
「ごめんくださいな」。
老人は駅前の外れにある観光案内所の、重そうな引き戸を軋ませながら開け、中を覗き込んだ。

「はいはい、只今。ちょっとお待ちを」。
カウンター奥の事務机で、パソコンの画面と向かい合っていた、50代前半と思われる事務員が“ドッコラショッ”と大儀そうに立ち上がり、老人と木乃葉の前へとやって来た。
「あらーっ、おじいちゃんと旅行?いいわねえ」。
事務員は老人に手を引かれて立ち尽くす木乃葉に問い掛けた。
「・・・・・」。
木乃葉は何と答えるべきか思い悩み、老人の顔を見上げた。
「お宿でもお探しやろか?」。
今度は、老人に事務員が問い掛けた。
「あっ、い、いや。オート・・・なんちゅうたかいなあ・・・コンチャン?」。
老人は木乃葉に助けを求めた。
「オート・キャンプ場でしょう」。
ぶっきらぼうに、木乃葉は応えた。
「まあ、ハイカラなおじいちゃんだこと!オート・キャンプなさるんですか・・・ヘエー」。
事務員は勝手に、一人合点している。

「いっ、いや、わしらは・・・その・・・」。
老人は照れながらしどろもどろになった。
「お友達の家族がオート・キャンプに来てるんだけど、その場所がわからないの」。
木乃葉は気忙しそうに用件を告げた。
「場所かいな・・・この辺にはなあ、オート・キャンプ場が6箇所あるんやさ。なんちゅうキャンプ場か、名前は知っとんかいな?」。
老人は新聞の切抜きを、ポケットから取り出し読み上げた。
「・・・三重県英虞湾のキャンプ場に・・・」。
「英虞湾のキャンプ場ゆうたら、・・・そうさなあ、ここの砦岬オートキャンプ場と違うやろか?」。

事務員は観光案内マップを取り出し、その中の一箇所を指差した。
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志摩磯部駅はこんな瀟洒な駅に変わってまったのですね。ワシはスペイン村ができる前に、降りたったことがあります。御座か相差に行くバスに乗るためだったかと記憶しています。ひなびた駅やったのに変わりましたね。
それにしても、観光案内所の50代前半の事務員さんが、「ドッコラショ」と大儀そうに立ち上がる場面には苦笑してまいました。ワシは70代前半のオジイです。いまは(ドッコラショ)の2乗になってまいました。
一つの動作をするにしても、知らず知らずにそんな妙な掛け声のような合いの手のような言葉がついつい口を衝くようになった気がします。
それも両親そっくりの言葉で!
所詮どこまで行こうと親子に違いない証かも知れませんが!
オートキャンプ場
いいねぇ!
BBQしながら一日のんびりと・・
命の洗濯になる。
*独り言
我が家のさくらんぼの花
今年は花の付きが今一ですが、今が満開
今年もサクランボ・・
鳥との争奪戦になる。
準備も後片付けの大変さも含めてのキャンプ飯ですから、その苦労の産物としてビール片手に大自然に抱かれ、大自然の癒しパワーに抱きしめられて楽しめたら最高でしょうねーっ。
でもその大変さを克服する体力が・・・。
やっぱ若い頃の楽しみ方かもねーっ。
サクランボ争奪戦に参加する鳥たちは、今か今かと毎日観察を怠らないんでしょうねーっ。