「今度の日曜、チーター見に行くで」。
母がご機嫌な調子でそう告げた。
余りの嬉しさに、クラスの皆に「今度、チーター見に動物園へ行くんだ」と、自慢気に言いふらして回ったほど。

昭和41年、小学3年のこと。
東京五輪の後とはいえ、庶民にとって動物園は、まだ夢の一大行楽地。
おいそれとは、連れて行って貰えなかった。

いよいよ待ちに待った日曜。
期待に胸が躍り、早くから目が覚めた。
だが母は、一向に起きる気配もなし。
痺れを切らし、布団を捲ると、「何時やと思っとるの!せっかくの日曜やのに。大人しく寝とらんと、もうチーター見に連れてかへんで」と一喝。
渋々布団に潜り込むと忽ち微睡んだ。
台所の物音で、ハッと気が付けば既に10時過ぎ。
…しまったあ!
「さあ、あんたもぼちぼち着替えんと。チーターは午後1時からやで」と母。
「???チーターって、そんなにお寝坊さんなの?」と、思わず問うた。
すると「この子は、何馬鹿なことゆうとんの」とたちまち一蹴。
バスを乗り継ぎ、やっとの思いで辿り着いて見れば、そこは動物園とは似ても似つかぬ、温泉施設の大劇場。
「こんなとこの何処に、チーターがおるの?」と、不審げに尋ねた。
すると「もうじき始まるで、シーッ」と。やがて舞台で楽団の演奏が始まった。

聞き覚えのあるメロディーが流れ出す。
♪幸せは歩いて来ない、だから歩いて行くんだよ♪と、何と水前寺清子がステージに現れたではないか。
そりゃあ確かにチーターには違いないが…。
翌日はクラスの皆の、すっかり物笑いの種。
「三歩進んで二歩下がる」ならまだしも、四歩も五歩も下って、友の信頼は見事に失墜。
早とちりが招いた、身から出た錆とは正にこの事だった。
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昔、岐阜には「岐阜ヘルスセンター」って、あって
今の「長島温泉」みたいな温泉娯楽施設
そこにはやっぱり大宴会場がありました。
でも、チーターさんの様なメジャーな歌手が来たって、凄い!
聞いた事がないような演歌歌手ばかりでしたよぉ!
確かに「チーター」って?何ぃ?
子供心にそう思いましたねぇ!
今なら「キラキラネーム」で訳わからん!
確かに確かに!
「キラキラネーム」をまともに読めたことがありません。
温泉施設の大劇場といえば長島温泉によく行きましたが、納屋橋に温泉パレスがありました。長島温泉は幼少期にすんでた大家さんが勤務されていてよく券を頂いて何度も行っていて今でも新しい施設でショーがあるので一度行ってみたいと思います。
ぼくは同級生たちと自転車を走らせ、尾張温泉に遊びに行っていたものです。
チーター=(イコール)水前寺清子にはならなかった少年ミノル君。動物園=チーターになるとは。そこは、ゴリラかゾウかお父ちゃん?あれっ!動物園にお父ちゃんはいないかぁ(笑)
動物園は何度行っても楽しくって楽しくって、興味津々でしたぁ!
『クスクスッ!』 なるほどね 〜
動物のチーター じゃなかったんですね〜 ( ꈍᴗꈍ)
私も幼少の頃 温泉施設の大劇場に
( ◜‿◝ )♡
年に1度 ❣ この時だけは父も一緒に出かけた事は覚えているんですが 何処だったのか? が思い出せなくて
✧*。~(〃゚3゚〃)
最寄り駅からタクシーで 温泉施設の玄関に! 色々 思い出して来ましたよ〰
歌が好きな父親だから もしかしたら
♬ ライブ ♬ だったのかな〜
そうそう、でもぼくらの時代は、ライブなんて洒落た言葉じゃなくって、ショーを「実演」、バンドを「楽団」って、お母ちゃんは呼んでましたねぇ。
そうそう!温泉施設での催し物は 午後からやで( ◠‿◠ )
小学生の頃 子供会で長島温泉に行き 手品のショーを見た事があります。
ショーの記憶はないけど 始まるまでの間 館内を歩き回ってたなぁ〜。ショーを見る席にカーペットが敷き詰められてて それだけでもワクワクしたものです。
子どもの頃って、脱日常な場所に出掛けたりすると、それだけで興奮度もかなりなものでしたよねぇ。