。
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私の父の相棒は、独身時代からの愛用品、箱形皮ケース二眼レフのカメラです。
子供の頃は、この古くさいカメラが嫌で仕方ありませんでしたが、今は、我が家のお宝です。
味わい深いマニア垂涎の逸品なんでしょうねぇ。
おはようございます。
写真師さんのお話ですね。
・(白黒の写真)写真術の看板良いですね。 昔の看板の字,デザイン,絵が、良いですね。
・ 川地さんさんの家は写真屋さんだったのですね。
・川地さん後継ぎさんが、見えて良かったですね。
・昔と今は、逆なのですね。(昔の女性は、写真に写らない様にしていたのですね。今の女性は、積極的に写真に写ろうとする事)私は、知りませんでした。勉強になりました。
・昔の写真の紙と白黒写真良いですね。貴重な資料ですね。
・考えて見ました。 私は、写真屋さんで、履歴書等の写真を、撮って貰った事ないです。
・私は、大分前に、写るんです(フィルム入りカメラ)を、使っていた事は、有ります。
今は、携帯電話のカメラで、写真を撮ります。
・川地さんのお店は、街の写真屋さんですね。昔から有る写真屋さんですね。
写真機に魂を吸い取られる…
遠い昔は 写真を撮る側も撮られる側も
今とは少し違って 何か深さがあるような感じがしますね。
時代は過ぎて 勝海舟さんや坂本龍馬さんの写真は当時の色が復元されたり…
なんだかロマンを感じます( ◠‿◠ )
もしかしたら、何もかもスピーディーな方が全てではないかも知れませんよねぇ。
少なくとも、心が付いて行ける適切な速度も必要に感じます。
写真と言えば!
オカミノファミリー皆さん全員で撮るのが好き!最後には集合写真!
これは絶体必要⤴
老後の楽しみに、写真は歌と同じで当時を思い出す事が出来るので・・・
イイねぇ⤴
話変わるけど
家の近くの境川緑地の「桜」ちらほら多分、来週末には満開かなぁ~?
ウォーキングコースには「ホトトギス」が「ホーホケキョ♪」
西川のりおさんではありませんよぉ!って古いねぇ⤴
誰も知らんねぇ!
集合写真と言うと、ついついぼくは端っこに立ってしまいます。
昔から。今でも満々中でなぁ~んて言うのは、落ち武者殿に強制されなければ、決して無理です!
なぁ~んと、奥ゆかしいぼく!
ほんとですね ~
オカミノファミリーさんとの集合写真
オカダさん 奥ゆかしい ですね ~ ‼️‼️
約 4年で 沢山の写真が た~くさん
思い出が いっぱい いっぱい (#^.^#)
撮って下さった オカミノファミリーさん ありがとう ☆
そして これからも宜しくお願いしますね (。^。^。)
今日 伊奈波神社から長良橋付近に桜を愛でに行って来ましたが 八分咲き
今にも雨が降りだしそうで スマホで パチリパチリ❗とはいきませんでした
父親の愛用していたカメラは 桐の箪笥の棚に そして黒い革のケースに入っていた事を思い出しました。
昔の方は、カメラでもなんでも、モノを本当に大切にしていましたものねぇ。
家の父もそうでした!