今日の「天職人」は、三重県亀山市御幸町の「時雨茶漬け弁当職人」。(平成22年4月24日毎日新聞掲載)
鈴鹿峠を上方へ 蒸気を吐いて汽車はゆく 「途中亀山辺りでも 駅弁こうて腹満たそ」 「時雨茶漬けの弁当か そりゃ珍しや食うてみよ」 まずはそのまま食べてから 茶漬けで二度のお楽しみ
三重県亀山市御幸町、明治二十三(一八九〇)年、関西鉄道(現JR)の亀山駅開業と同時に創業した、いとう弁当店。四代目主の伊藤富朗さんを訪ねた。

洒落の効いた地口「その手は桑名の焼き蛤」や、座敷の酒盛り唄「桑名の殿様、時雨で茶々漬」とまで詠われる、蛤や時雨煮と言えば、三重県桑名市を代表する名物の一つだ。
「ところが当の桑名駅には、名物の時雨煮使こた駅弁がない。ならばと、アイデアマンの叔父が一工夫して昭和35(1960)年から売り出したのが、この時雨茶漬け弁当やさ。それも当初から、桑名で元禄年間創業の、新左衛門さんとこ(總本家貝新)から直接仕入れた時雨煮つこて。しかも昔は蛤。もっとも今はアサリやけど、それにしても100㌘あたりにすると、牛肉並みの高級品やさ」。富朗さんが、店内から正面の駅舎を見つめた。

富朗さんは昭和10年、4人兄弟の長男として誕生。
「私の子どもの頃は、笹の葉におにぎり2つ包んだ、おにぎり弁当だけでしたんさ」。
やがて亀山駅は、関西と中部を結ぶ大動脈として賑わいを見せた。
昭和33年、東京の大学を出ると、そのまましばらく、母の仕事を手伝うことに。
「母が東京で、お洒落小物の商いしてましたから」。
翌年の紀勢本線亀山―和歌山間全通を前に、家業に舞い戻った。
「父が体を壊し、叔父夫婦が店を切り盛りしてくれとったもんやで」。
そしてその翌年、ついに時雨茶漬け弁当を売り出した。
「まだそんな当時は、お座敷列車が走っとって『汽車で1杯やりもって、最後にお茶漬けで締めやんと』って」。
駅売りに立ち売り、そして店売り。
茶漬け弁当という珍しさもあり、飛ぶような売れ行きに。
「だいたい日本人は、お茶漬け好きやで、お盆や正月は帰省客でよう賑わったもんやさ」。
紀勢本線全通は、利用客だけの喜びではなかった。
時雨茶漬け弁当が発売されたその年、富朗さんは紀勢本線の遥か彼方、和歌山県串本町から豊代さんを妻に迎えた。
「私の叔母が四日市で一品料理の店やっとって、そこでちょっとの間手伝いしとったら、この人に見初められてもうて」。やがて二女を授かった。

時雨茶漬け弁当作りはは、注文を受けてから。
作り置きなどしない。
まずプラスチック製の丼8分目まで、ふっくら炊き上げたご飯を敷き詰める。
次に時雨煮の煮汁を刷毛で塗り、アサリの時雨煮を30㌘ほど載せ、ふりかけと刻み海苔を散らし、中央に紅生姜、そして片隅に桜漬けを添える。
上蓋を被せ、半世紀前から変わらぬ包装紙を巻き、亀山産のお茶を添えれば出来上がり。
「今でも注文があれば、改札やホームまで配達しますんさ」。
時雨茶漬けの食べ方は、最初3分の1をそのまま食し、残りを茶漬けに。

半世紀前、緩やかな時の流れに身を任した汽車の旅。
古里では首を伸ばし、我が子の帰りを待ち侘びる母がいた。
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しばらく駅弁は食べてないですね〜。
時雨茶漬け弁当とは、美味しそう!
お腹、空いたよぉ!
そういえば、つい最近まで台所の流しの下に釜飯の陶器の容器が何個か転がっていました。昔は、列車の窓も開閉式で、そこからお釣りとか貰っていましたね。
頼りなげな紐付きプラスチック容器の熱いお茶も、お懐かしい。
昭和のゆるり旅は、何ともそこはかとなく時間が流れて、とってもいいものでしたものねぇ。
家も陶器の釜飯の容器で、キンギョを飼っていたものです。
甘辛い時雨煮、好きだわぁ(•ө•)♡
家でお茶漬けにして食べた事はありますが、それがお弁当になってるとは⤴️見かけたら買いたい、食べたい。
これがまた、作り立てを詰めてくれるので、メッチャ美味しかったですよ!
子供の頃
時雨の美味しさが分からなかった。
何か?子供が食べるには・・
大人の味だった気がする!
けど、今こんなに立派になった大人になった、私は!
おにぎりを買う時には必ず時雨と昆布を買って食べる!
違いが分かる大人になったもんだぁ~~⤴
時雨煮も噛んでジャリっと言うと、もうぼくはそれだけで挫折してしまいます。
まだまだ落ち武者殿のような、立派なおとなにゃあなれそうにありませんわ。
❖ 時雨茶漬け弁当 ❖
知らなかった〜 ⊙.☉
私は ちょっと生姜が効いた時雨のおにぎりが大好き ( ◜‿◝ )♡
呑んだ後のシメは 豆腐とワカメの赤だしに パリッパリの海苔に包まれた時雨のおにぎり1個とお漬物!! って決めているんです ❣
あ~ あれから1年 (‘~`;)
そろそろ カウンターに座り
『 何がオススメ ? 』 って聴きながら ビールをぷっファ 〰
美味しい日本酒 呑みたいです 〰
飛騨高山の酒蔵巡りも始まりましたね❣️
少しずつコロナを警戒しつつ、元の暮らしに戻れたらいいのですが・・・
果たしてどうなるんでしょうねぇ?
ぼくも縄暖簾を掻き分けて、鄙びた居酒屋に出掛けたいものです。
ひゃーめっちゃ美味しそう。
それに お茶のボトルの可愛いこと( ◠‿◠ )
作り立てっていうのが 何倍にも美味しさが増しますよね⁈
また 旅がしたくなっちゃいましたよ。
なんせ、人生はのらりくらりとゆるり旅が、一番お似合いですからねぇ。