『香嵐渓の〝かえで路″』
2006.秋 季刊誌掲載
梅雨の恋しい季節は、まるで束の間の逢瀬を弄ぶように、何とも思わせ振り。
突然雲の幕間がギラギラと照りかえり、ラメを全身にまとったマツケンサンバの一団が現れ出でるようだ。
そんな梅雨の中休み。
夏真っ盛りの陽射しが、ベネチアングラスのようにキラキラと透き通る足助川の川面へと、惜しげも無く降り注ぐ。
瀬音が山間から涼を運べば、川面に夏の青葉の影も踊る。
森も木も昆虫も、そしてぼくら人間だって、みんなみんな夏が恋しくてたまらないんだ。
君はサンダルを片手に、裸足のまま川縁の石を渡り、青春映画さながらにおどけて振り向いた。
川面は太陽を照り返す、まるでレフ板のよう。

君が逆光の渦の中へと溶け入った。
カアー カァー カアー
間の抜けたカラスの鳴き声で、淡い想いの幻は粉々に砕け散ってしまった。
「なんてこったぁ~」。
しばし古い街並みを行くと、鄙の菓子屋を発見。

「この『かえで路』は、死んだ亭主が昭和26年に考案しただよ。素朴な風味の白味噌仕立てのカステラで、芥子の実を振って。だもんできっと懐かしい味がするだよ」。
ショーウィンドーの奥から、豊田市足助町の加東家、初代女将の加藤綾子さん(85)が親し気に笑った。
「家のお婆ちゃんとこの『かえで路』は、今やすっかり足助の名物だもんね」。

傍らから二代目女将の美子さん(54)が顔を覗かせた。
「あんたよかったら、こっちの座敷で食べていきん。お茶入れたげるで」。
店舗の隣には、漆喰壁に遮られた立派なお座敷と、中庭には飛び石が。
「あれっ?何だろう?あの中途半端な床柱は?」。
「江戸時代ここは造り酒屋で、加茂一揆の時に農民に押し入られ、床柱を切り取られたらしいじゃんねぇ」と、綾子さん。
「酒樽全部割られて、庭中酒浸しだったって」と、美子さんが補足。
「実は戦後になってから、ここを買っただけど」。
もはや切り取られたなどと言う、生易しいものではない。
鉈か斧で捥ぎ取られたような凄まじさだ。
それにしてもこの『かえで路』は滅茶うまの絶品!

それほど甘党ではないぼくですら、1本丸ごと恵方巻のように丸かじりできるほど。
香嵐渓の紅葉を愛で、お抹茶を啜りながらいただいたら、この世の物とは想えぬほど至福の時間が味わえるんだろうなぁ。
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一度は行きたい「香嵐渓」
紅葉シーズンに行くとあまりの渋滞で
途中で引き返して来た❕って友人が話していた。
まぁ~⤴覚悟を持って行くしかないのか?
シーズンOFFに行くのが一番かもネェ!
余談ですが
オカダさんは車の運転中に音楽を聴く派?聴かない派?
私は、聴かない派❕
何故か?って・・
そりや~~ぁ⤴あなた、特に女性とドライブに行く時は
自分をイイ奴だとアピールしたいとねぇ❕
あの人はイイ人なんだけど・・で、
終わりたくないでしょう❢
ぼくも車の中では、ホトンドラジオも聞きませんねぇ。
若い頃はBGMは聴いていたものですが・・・。
紅葉の名所で有名な香嵐渓。毎年訪れるのですが、もみじが真っ赤に色づくと車の渋滞は避けられない。なので色付く前でも『紅葉まつり』が始まったら行きます。我が家はみんな、ウインナーや五平餅がメインの、花より団子家族なンですもん(๑´ڡ`๑)
花より団子が一番幸せ模様じゃないですか!
ぼくも香嵐渓の紅葉を一度も愛でたことがありません。
残念!
香嵐渓 何度も行きましたよ。
実家が豊田市なので 本来一時間もかからないけど さすがに紅葉狩りの頃は…。
紅色に染まった山々を愛でるだけでも 感動します。ライトアップされた景色は もうロマンティック過ぎて 誰か隣にいて〜って思っちゃうほど(笑)
久し振りに今年ひとりでぶらりと行っちゃおうかなぁ〜( ◠‿◠ )
紅葉にしても桜にしても、一番の見頃にその場に居合わせられたら、それだけで幸せ感じちゃいますよねぇ。