今日の「天職人」は、岐阜県郡上市の「特殊造形師」。(平成20年5月27日毎日新聞掲載)
玄関先にランドセル 放り出したら一目散 棒切れ持って駆け出した 腕白どもの隠れ家へ 棒はチャンバラ剣となり 怪獣狙うライフルに やがて善悪入り乱れ 最後はみんなヒーローや
岐阜県郡上市の郡上ラボ、特殊造形師の森藤弘美(ひろみ)さんを訪ねた。

長良川沿いに長閑(のどか)な田園が広がる。
何気ない風景の中に、あったはならない物が存在した。

大きな建物の入り口では、巨大な恐竜が今にも襲いかからんばかりに口を開く。
就学前の子どもが、羽交い絞めにでも遭ったかの様に、入り口で固まり動こうともしない。

「中にはオシッコちびってまう子もおる。そんな時は何だか勝ち誇った気になるで不思議やて」。弘美さんは、厳つい風貌とは似ても似つかぬ少年のような眼(まなこ)を輝かせた。
弘美さんは昭和17(1942)年、農林業を営む家に長男として誕生。
中学を出ると林業を手伝った。
「山から切り出した材木を農耕馬に積んで、トラックまで運ぶ毎日やった」。
昭和36(1961)年、19歳でダンプカーの運転手になり土建業へ。
「山仕事が嫌で嫌で。みんな周りの者らは都会へ出て行くし。でも俺は長男やで。うらやましくってな」。
それから三年が過ぎた。
「どうにも土建屋も向いとらん。それで名古屋へ出て何か探そうと。車の部品作りを覚えて、その仕事をここへ持ち帰ろうと考えたんやて」。
バイス加工の下請けを始めた。
昭和44(1969)年、青年団の活動で一緒になった芳子さんと結婚。
二男一女に恵まれた。
その2年後、天職との出逢いが訪れた。
「名古屋に歯科技工士になった弟がおって『何か仕事くれんか。くれるまで帰らん』って、座りこんだったんやて」。
入れ歯加工を3ヵ月で身に付け、郡上へと戻った。
意外にも手先の器用さは天下一品。
すぐに技工士の上前を撥ねる腕前に。
「そんな関係で、技工職人と出逢ったんや。技工にも様々な分野があって、顔面全体を造ったり、目や鼻、指なんかを補綴(ほてつ)する造形があることを知ったんやて。その職人は父親が映画のカメラマンだった関係で、ホラー映画のマスクを造ったりしとって。それが面白そうやもんで、俺も手伝っとったんや」。
歯科技工で生活を支える傍ら、お化け屋敷のお化け造りや、ぎふ未来博では山東竜の復元模型も手掛けることに。

いつしか歯科技工師から特殊造形師へ、時代の流れに身を委ねた。
「これまでに恐竜は40体くらいやろか。図鑑や骨格標本を眺めながら、頭の中で三次元に描くんやて」。
骨格から実寸を割り出し、完成後の動きを考え台座を鉄骨で組み立てる。
次に恐竜の下部から順に鉄骨を溶接し、足、胴、首、頭、尾と順に組み上げてゆく。
骨格の次は発泡ウレタンで肉付け。
表面に生ゴムを吹き付け、5~6回の上塗りを繰り返し、仕上げの塗装へ。

「作業しとる間は夢心地やわ。何万年も昔の時代に、旅しとるんやで」。
万年少年は眼(まなこ)を輝かせ笑った。
「自分がとことんのめり込まんと、人なんて驚いてくれんって」。
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何万年も昔の時代に旅をしながらの作業ですか〜。
やっぱり男性は 少年の心のまま大人になり 且つ ロマンティストなんですよね(笑)
それにしても ここ数日 綺麗な風景写真が続いてたのに 今朝ブログを見たら いきなり巨大な幼虫の写真が出て来たから もうビックリ!
朝から胸が ” ウッ!” ってなるぐらい。
本物じゃなくても やっぱり苦手(泣笑)
って事は、この職人さんに「どうだ!ビックリしただろう⁈」って 言われちゃうかも( ◠‿◠ )
そうそう!
驚かせるのが何より大好きな、万年少年の職人さんですから!
おはようございます。
・特殊造形師のお話ですね。
・恐竜,青虫さんリアルですね。生きているみたいですね。
・職人さん リアルな恐竜や青虫さんを、作れるなんて凄いですね。
・私は、実際に見て見たくなりました。
・特殊造形は、手作りで、作っているのですね。
恐竜と言えば!
日本が誇る!
恐竜ではありませんが「ゴジラ」
子供の頃、映画を観て感動したのを覚えています。
でも、ゴジラも還暦を過ぎてあたしより1つ年上だから66歳!
もう、ゴジラだって年には勝てず、昔のようなパワーないんでしょうねぇ!
ご多分に漏れず。
歳のせいもあって、最近、腰痛が酷くて酷くて!
苦しい⤴
皆さん、コロナが落ち着いたら・・
是非!
身体が健康で動けるうちにやれる事はなんでも良いのでやって下さい。
そうそう、年々身体はガタが来る一方ですものねぇ!
しかし近所の噂話に耳を傾けていると、静かに静かに、でも確実にコロナが身近に迫っているようです。
どうか皆々様も十分にお気を付けくださいね。
まるでジュラシックパークみたいですね。映画は恐くて苦手ですけど
青虫君にはちょっと懐かしささえ感じます。
家でしばらく暮らしてくれた、あの山椒の木に棲みついた「アゲハの幼虫三兄妹」たちが、こんなモスラの幼虫のようにデカかったら、ぼくん家なんぞでは、ぼくの音場所さえなかったでしょう(笑)
うまいなぁ〜
音場所なんて いいなぁ〜
ひとりごとですから する〜してくださいね。
子供がまだ小学生の頃、夏休みに見学に連れて行ってあげたらすごく喜んでくれた思い出があります、郡上の夏休み定番コースといえば鍾乳洞→流しそうめん→恐竜ラボなんかがすごく楽しいですよね!
オカダさんの取材で大和の平野酒蔵や
白鳥の原酒蔵の記事等あれば是非アップして読ませて頂けたら楽しみです。
白鳥の原酒造さんは「長良川鉄道ゆるり旅」ですし、大和の平野酒造さんは、「長良川母情」の中で取材しましたので、「天職一芸シリーズ」が終わってからになりそうですが・・・。
気長にお待ちください!
福井かと思いました~ (*^-^*)
我が家の小さな怪獣くんなら「スッゲー❗」「 でっか❗ 」と言いながら 満面の笑みで パパと一緒に いつまでも いつまでも 見ているんでしょうね~
(@^▽゜@)ゞ
昆虫 恐竜 が大好きで あの夏場に出没する 「G 」 も 飼ってみたい❗って言ってたんですよ 〰️ (;>_<;)
今も見学できるのなら、連れて行ってあげたいなー (●^o^●)
子どもの頃って、昆虫が不思議とぜんぜん怖くなかったものです!
今もきっと郡上ラボは見学できると思いますよ!
「天職一芸〜あの日のPoem280」
郡上ラボ特殊造形師森藤弘美さん ト・トラックの上に・・・
遊びごころ 満載ですね。
いいですよねぇ。
いつまでもそんな子供心を持った大人たちって!