毎日新聞「くりぱる」2006.11.26特集掲載③

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「結びの地で見つけた!むすび糸」

「むすび糸の繋ぎ目は、親と子の絆なんやて」。

岐阜生糸舗、二代目女将の細野まゆみさん(55)は、生糸の結び目を示した。

写真は参考

岐阜ではもうここ一軒になった、生糸から着物までを仕上げる呉服屋。

客はむすび糸と呼ばれる生糸を購入し、目方約500㌘のむすび糸を繋ぎ合せ、丸い糸玉を作り上げる。

写真は参考

次に結び合わされた糸玉は丹後の縮緬機屋へ。

客の好みの柄で、振袖から小紋や訪問着までを白生地に織り上げる。

次に好みの染めを決め、白生地を京染の染屋へ。

染め上がって戻って来ると、採寸し仕立屋へ。

「むすび糸から仕立て上がりまで、最低でも一年はかかるけど、三代は着てもらえるものやし。染め替えもきくから」。

全国からわざわざ訪ね来る客も多い。

「祖母から母へ。そして母から娘へ。『幸あれ』と、願いや祈りを込め一本一本生糸を紡ぐんやでねぇ」。

写真は参考

気の遠くなる程、惜しげも無く費やす時間こそが、親子の情愛の重さなのかも知れない。

岐阜生糸舗 岐阜市今沢町

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「毎日新聞「くりぱる」2006.11.26特集掲載③」への6件のフィードバック

  1. 私の家内は京都府京丹後市出身です。むかしは車で片道6時間かけて、のんびりと往き来したものでした。いまでは高速道路ができたので半分強の所要時間で行けます。京丹後市には峰山町があります。野球の野村克也さんのご出身の地です。ここを中心に丹後ちりめん業が盛んであったそうです。いまも細々とやっているそうですが、むかし多くあった機屋さんはほとんどが廃業に追い込まれたそうです。無常です。

    1. 各地のちりめん産地の憂き目は存じております。
      でもあの独特な風合いのちりめんも、なかなか素敵なんですが、現代生活の中ではなかなか用途が広がらないものなんでしょうかねぇ。
      失われそうにある手仕事の技術が、とてもとても惜しい気がしてなりません。

  2. 「糸」って歌が有りますが、
    人との縁、これホントありますねぇ!
    オカダさんを知り、オカミノファミリーの皆さんと出会えて
    これも何か?の「縁」
    私は思います、死ぬまでこの「縁」を大切にしたいと・・
    なに~~ぃ⤴
    オカダさん・・僕は「縁」は縁でも
    遠慮しますの「遠」
    なるほど、上手い事言いますねぇ!

    1. 言ってませんって!
      そのようなこと。
      ぼくも皆様との「ご縁」を、コロナ禍を跳ね飛ばして来年こそは、もう一度紡ぎなおして結えたらよいなぁと痛感しています。

  3. 丁寧なお仕事なのですね。生糸製品、原油から得られる原料を元に作られた化繊製品からは感じられない質感を与えてくれます。前者は生き物から、後者は化石燃料からの違いだけでしょうか。手間がかかった分だけ、作り手の想いや着ていた方の愛着がのっているためだと僕は思います。

    1. 生糸を紡いで一つの布地に仕上げ、とっておきの方に合わせ仕立て上げられる晴れ着。
      人の手の温もりを潜り続けた分だけ、幸せを願う気持ちが込められていくような気がします。

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