7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.15

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ピッピッピッピッ

写真は参考

「コンチャン。もうジイジとは、これでお別れだよ」。

「さあコンチャン、ジイジの小さくなっちゃった手、握ってあげよう。サヨナラって」。

ママはハンカチで目頭を押さえた。

「ねぇ、パパ、ママ?もうこれからずーっと、ジイジとは逢えなくなっちゃうの?」。

「このピッピッって音が止まって、ピーッって鳴ったらジイジは天国に行っちゃうんだよ。だけどね、パパは天国ってそんなに遠い所じゃない気がする。だからジイジは、いつだってコンチャンのお側に居て、コンチャンを守ってくれるんだよ」。

「そうよ!ジイジはコンチャンのこと、大好きだったでしょう」。

ママはまた目頭をハンカチで覆った。

ピッピッピーーーッ

「ジイジー!嫌だ!天国なんて行っちゃ!」。

「おおい、コンチャン。大丈夫かい?なんだか夢にうなされておったみたいじゃが?」。

「エエッ・・・?」。

写真は参考

老人の横、通路を隔てた席の子供が、突然「ピッピッピーーーッ」というエラー音を発し、鳴り止まなくなってしまったポケットゲーム機に八つ当たりをした。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.15」への6件のフィードバック

  1. 物語にはオカダサンの想いがこもってました。私も去年、亡くなった父を物語に登場させてみると、好きでなかった面が昇華されるかも知れませんね。いろいろあった父ですが、いやはやオカダサンの着想は有りがたかったです。

    1. 父を思い出す度、父の作業服に染み込んでいた煙草の薫りまで漂うようで不思議でなりません。

  2. 68歳の私だけど
    あと何年?
    って言うか、もう⤴直ぐ目の前に寿命が・・
    唯一の願いが
    家族に迷惑を掛けないように、
    静かに息を引き取りたいもんです。

    1. その通りです。
      ぼくは遺言メモに、戒名。読経・葬儀も無し、もちろん納骨も無くして、骨の一部だけ粉砕してこっそり長良川の上流から流して欲しいと認める用意をしています。
      嫁に行った娘に世話をかけたくはありませんから、願わくばピンピンコロリと逝きたいものです。

  3. モニターの音は切ないですね。昔は、潜水艦のソナーの音のように、ドラマなどでは捉えていました。しかし、身内の最期に聞くそれは何とも言えない音になりました。生死の端境を機械が判定するのに大きな役割を果たすで、一層の想いでした。

    1. 仰る通り電子音でいまわの際を判定されるのは、身内としては無情に感じてしまうものでした。

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