
「みんな、動かないで!」。
透き通るような声が岬の突端に響き渡った。
ほんの束の間、場の緊張感がほぐれていった。
二本足で立ち上りかけた熊は、前足をゆっくりと地面に下ろした。

今にも裕也と基喜に飛び掛ろうとしていた、トラの後足の筋肉も緊張を和らげた。
「こっ、木乃葉!なっ、なんでお前・・・」。
基喜が目を白黒させながら叫んだ。
「みんな、大きな声を出しちゃ駄目!この子達はサーカス団の猛獣なの。だから嚇かしたりしなければきっと大丈夫」。
「多分この子達は、お腹を空かしておるんじゃよ。ようし、ようし、おとなしくするんじゃぞ。今、何か食い物を探してやるからのう」。

「おじいちゃん、そう言えばコンチャンあんパン持ってた」。
木乃葉はバックパックから、大急ぎであんパンを取り出した。

「おじいちゃんは、トラさんに。コンチャンは熊さんに」。
木乃葉と老人は、熊とトラを刺激しないようにゆっくりと一歩ずつ近付いて行った。
そして二人は、ゆっくりと片手であんパンを差し出し、熊とトラの鼻先に向かって弓なりに放った。
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