「あの日、あの時のまま…」

久しぶりに岐阜に行ってきました。

岐阜の大先輩からご連絡をいただき、一献傾けることとなり、これまた久方ぶりのお店「美濃乃蔵」にまいりました。

こちらのご主人の「カッチャン」には、生前大変お世話になったものです。

生前と言うのも、昨年末の12月29日。お節料理の準備もすべて終え、夜も更けてからお弟子さんを連れサウナで一年の穢れを落とされたとか。その直後に倒れられ、救急搬送されたそうです。そして日付の変わった30日未明、還らぬ人となってしまいました。享年78。庖丁一本に人生の全てを捧げ、立ち止まることも無く、一気呵成に駆け抜けた生涯現役の料理人。「カッチャンらしい」と、思わずぼくが呟くと、奥様は窓の外を眺め「そうでしょう」と、コトリと笑ってくれました。

カッチャンが身罷られたと耳にしたのは、今年になって松飾が取れた頃の事でした。ですから忙しさにかまけ、ご仏前で香を手向けることも出来ぬままだったのです。だからやっとお供えをお届けすることも出来ました。

大先輩を待つ間、奥様とご一緒に昔話に花を咲かせ、在りし日のカッチャンを偲んだものです。

料理人のカッチャンは、あの吉兆3店舗で吉兆花伝の奥義を修業し、吉兆の主人から大変可愛がられ、将来を嘱望されたほどの腕前。それに関しては、毎日新聞掲載の拙著「天職一芸」の記事をご覧ください。

大先輩がおいでになってからのお話は、また何時の日か。

それからこのブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「あの日、あの時のまま…」」への17件のフィードバック

  1. おはようございます。井坂十蔵です。
    オカダミノルさんが生前お世話になったご主人カッチャンが昨年12月30日亡くなったのですね。
    生涯現役の料理人カッチャン すごいですね。(包丁一本で生涯現役だったのですね。)
    オカダミノルさんお仏壇にお供えが、出来て良かったですね。
    カッチャンの奥様とお話出来て良かったですね。
    カッチャンは、吉兆の主人に可愛がられていたのですね。私 知りませんでした。

  2. 美味しそうな献立が目に浮かびますが、鮎と少しのツマミと日本酒で一杯はいいですね。

  3. 素敵な…大切なひとときでしたね。
    生涯現役であったご主人も きっと喜ばれたと思いますよ。
    「お客さんのうれしそうな顔を見るのが、何より好きなんやて」
    昔話をしてる オカダさんとご主人の奥様もきっと笑顔だったのかなぁ〜って思います。
    若かりしご主人は 運命的な出会いによって 才能を見出され でも自分の信念は貫き「ついに岐阜に吉兆作ったな」と。最高の褒め言葉まで。素敵な人生ですね‼️

    1. 画像の見にくい天職一芸の記事までお読みいただき、ありがとうございました。
      カッチャンは晩年、古里の揖斐郡坂内村に「今日庵」という庵を構え、自ら梅を育て梅干を作ったり、茶葉を育て自ら蒸して手揉み茶を作ったり、店でお客さんに供する野菜は、ほとんど自らの畑で作ったものでした。
      もちろんお米も。また豊富な山水を利用し、生け簀を設け、あじめどじょうや鰻、それに鮎までも飼っておられたほどです。
      「ついに岐阜に吉兆を作ったな」は、カッチャンにとって、最高の勲章だったに違いありません。
      合掌

  4. とても意味のある時間を過ごされましたね。
    そんな場所のあることが素敵だと思います。
    生きた証があることも。

    1. そう言っていただけると、嬉しい限りです。
      なかなか不器用にしか生きられませんが、まあそれはそれ。
      人生の起伏を愉しむしかありません。

  5. 人生生ききったときに、残った人に良い影響を与えられた人生は最高ですね。僕もそうありたいと思います。

    1. 折に触れ、思い出していただける、そんな人生って、どんなに高価な物にも勝るかもしれません。

  6. 美濃乃蔵さんの料理を味わいたくなってしまいました。

    美味しい料理とお酒で想いを馳せる至福の時間ですね。

    私が行く時はカッチャンの記事を話しているオカダさんを妄想してみます。

  7. 岐阜にこんな素晴らしい名店が有るとは知りませんでした。何時か行ってみたいお店の一つになりました。

  8. 私もグランベール岐山のお店には、1度食事に行った事がありました。
    あの時のやさしいカッチャンの面影を思い出しました。
    また涙しちゃいました。
    年のせいかな?
    でも、あの味は絶対忘れません。

    1. そう言っていただけると、カッチャンが何より天国で歓んでくださっているに違いありません。

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