
とても残念ながら、お客様にもそれぞれご事情があり、2席キャンセルが生じました。もしお出掛けになろうかなってお考えの方がまだおいででしたら、ぜひご参加いただければ幸です。お問い合わせは、メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係までお気軽に! Liveの詳細は、3月16日のブログをご参照願います。
ビッビーッ、ビビビビー
後方からけたたましいクラクションが鳴り響き、木乃葉と老人の直ぐ後ろに軽自動車が止まった。

「いゃあ、やっと追いついた」。
「あれっ?」。
オーバーヒートを起こしたバスの運転手だった。
「あれからあんたら二人のことが、気んなって気んなってしょうがのうて、会社へ戻ってから着替えて、それで大急ぎで追いかけて来たんさ」。
「へぇー」。
木乃葉は不思議そうに運転手を見上げた。
「それはそうと、おじいさんだいぶしんどそうやなあ」。
「うん、そうみたい。急にグッタリしちゃって・・・ウッ、ウッウェーン」。
今まで自分がしっかりしないとと、張り詰めていた緊張が一気に解け、木乃葉の頬を涙が伝い落ちていった。
「お嬢ちゃん。もう大丈夫だよ、心配しなくても。今からおじさんの車で、おじいちゃんを病院に連れて行くから」。
「いっ、いっやあ、びょ、病院へなぞ、行かぬとも大丈夫じゃ」。
グッタリとうつ伏せていた老人が、捻り出す様な低い声を吐き出し、顔を上げてそうつぶやいた。
「わっ、わしの鞄の中に・・・」。
木乃葉はセカンドポーチのファスナーを開け、老人に差し出した。
老人は中から、小さな丸い漆塗りの漆器を取り出し、上蓋を一捻りして開けた。

老人は漆器の中から、細かい薬草のような物を一摘みし、口の中に放り込んだ。
『「あっ、まただ。まるでチーン、チーンする時のお仏壇と同じ匂いみたい」』

木乃葉は心の中でつぶやいた。
ポーチのキーホルダーが、チリチリンと小さな音色を響かせた。
運転手は、不思議そうに老人の姿を見つめていた。
見る見る間に、老人の顔に生気が蘇って来た。
「さあ、もう大丈夫じゃ。心配かけて済まなんだなコンチャン」。
老人はヒョイッと立ち上がった。
「えらいよう効く薬でんなあ」。
「まあ、一種の漢方薬みたいなもんや」。
「さあ、それじゃあ私の車で、砦岬までお送りしますわ」。
「ええっ、本当に乗せていってくれるの?」。
「ああ勿論ですとも。だって終点までのバス代、前払いでもろたまんまだしなあ。まあバスが軽自動車に変わったと思って、さあさ乗った乗った」。
軽自動車はヘッドライトに映し出された、砦岬へ続く一本道をひた走って行った。

「ねぇおじいちゃん。今何時?」。
「今はなあ・・・8時40分じゃ」。
「ねぇねぇ運転手さん。ここから後、何分くらいかかるの?」。
「もうここからやったら、5分程でじきに着きますやろ」。
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一本道で思い出すのが
バスツアーで北海道へ二泊三日の旅行へ行った時
知床半島へ行く道
岐阜では考えられない程の
真っ直ぐな道・・まるで滑走路のよう
正しく「♬果てしない大空と~♬」ってな感じ!
日本はまだまだ広いって証そのものじゃないですか!
それに比べたら世界は、途方も無く広すぎて、限られた世界のほんの一部の一部だけしか、知らずにこの世を去っちゃうんでしょうねぇ。
もう少し頑張って、まだ見ぬ日本を旅して見たいものです。
「気んなって 気んなって しょうがのうて…」
ここ数年 同じような想いになった時には 即 行動するようにしてます。それが相手があっての事でも 私自身だけの事であったとしても。
あの時 こうしておけばよかった…と思わないように。
時が経つのってホントあっという間ですからね。
ps . おじいちゃん きっとそうなんですよね⁈ 心配で心配でたまらないんでしょうね。
私にも何人ものご先祖様が側に居てくださって いつも見守ってくださってるようです。
仰る通りです。
遺された時間なんて誰にも分かりっこないんだから、それだったら残り時間だけは自分の心のままに、自分らしく消費したって、もう誰にもとやかくなんて言われる筋合いじゃないですよねーっ。
両親やご先祖様は、きっと守護神となってそっと見守ってくれているんだと、ぼくは信じています。