毎日新聞「くりぱる」2004.6.27特集掲載②

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「三重県明和町斎宮(いつきのみや)界隈」

今回の「素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)」は、三重県明和町にお住まいの読者Sさんからのリクエストで、斎王(さいおう)まつりが雅やかに繰り広げられた、斎宮(いつきのみや)のある明和町へ。

本来ならば、この町をSさんの案内で訪ねてみたかった。

しかしご本人は幼い頃よりの難病で、現在も入院加療中とのこと。

Sさんが愛して止まない明和町への想いを感じながら、王朝浪漫にひたる道程をのんびり漫ろ歩いてまいります。

「ここらはなあ、(なん)もあらしませんのさ」。

斎王まつりの実行委員長を5年務める、Y.Hさん(54)が笑った。

待ち合わせた国史跡斎宮跡休憩所では、斎宮で賑わいを見せた当時のレシピが再現され、砂糖や醤油も一切使わない、酢味噌を中心とした斎王御膳(¥2.000-)や斎王弁当(¥1.000)が楽しめる。

御糸(みいと)の海岸で青柳がようけ取れるんさ。剥き身んしてな、(たらい)ん中の塩水につけて時計と反対周りにぐるぐる回すと、不思議な位に砂を吐き出すんさ。それを天日で干物にしたら最高やさ」。

Hさんは郷土の恵みを誇りながら、自慢げにつぶやいた。

「ここがなあ、菖蒲の原種と言われる天然記念物の、野花菖蒲の群生地なんさ」。

写真は参考

普通の菖蒲の半分の背丈にも満たない、野花菖蒲が辺り一面を深い藍色に染め上げている。

花屋の店先で見かける菖蒲とは、明らかな違いだ。

背丈も然ることながら、花弁の青色が全く異なる。

野花菖蒲の深く濃い藍色は、500人を従えたと言われる斎王郡行の、雅に彩られた色香を今に放つようだ。

いや、待てよ!

今確かに・・・、十二単に身を包んだ高貴な皇女の乗った葱華輦(そうかれん)(斎王を乗せる輿)が行過ぎていったような気が・・・。

写真は参考

「紫陽花の 斎宮園に 酔う至福」

どなたかが詠まれた連句の一遍。

さあそれでは、斎王まつりに彩られる明和町の王朝浪漫を、のんびりと漫ろ歩いてまいりましょう。

このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「毎日新聞「くりぱる」2004.6.27特集掲載②」への4件のフィードバック

  1. 二枚目の写真を見て
    駕籠舁き(かごか・き)
    昔の人は、華奢(きゃしゃ)な人が多かったのか?
    お殿様でも豪華な駕籠に乗って異動・・
    テレビで見るほどの豪華さはなかったと思うけど
    さぞかし重かったでしょう ❢
    でもさぁ⤴
    そんなに❓乗り心地って良くなかったでしょう
    わしが落武者になる前、殿様だった頃
    船酔いならぬ駕籠酔い ❢
    そりゃ~ぁ⤴ひどく揺れたもんですぅ⤴

    1. 駕籠かきさんは、お六尺とも呼ばれていたようですよねぇ。
      乗り心地はとってもラグジュアリーじゃなかったでしょうねぇ。
      あんな狭い籠の中で正座なんてしてたら、脚が痺れちゃってそりゃあもう!
      ぼくにゃあ、とても無理!

  2. 先日、小学校の卒業式の模様をテレビで見ましたが、羽織り袴の女の子が多かったのに驚きました。トイレは大丈夫なのかと勝手に心配したりして・・・(^o^;

    1. 着物姿の女性のおトイレは、見たことありませんが、想像するだけでも大変そうですよねぇ。
      だって男だって大変なんですから!

なごやン へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です