「天職一芸~あの日のPoem 9」

今日の「天職人」は、三重県尾鷲市の、「尾鷲わっぱ塗師職人」。

神々御座す 山海の 恵み与えし 尾鷲港        夜も明けやらぬ 入船に 勝鬨挙がる 初さいろ     海を恐れぬ 男衆 赤い真潮が 身に滾る        闇より深い 情愛と 塗師の漆黒 曲げわっぱ

*「さいろ」は尾鷲地方の方言で「秋刀魚」の意。

三重県尾鷲市で明治20(1887)年から続く、尾鷲わっぱ ぬし熊の四代目世古さんを訪ねた。

尾鷲檜の一枚板を曲げ、桜の皮を糸代わりに縫い留め、手製の和釘のように強靭な竹串で底板を繋ぎ止める。そして仕上げに三週間を費やし、生漆が丹念に布で直にすり込まれる。尾鷲わっぱの工程は、四十五手にも及ぶと言う。

尾鷲わっぱは、元は山師の弁当箱として重宝がられたそうだ。「漆には殺菌効果があり、何より飯が旨いんやさ」と世古さん。山師は飯を山盛りにした一対のわっぱをぶら下げ、神々御座す尾鷲檜の山へと分け入る。蓋の大きな方の山盛り飯が朝飯。昼には空になった蓋に川の水を汲み、焼き石と味噌を一緒に放り込む。小さい方の山盛り飯と、具の無い味噌汁で腹を満たしたとか。

いかにも飯が旨そうな、小判型の尾鷲わっぱ。いつかこんなわっば飯を食べて見たいものです。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「天職一芸~あの日のPoem 9」」への7件のフィードバック

  1. おはようございます。尾鷲わっぱ塗師職人さんのお話ですね。
    漆塗りの曲げわっぱの弁当箱綺麗ですね。作るのに手間がかかりますね。
    わっぱは、実際に見た事有ります。
    だいぶ前の職場の方が曲げわっぱの弁当箱を、持っていました。
    私もこのわっぱで、ご飯を食べて見たいです。

  2. わっぱ飯は父ちゃんが伐採師をしていた頃、毎日、持って行ってました。白いご飯に少し麦が入り、梅干しと卵焼きが定番でしたね。時々、わっぱの中に季節の恵みがあり家で家族で食べました。わっぱ飯は冷めても美味しいですよ。

    1. わっぱ飯は、理にかなっているんでしょうね。
      いいお父ちゃんですね!

  3. 曲げわっぱ 一度は手にしてみたいんですけど なかなか…
    いいお値段しますからね。
    水分調整もしてくれて ほのかに木の香りも。盛り付けた時に見栄えもしますから。
    曲げわっぱに入った白米 食べてみたいなぁ〜。 おかずはいらないから(笑)

  4. 私も、わっぱ弁当箱、見た事あります。
    今の顔より小さい弁当箱より良いですね。
    私なら、生姜漬けを入れて持って行きたいな。
    今持っていたらカッコ良いだろうな。

    1. けっこう最近では、曲げわっぱの弁当箱が、若い方にも人気だそうですねぇ。

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