昭和がらくた文庫20話(2012.7.26新聞掲載)~「夫唱婦随?それとも婦唱夫随」

67年前。

米英中の三カ国がポツダム宣言を発表。

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その後、玉音放送の敗戦を境に、社会そのものや家族の在り方さえ、大きく変わった。

取り分け民主化最大の功績は、男女同権ではないか?

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古来よりこの国に蔓延る、封建的な家長制度が、見事に崩れ去ったのだから。

男の影で虐げられ続け、その姿に疑問すら持ち得なかった女性たちに、夜明けがやって来たのだ。

たちどころに女性たちは、戦後の混乱期を溌溂と闊歩し始める。

方や男どもはと来たら、敗残兵ばりの屈辱を葬らんと、脇目も振らず仕事に明け暮れた。

その時既に、夫唱婦随の考え方が、姿を消そうとしていたのかも知れない。

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ところで我が家の母は、バリバリの戦前生まれ。

戦中の国威啓発標語「欲しがりません、勝つまでは」を、まさに念仏代わりに育った。

しかも男尊女卑が幅を利かせた鹿児島生まれ。

だがそんな母も、戦後の民主化と男女平等の前に、あっさりと宗旨替えをした口だ。

一方、中国戦線から命辛々逃げ帰った父は、その不甲斐なさもあってか、結婚初日から、母にはまったく歯が立たなかったようだ。

だから何かにつけ、大概の事は母の采配。

父はただそれに、付き従うだけだった。

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「どうせあれにゆうても、3倍返しのオマケ付きやで。触らぬ神に何とやらで、逆らわんが一番や。あ~あ、クワバラクワバラ」と、直ぐに煙に巻いて逃げ出すほどだった。

婦唱夫随―父は家内で波風を荒立てず、そんな言葉を胸に生き抜いたのだろうか。

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盆には母の好物と、一回り小さな父の好物でも、手向けるとするか。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「昭和がらくた文庫20話(2012.7.26新聞掲載)~「夫唱婦随?それとも婦唱夫随」」への10件のフィードバック

  1. 男だから… 女だから… ○○だから…
    今の時代も まだ根強くありそう。
    家庭の中で言うなら『 やって当たり前』『やってくれるだろう』の考えが 見え隠れしてるのかも。
    結局のところ お互いに思いやりがないとアウト(笑)
    出会った時に見抜ける力があったなら(大笑)

    1. なかなか最初っからすべてを曝け出す人っていませんものねぇ。
      だって最初はより良く見てもらいたいからって、無理して本来の自分じゃない部分を見せちゃったりしちゃいますものねぇ。
      鳥達の求愛のディスプレイさながらに!

  2. この歳になるとさぁ~⤴
    親のありがたみが、つくづく分かるようになった気がするねぇ!
    両親の無償の愛程、尊いものはありませんねぇ!
    親の心 子知らず!親孝行したい時には親はなし!
    色んなことわざがあるけど、どれもこれも身に沁みる!

    1. あらまあ、これまた落ち武者殿らしからぬ真っ当なコメントにビックリ!

  3. 母たちの年代って我慢強かったなぁ⤴️なんて事を思ってたら、子供の頃、たびたび母に「別れたら!」って言ってた事を思い出しました。「今別れたら何にもいい事ないままでしょ」って母に返されました(笑)確かに!!

    1. どこも同じなような気がします。
      でもお母様も、愚痴をこぼされて不満を解消されていたのじゃないですかね。

  4. 夫婦である事を離脱して自由を手に入れた私には縁の無い話(笑)。死んだ両親を見てたけどあれだけ喧嘩してたのに母ちゃんが死んだときお父ちゃんは泣いてた。今年は長良川鉄道で両親を思い出しながら墓参り行く事ができるかな❓️

    1. 夫婦以外には、何人もわからない、夫婦だからこそのありがたみもあったのでしょうねぇ。
      いいね!
      長鉃ゆるり旅のお墓参りも!

  5. こんなにも 可愛い色のセキセイインコって 本当にいるんですね。
    なんだか 嬉しくなってしまいました。

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