「14通のラブレター」⑪最終話


コーヒーカップの上澄みに、思い思いの図柄を浮かべ、やがて儚く溶け行く粉末クリーム。

写真は参考

母はどこで覚えたのか、或いは自分だけの(げん)(かつ)ぎのつもりだったのか、粉末クリームが描く図柄に、ささやかな愉しみを見出していたに違いない。

そして繰り返し押し寄せる、背中合わせの吉凶さえも、一杯のコーヒーと共に呑み込んでいたのだろう。

参考

「なんか母ちゃんのコーヒーの甘さとは、ちょっと一味違うな?」

弟が昔のように妹を茶化す。

写真は参考

だがぼくには、砂糖たっぷりで堪らなく甘いはずのコーヒーが、どうにもほろ苦く感じられてならなかった。(完)

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「14通のラブレター」⑪最終話」への2件のフィードバック

  1. お母様のほんの束の間のコーヒータイム。
    もしかしたら 座ると同時に「ふぅ〜」っと 息を吐いてから 溶けていく粉末クリームを見てたのかなぁ〜。
    まずは何も考えずに… そして 少しずつ全身が綻んで 柔らかな笑顔になっていく…。
    変わりゆくクリームの模様を楽しみながら。
    ご家族の方々が その事を知っててくれたのは なんだか私まで嬉しくなってしまいます。( ◠‿◠ )

    1. 毎日同じ繰り返しに見える日々であっても、ちょっとした工夫で、自分なりの小さな愉しみだって見出せますものねぇ。
      ちなみにグラスにビールを注いだ時の、泡の立ち方でその日を占ってみたり!
      って、ビールを呑むのは夜だから、今さら今日を占ったって、眠りに就くまでの数時間だけかぁ!
      なんてこったぁ!

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