昭和がらくた文庫44話(2014.7.24新聞掲載)~「富貴貴賤なく、夜空を焦せ!夏花火」

なによりまずは、ぼくの「夏花火」をお聴きいただければ幸いです。

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軒の打ち水夕涼み 君と浴衣で縁に坐す

チリリと鳴った風鈴に 川風揺らす洗い髪

盥に浮ぶ夏の星 冷えたラムネに西瓜(すいか)(だま)

線香花火揺れる()玉が 落ちぬ様にと息止めた

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一学期の終業式が終わると、誰もが通学路の畦道を、息せき切って駆け出したもの。

そして昭和半ばの暑い暑い、夏休みのスタートラインへとぼくらは向かった。

しかしそこには「通信簿のご開陳」と言う、大きな壁が立ちはだかっていたものである。

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からっきし出来の悪い成績結果を曝け出し、ひとしきり母の気が済むまで、お小言を賜らねばならぬと言う儀式だ。

しかしそれさえ殊勝な面持ちを取り繕い、右の耳から左の耳へと、聞き流してしまいさえすれば、後は誰が何と言おうが、もうこっちのもの!

天下無敵の夏休みの始まりと相成った。

昆虫採集に川遊びや海水浴。

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何と言っても最大の楽しみは、陽が暮れてからの花火だった。

一日にせいぜい5本とか、母から割り当てられた線香花火を持ち寄り、友と車座になって順に火を点し、儚い火花を散らながら、やがて消え入る火玉を、飽きもせず眺めていた遠い日。

隣町で大きな花火大会があると聞き付ければと、父の大人用自転車を拝借し、三角乗りで跨り会場を目指した。

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友と一緒に、打ち上げ場所の出来るだけ近くまで、人波を掻き分け掻き分け進んだものだ。

なぜなら、打ち上げ場所から離れていると、大人たちの人垣が邪魔して、花火が見られないからだ。

しかし打ち上げ場所の近くまで行けば、どんなに大人たちの人垣が出来ていようが、誰にも邪魔されることも無い。

打ち上げられ、夜空の闇へと消え入る瞬間まで、小さな子どもの背丈でも鮮明に眺められた。

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だって花火は頭上へと一気に舞い上がるから、どれだけの人混みであろうが、見上げる夜空だけは、誰にも邪魔されず、何人にも平等に何処までも果てしなく開けているのだから。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「昭和がらくた文庫44話(2014.7.24新聞掲載)~「富貴貴賤なく、夜空を焦せ!夏花火」」への11件のフィードバック

  1. いよいよ夏休み。でも昔とは違う夏休み。ちびっ子達にとって 少しでも思い出に残る夏休みになって欲しいなぁ〜。
    小さい頃は 縁側に座って妹と花火を楽しんでました。あっという間に一袋なくなったりして( ◠‿◠ )
    昔は 花火大会に行かなくても割とよく見えてたような…。
    高〜い建物が少なかったですからね!

    1. 大きな打ち上げ花火も素敵ですが、息を殺して線香花火の火玉を落とさないように、バケツを囲んでしゃがみこんでる姿も、日本の夏でしたよねぇ。

  2. ♬夏花火
    これもまた、オカミノファミリー、夏の風物詩だねぇ!
    子供の頃は夏休みが来るのが待ち遠しかったけど
    今じゃ~⤴毎日が・・・♬夏休み~ぃ♬
    最近、夜、玄関先で花火をやっている家庭が見かけない気がする。
    これも、少子化の影響かぁ?
    えっ?じゃぁ~⤴君が花火やれば!
    とんでもない!!花火が、終わった頃には
    身体中が「蚊」に刺されて「ボンボン」
    あ~ぁ⤴考えただけでも身体が、かゆくなってくるぅ!

    1. そうですよねぇ。
      でもお酒を嗜まれない落ち武者殿でさえ、蚊に刺されてボンボコボンなら、酒の匂いをプンプンさせちゃうぼくなんかは、とんでもないことになりそうです。
      それにO型ですし!

  3. 今どきの事情で告知なしの打ち上げ花火。先日の夜も、いきなり「ドッカ〜ン、パチパチパチパチ」。慌ててベランダに出てみると、名古屋港からの打ち上げ花火。工場の木が邪魔して、大玉が上がらないと見えないのですが、ちょっと得した気分\(^o^)/

  4. あっとゆう間に もう8月 。:゚(;´∩`;)゚:。

    昨年に引き続き 今年も花火大会が中止の中 先日 毎年 私達に夢を与えてくださっている花火師さんの サプライズ花火が10分程 打上げられたようです。
    (◍•ᴗ•◍)❤ 
     

    昨日の飛騨高山は 夏恒例 山桜神社の辺りは絵馬を求める方々が 順番待ちをされていました。

    海外の方の姿を見かける事はなかったでますが、昨年と比べると観光客は増えていました! 

    あの 醤油の香りがたまらない お団子を頬張りながらニコニコ ♡
    ソフトクリームをペロペロ ♡

    ソーシャルディスタンスに注意し 皆さん それぞれに 楽しんでみえました。

    私達はランチ後 高山祭で賑わう 山桜八幡宮から宮川を久しぶりに散策してきましたが 日傘もいらず 涼しい風が!
    ちょっとだけ 秋を感じられラッキー❣️

    ちょっとだけ気分転換ができました (◍•ᴗ•◍)❤

    蚊には刺されませんでしたよっ 
    (◠‿・)—☆  

  5. あ〰〰〰  こんがらがっちゃってましたね ヽ༼⁰o⁰;༽ノ

    絵馬市は 『山桜神社』
    高山祭で賑わうのは 『櫻山八幡宮』
    です ❣️

    秋の高山祭 2000個の風鈴効果で 開催出来るといいですね ( ◜‿◝ )♡

    1. みんなの願いが通じるといいですよねぇ。
      ぼくも高山や古川に出掛けたくってたまりません。

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