今日の「天職人」は、愛知県碧南市の「耳掻き職人」。(平成十七年二月二十六日毎日新聞掲載)
小さな寝息たてながら いつしか君は夢の中 何かをねだる夢だろか パパこれこれと繰り返す 耳掻きだけはパパなのね 妻がクスリと笑い声 頬を真っ赤に染め上げて 君の寝息が深くなる
愛知県碧南市の耳掻き職人、加藤惠一さんを訪ねた。

『耳が痒(かゆ)いと、何か善い事がある』。 耳触りの良い耳掻きで、痛痒くなる寸前まで掻く。永年己だけが知り得る、絶妙な耳掻きの極意。しかしどんな耳掻きでも善い訳はない。だから永年連れ添うと、先端の綿毛も抜け去る。
さて、前置きはほどほどに、至福の耳掻き職人を、ご紹介しよう。
惠一さんは、昭和二十六(1951)年に碧南市で生まれ、高校を上がり市役所に勤務。主に議会事務局で、速記を担当した。三十歳の頃の御用納め。飴色に焼けた、二つ割の竹が現れた。柿羊羹の器だ。
「貧乏性で捨てられんまんま」。 その竹でシシャモをイメージし、一本の耳掻きを仕上げた。
以来、年に十本程度を、試行錯誤で拵(こしら)えた。中でも鞘入りの耳掻きは、独創的な作品だ。
四十九歳を迎えたある日。同僚から、ハンズ大賞への応募を薦められた。「耳糞掘りなんて、出していいのか?」。そんな言葉が鸚鵡(おうむ)返しに口をついた。
作品への評価も気に掛かり、東京巣鴨の刺抜き地蔵へ、耳掻き職人を訪ねた。「自信作をポケットに忍ばせて」。 老職人は黙々と、実用的な耳掻きを削り出す。まるで秒針が、正確な時を刻むように、皺だらけの指先が巧みに動く。
「これ一本で食べて行くとは、こういうことだ」。老いた職人の姿に、己が重なる。
趣味の耳掻を披瀝し、意見を聞きたいと願った自分を恥じた。
その年、ハンズ大賞に応募。役所に辞表を書いた。「応募が自分の背中を押したのかなあ」。 『MIMIKAKI革命』と題した作品は、全部で三十一本。「あれも、これもありますって感じ」。全作品をぶつけた。その甲斐あって、見事受賞。

翌年春役所を辞し、文字通り五十の手習い。妻・民子さんが、保育園勤務で一家を支えた。二年後、小さな展示即売会へと出品。「二日間で九万円の売上げ。手ごたえを感じた」。
耳掻きの命は、竹の撓(しな)り具合とか。『耳にやさしく、気持ちよい』が大前提。先端の三㎝、匙(さじ)と呼ばれる部分が道具で、その下は職人が、遊び心で意匠を凝らす領域とか。
「『どんな風に仕上げて欲しいか』って、いっつも竹に話しかけてやるんだわ」。 加藤さんの言葉は、竹林を駆け抜ける風の様に透き通っていた。
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おはようございます。
耳掻き職人のお話ですね。
・愛知県碧南市に、耳掻き職人さんが、見えた事知りませんでした。ブログで、勉強になりました。
・(写真)耳掻きは、色々なデザインが、有るのですね。綺麗ですね。
・私は、耳掻きを、買った事が有りません。
・私が、見た事有る耳掻きは、木か竹の耳掻きに頭に丸い綿が付いているタイプです。
耳垢は自然に出て来るからしない方がいいって言う人もいますが、大した耳掻きを持っている訳でも無いけれど、これがまた好きだから止められない。
『耳にやさしく、気持ちよい』耳掻きとは、どんな物か使ってみたいな⤴️
柔らかい撓りで、耳の内壁をあまり強く刺激することがない、そんなスグレモノなんです!
耳掻き職人さんが、居たとは・・!
子供の頃、親に耳搔きをして貰うと、あまりの気持ち良さに
知らぬ間に意識が遠のいて熟睡していた覚えがあります。
自分で耳搔きしても、なんら気持ち良くはありませんが、
人にやって貰うと気持ちがイイです!
あっしの細やかぁ~~な⤴夢は何処かの美熟女の膝枕で耳搔きをしてもらって
夢心地な気分になりたいですぅ~⤴
どこまでも美熟女好きなあっしは罪作りな男だった!
ぼくは、お母ちゃんの耳掻きは痛くって痛くって、全然気持ちよくもへったくれもありませんでしたが、お父ちゃんの優しい耳掻きには、いつも寝息を立てでいたものです!
耳そうじ 気持ちいいんですよね〜。
耳掻きなら何でもいいわけではなく 先端のカーブの加減が耳の奥に合うか合わないかによって ゴミの取れ具合いや気持ち良さが違うんですよね。
私は ついついガリってやっちゃうんです。あまり良くないんですけどね。
耳掻きの上に付いてるフワフワっとした鳥の羽で出来てる梵天は ちと苦手。
とにかくくすぐったいのは苦手。
自分の耳の中を見る事が出来る耳掻きスコープで1度見てみたい気もします(笑)
ぼくは床屋さんの良し悪しは、耳掻き上手かどうかで決めてる節がありそうです。
父も 髪なんて殆ど無くなってからも 月に何回か床屋さんに行ってました
(;・∀・)
顔剃りと耳掻きだけでしたが、「 あーさっぱりした❗ 」と言って 笑顔で帰って来てました (^-^ゞ
これは男性しか体験できないんでしょうか~❔
私にも 耳掻きの あまーい 思い出が ・・・ (*^。^*)
あっ、それって・・・!
青春ですねぇ!