7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.9

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

「これ下さい」

木乃葉は、大型の冷蔵庫からペットボトル入りのジュースと、お徳用袋に6個入ったチビあんパンをおばちゃんに差し出した。

写真は参考

「えーっと、アンパンが220円で、それにジュースが150円だから・・・全部で370円ね」

「おばちゃん、これ開けて。それでこの中からお金取って」

木乃葉は丸い缶のキティちゃんの貯金箱を差し出した。

写真は参考

「ええっ、これ開けちゃっていいのかい?」

「うん」

「だってこれ、コンチャンの貯金箱なんだろう?」

「そうだよ」

おばちゃんは怪訝な顔をして、缶切りで蓋を開けた。

「ウワーッ!コンチャン、一杯入ってるネェ」

おばちゃんは貯金箱の中から370円を抜き取り、掌の上に広げて木乃葉に見せながらいった。

「いいかい。100円玉が3つだから300円ね。それに50円玉が1個だから合わせて350円だろう。あといくらあれば370円かなあ?」

「・・・10円が2個で、・・・ちょうど370円」

「お見事、正解!」

おばちゃんはそういって、蓋の開いた貯金箱と、おまけとしてラムネ菓子を1袋、木乃葉に手渡した。

写真は参考

「気を付けて帰るんだよ」

「うん。ありがとう、おばちゃん!」

木乃葉はピンクのバックパックの中にパンとジュース、それに蓋の開いた貯金箱を詰め込みながら、公園を横切ってバス停へと駆けて行った。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.9」への6件のフィードバック

  1. 何を隠そう・・
    ラムネ好き、パソコンのテーブルの引き出しには
    ラムネが隠してある!って
    別に隠さなくてもイイのですが
    チョット口が淋しい時にラムネは最高
    小粒だし、きっとゼロカロリーだろうねぇ!

    1. ええっーっ!
      ラムネ菓子一粒と侮るなかれ!
      糖分が随分と含まれてるんじゃあーっ。
      ぼくの子ども時代は、もっぱらチクロでしたけどねーっ。

  2. チビあんパンも、昨今の諸物価高騰のあおりを受けて、更に小さくなってしまいました。わたしの好物でした。若い頃はクリームパン、オジイになったらあんパンへと嗜好は代わりました。ラムネ菓子も懐かしいけど、まだ売っているのでしょうか。

    1. ラムネ菓子は、今でも健在ですよ!
      って、ぼくはなかなか手が出ませんが!
      やっぱりラムネ菓子のシュワシュワよりも、キリン一番搾りやキリン端麗グリーンのシュワシュワの方が、お爺のぼくには心そそられちゃうんですよねーっ。

  3. 小学生の頃は お小遣いを貰ってなかったので どうしても欲しい平凡と明星の本だけは お願いしてお金を貰って 妹と一緒に買いに行ってました。
    きっと それ以外の物は 不自由しないようにしてもらってたでしょうし 祖父母が住んでた九州に行ったり 運動会や初詣…
    家以外の記憶はあるけど 肝心な家の中での家族4人の生活の記憶がほとんどない。妹と二人の記憶しか…。
    でも なんとか進んで来たのだ。
    さて 明日は久し振りに『お菓子カンパニー(店名です)』に行って 駄菓子を見て来ようかな⁉︎ ( ◠‿◠ )

    1. 記憶ってぇのは不思議なもので、玉虫色に変化してしまって、蘇ったり記憶の彼方へ埋めてしまったり。
      でもそうした心の動き自体が、思い出したいとか思い出さないでいたいとか、そんな自分の心の内を現わしている気がしちゃいます。

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