今日の「天職人」は、岐阜県高山市の、「神棚指物師」。
信心深くもないぼくが 柏手打って神頼み 隣の駅で見掛けるあの娘に 恋する心が届きますよう 縁結び名高き神のご利益か 席を譲った老婆がまさか 義理の祖母になろうとは 赤子抱くあの娘に寄り添う宮参り
岐阜県高山市の神棚指物師、岩花憲徳(としみち)さんを訪ねた。

半世紀以上も昔、「昭和の甚五郎」と呼ばれた神童がいた。それが岩花さんだ。
憲徳さんの父は、高山で手広く事業を拡げ、当時としては珍しい大恋愛の末、岐阜県岩村町から妻を迎えた。誰もが羨む幸せ絶頂の中、一粒種の憲徳さんが昭和2(1927)年に誕生。だがその幸せの輝きは、闇夜を照らす蛍の灯より儚かった。程なく父は事業に失敗し、一家は名古屋へと落ち延びた。
そして追い打ちをかけるように、憲徳さんが二歳の年、再起を果たせぬまま父が他界。遺された母は、幼子を抱え故郷岩村町の兄妹を頼った。だが一度坂を転がり始めた勢いを、止める術などどこにも無かった。さらに神は、一家を突き放すかのように、今度は母の命を召し上げた。四歳の憲徳さんは、天涯孤独の身と成り果てた。
「よう学校で『捨て子ゃ』って虐められた。でも得意の工作で見返したったんやて」。それが評判を呼び、いつしか神童と讃えられた。

昭和18(1943)年、育ての親への孝行にと、命を差し出す覚悟で予科練を志願。しかし敢え無く二次試験に落ち、結果として一命を取り留めた。
終戦から三年。貧しくも平穏な暮らしが村に戻った頃、兄妹同然に育った従兄妹の嫁入り話が持ち上がった。憲徳さんは、せめてもの祝いの品にと、昼間の野良仕事を終えると、寝る間を惜しみ嫁入り道具作りに没頭。見よう見真似で、桐の夫婦箪笥から下駄箱までを仕上げた。馬車に積み込まれた嫁入り道具は、村中の評判を呼び注文が殺到した。

それから三年。一家三人が夜逃げ同然で後にした、高山へと一人舞い戻った。桐と漆箪笥専門店の職人として勤め、二十九歳の年に妻を迎え、自らの手で家を建てた。
四十九歳の年に箪笥店を辞し、京都へ足蹴く通いつつ、試行錯誤で工夫を重ね、百八十種に及ぶ神棚作りを開始。「神棚は、神様に棲んでいただく聖なる神殿や。相次いで両親を亡くした時は、神も仏も無いと思ったもんやけど、何とかここまでこれたんは、やっぱり神様のご加護やて」。憲徳さんは、真っ黒な指先を見つめた。

お家再興を果たせず散った父の志を、昭和の甚五郎と呼ばれた神童は、己の指先一つで神をも味方に引き寄せ、半世紀以上の時を費やし、見事故郷に錦を飾った。
*二〇〇四年三月二十三日永眠。合掌
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我が家にも神棚がありましたよ。祖父が毎日、柏手を打ってお参りしている姿を見て、子供の頃は真似をして一緒にパン、パン。
高校生の頃だったか、年末に母から神棚の掃除を頼まれた兄が、「神棚の中から宝くじを見つけた!」と。
父が神頼みにと置いた宝くじの事を、母は知らずに掃除を頼んでしまったのでしょう。後で、みんなで大笑い(^o^)
ぼくには、その宝くじが当たっていたのか、それともって・・・そっちが気になって仕方ありませんねぇ。
こんにちは。
神棚指物師さんのお話ですね。
・私は、高山に神棚指物師さんが、見えた事知りませんでした。
・神棚屋さんのお店の所(道)通った事有ります。
・岩花憲徳(としみち)さん 大変でしたね。生涯孤独になってから大変でしたね。(苦労したのですね。)見よう見真似で夫婦箪笥と下駄箱を、作った事すごいですね。 箪笥屋さんから神棚屋さんになったのですね。故郷に錦を、飾った事すごいですね。
・昭和の甚五郎が、亡くなった事惜しいですね。お悔やみ申し上げます。
後継ぎが見えるか分かりませんが、後継ぎが見えたら良いですね。
・家(自宅)に神棚が、有ります。 榊(正月の時は松付きの榊,普段は松がない榊)を、こまめに変えません。
・私は、神棚に詣るのは、年末年始から正月の時ですね。 子供の時神棚にお詣りした事有りますね。
・私の祖母は、ダミー(造花)の榊を、置きたくないのです。祖母なりに考えが有ると思います。
・前社の時は、神棚が、有ったので榊を、変えてました。1日と15日に、榊を、交換していました。
榊の水交換は、ホールの仕事に入っていました。
我が家に『笑い声』と言う御利益がぁ(*^。^*)
あらら、じゃあ大当たり?
神棚に「宝くじ」
我が家にも「ちっちゃ~な ちっちゃ~な」神棚があります。
やはりそこには「宝くじ」を置いて、なんとか
神様⤴宝くじ「あ・た・り・ま・す・ように!」祈っています。
違う!お金が全てじゃないんだぁ!
健康で日々暮らせることが幸せと言うもんだぁ!
お金なんて お金なんて・・・・!
チョットは欲しいよねぇ!
うんん⤴いつか「ダイジン」になってお風呂の有る家に住みた~い!
これまた落ち武者お大尽様が、何を仰っている事やら!
お風呂って、つまりJR岐阜駅の南側のですか???
二十数年前に同級生のお父さんに建ててもらった我が家には和室に神棚がありましたが、ずっと空いたままでした。数年前に道の駅「きりら坂下」へ寄ったら神殿が売られていて、安かったので購入。ようやく主ができました。
やっぱり神棚は欲しいですよね。
ぼくも今年お伊勢さんに詣でた折、内宮の札所で二柱神様をお祀り出来る神棚を買おうかと、随分迷った挙句、また来年の課題としてしまいました。
神様は 時として試練を与えますよね!
乗り越えられる試練しか与えない…と言われてますが この方は幼子の頃から次々と。でも常に見守られていたんでしょうね。だから神様が味方に( ◠‿◠ )
私の実家にも神棚があります。
1日おきに実家に行く度に 神棚と仏壇に手を合わせ 両親の事をお願いさせて頂いてます(合掌)
神様や仏様の前に額づくと、邪な気持ちが霧散していくように、スッキリするから幸せな気持ちになれますよね。