「マミーズ・フォレスト」④

完売間近!!!!       「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

●日 時:2023年 4月16日(日)

     14:00開場、14:30頃開演、16:00頃終了

●会 場:MUSIC & BAR 『C♭』

 岐阜市神田町7-7-3 神田セブンビル 2F 058-266-4477

●出 演:オカダミノル & ヤマもモ(友情出演)

●参加費:お一人様Live Charge \4,000-(「キリン・一番搾り」「キリン・氷結レモン」「キリン・ホワイトホースハイボール」「キリン・グリーンズフリー(ノンアルコールビルー)」の飲み放題)*感染症予防への取り組みで、缶商品でのご提供となります。

*ソフトドリンクをご希望の方は、「C♭」で1ドリンク500円でご注文いただくことも可能です。またソフトドリンクの持ち込みも可能です。

*おつまみは参加者各自1品持ち込みで、みんなで持ち寄ったおつまみをみんなでシェアーしていただきます。(おつまみは、自作自慢の1品でも、スーパーのお惣菜でも、市販のコンビニおつまみや、缶詰とかお菓子類でもOK)

*参加者全員に、KIRIN BEERさんからのお土産もご用意いただけます!

●定 員:30名(全席自由席)

●申込み:メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係まで。*万が一キャンセルの場合は、必ず2023年 3月31日(金)17:00までにメールでご連絡願います。その時点を過ぎると、全額負担とさせていただきます。

●締 切: *先着順、定員となり次第締め切り

●問合せ:herakozu@yahoo.co.jp

●主 催:オカダミノルほろ酔いLive実行委員会

●協 賛:KIRIN BEER

*Live終了後はオカダミノルもご一緒させていただき、二次会打ち上げパーティーを開催いたします。(*二次会のご飲食代は、別途実費精算となります)ご希望の方は、お申し込み時に「二次会出席希望」とお書き添え願います。二次会参加者人数が確定した段階で、詳細の参加費が算出されるため、参加者人数確定後に参加費のご連絡を申し上げます。

「おおーい、勇輔!これだ、この石に違いない!早くこっちに来て手伝え」。

その石は、勇輔くんが躓いたものでした。

写真は参考

マンホールの蓋ほどの大きさの石は、全体が苔生しているせいか石のようには見えません。

健一くんの命令に従って、勇輔くんも美希ちゃんも必死で石を押しました。

大きく平べったい石が、少しずつ少しずつ動き始めます。

石の下に真っ暗な穴が、ポッカリと口を開きました。

写真は参考

「きっとお宝が一杯だ」。

健一くんは身を乗り出し、大きく真っ暗な穴を覗き込んだのです。

すると風もないのに一番大きな楠の枝が、バザバサバサッと音をたてて揺れ始めました。

写真は参考

今度はそれに呼応するかのように、鎮守の森の木々が、一斉に揺れ始め出します。

「ウワーッ!」。

健一くんの覗き込んでいた穴が、木々の揺れに合せて一瞬歪みました。

まるで健一くんを飲み込むかのように。

「助けてくれー!勇輔!」。

穴の底から泣き叫ぶ声が聞こえました。

嵐のように揺れていた木々が、突然静まり返ったのです。

大きく歪んだ真っ暗な穴も、何事も無かったかのように、元のままポッカリと口を開けています。

「美希ちゃんは、ここから動いちゃだめだよ」。

「お兄ちゃんは?」。

「ケン兄を助けに行ってくるから」。

「いやだ、美希も行く!絶対行くもん!」。

「だって真っ暗な穴の中は、どうなってるかわからないし、何がいるかもわからないんだよ。だから美希ちゃんはいい子だから、ここで待っててね」。

勇輔くんは美希ちゃんに言い含め、穴の中へと足から飛びこみました。

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「マミーズ・フォレスト」③

完売間近!!!!       「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

●日 時:2023年 4月16日(日)

     14:00開場、14:30頃開演、16:00頃終了

●会 場:MUSIC & BAR 『C♭』

 岐阜市神田町7-7-3 神田セブンビル 2F 058-266-4477

●出 演:オカダミノル & ヤマもモ(友情出演)

●参加費:お一人様Live Charge \4,000-(「キリン・一番搾り」「キリン・氷結レモン」「キリン・ホワイトホースハイボール」「キリン・グリーンズフリー(ノンアルコールビルー)」の飲み放題)*感染症予防への取り組みで、缶商品でのご提供となります。

*ソフトドリンクをご希望の方は、「C♭」で1ドリンク500円でご注文いただくことも可能です。またソフトドリンクの持ち込みも可能です。

*おつまみは参加者各自1品持ち込みで、みんなで持ち寄ったおつまみをみんなでシェアーしていただきます。(おつまみは、自作自慢の1品でも、スーパーのお惣菜でも、市販のコンビニおつまみや、缶詰とかお菓子類でもOK)

*参加者全員に、KIRIN BEERさんからのお土産もご用意いただけます!

●定 員:30名(全席自由席)

●申込み:メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係まで。*万が一キャンセルの場合は、必ず2023年 3月31日(金)17:00までにメールでご連絡願います。その時点を過ぎると、全額負担とさせていただきます。

●締 切: *先着順、定員となり次第締め切り

●問合せ:herakozu@yahoo.co.jp

●主 催:オカダミノルほろ酔いLive実行委員会

●協 賛:KIRIN BEER

*Live終了後はオカダミノルもご一緒させていただき、二次会打ち上げパーティーを開催いたします。(*二次会のご飲食代は、別途実費精算となります)ご希望の方は、お申し込み時に「二次会出席希望」とお書き添え願います。二次会参加者人数が確定した段階で、詳細の参加費が算出されるため、参加者人数確定後に参加費のご連絡を申し上げます。

勇輔くんが目の前の草を払った瞬間、得体の知れない物体が飛び出してきました。

黄緑色をした物体が、顔を目がけて一直線に飛びかかって来たのです。

「ギィヤッー!」

勇輔くんは、慌てて身体を起し、大急ぎで後ずさりました。

「ああっ!」。

何かに足をすくわれたように、後ろ向きのまま地面に倒れ込んでしまいました。

写真は参考

「なんだよ、カマキリじゃねぇか!」。

健一くんは、足元のカマキリを片手で摘み上げ、勇輔くんを覗き込みました。

「弱虫勇輔ヤーイ!」。

そう言うと健一くんは、勇輔くんの帽子を取り上げ、カマキリを投げ入れたのです。

「ぼくの帽子…」。

写真は参考

やっとのこと上半身を起した勇輔くんは、小さな声でつぶやきました。

「カマキリが怖くなくなるには、カマキリと仲良しになればいいのさ。ほら、こうして」。

健一くんは、カマキリが入った帽子を無理矢理、勇輔くんの頭に被せ、上から押さえつけてしまいました。

「グシャッ」と、鈍い音が!

「ほら、押しカマキリの出来上がり!」。

健一くんはそう囃したてながら、腹を抱えて笑っています。

勇輔くんは悔し涙をこらえながら、帽子を脱ぎました。

そこへ美希ちゃんが、駆け寄って来て小声でささやきました。

「ケン兄、ひどいね」。

勇輔くんは帽子の中から、チューブが破れた黄緑色の絵の具のようなカマキリを、気味悪そうに摘み上げました。

「ゴメンネ。カマキリさん。ぼくのせいでこんなことになっちゃって」。

勇輔くんは涙混じりにつぶやいて、大きな楠の根元に穴を掘り、潰れたカマキリを埋め小さな両手を合わせました。

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「マミーズ・フォレスト」②

残席ほんのわずか!!!!       「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

●日 時:2023年 4月16日(日)

     14:00開場、14:30頃開演、16:00頃終了

●会 場:MUSIC & BAR 『C♭』

 岐阜市神田町7-7-3 神田セブンビル 2F 058-266-4477

●出 演:オカダミノル & ヤマもモ(友情出演)

●参加費:お一人様Live Charge \4,000-(「キリン・一番搾り」「キリン・氷結レモン」「キリン・ホワイトホースハイボール」「キリン・グリーンズフリー(ノンアルコールビルー)」の飲み放題)*感染症予防への取り組みで、缶商品でのご提供となります。

*ソフトドリンクをご希望の方は、「C♭」で1ドリンク500円でご注文いただくことも可能です。またソフトドリンクの持ち込みも可能です。

*おつまみは参加者各自1品持ち込みで、みんなで持ち寄ったおつまみをみんなでシェアーしていただきます。(おつまみは、自作自慢の1品でも、スーパーのお惣菜でも、市販のコンビニおつまみや、缶詰とかお菓子類でもOK)

*参加者全員に、KIRIN BEERさんからのお土産もご用意いただけます!

●定 員:30名(全席自由席)

●申込み:メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係まで。*万が一キャンセルの場合は、必ず2023年 3月31日(金)17:00までにメールでご連絡願います。その時点を過ぎると、全額負担とさせていただきます。

●締 切: *先着順、定員となり次第締め切り

●問合せ:herakozu@yahoo.co.jp

●主 催:オカダミノルほろ酔いLive実行委員会

●協 賛:KIRIN BEER

*Live終了後はオカダミノルもご一緒させていただき、二次会打ち上げパーティーを開催いたします。(*二次会のご飲食代は、別途実費精算となります)ご希望の方は、お申し込み時に「二次会出席希望」とお書き添え願います。二次会参加者人数が確定した段階で、詳細の参加費が算出されるため、参加者人数確定後に参加費のご連絡を申し上げます。

「さっさとしろよ。こっちだこっち!」。

「お兄ちゃんちょっと待って、美希ちゃんのサンダルが脱げちゃったんだもん」。

写真は参考

「バカヤロウ!そんなの履かすからだ!」。

おやおや今日の健一くんは、いつもに増してヒステリックなようですよ。

まあ、8歳の健一くんから見れば、6歳の勇輔くんや4歳の美希ちゃんは、やることなすこと、そりゃあ歯痒いことばかりでしょう。

でも何もそこまで…。

3人はお社の裏側にある、大きな木がうっそうと繁る、境内奥の森へとやって来ました。

写真は参考

「たしかこの辺りのはずなんだけど」。

「お兄ちゃん、なに探してるの」。

「ピカピカ光る宝石や、金色に輝く小判さ」。

「ヘェー、ケン兄、シュッゴイ」。

「勇輔!このどこかに、穴を塞いでいる、大きな石があるはずだ。その石を探すんだ!」。

健一くんが命じました。

写真は参考

勇輔くんと美希ちゃんは、薄暗い木立の中を前屈みになり、一生懸命に草を掻き分けます。

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新シリーズ「マミーズ・フォレスト」①

残席わずか!!!!       「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

●日 時:2023年 4月16日(日)

     14:00開場、14:30頃開演、16:00頃終了

●会 場:MUSIC & BAR 『C♭』

 岐阜市神田町7-7-3 神田セブンビル 2F 058-266-4477

●出 演:オカダミノル & ヤマもモ(友情出演)

●参加費:お一人様Live Charge \4,000-(「キリン・一番搾り」「キリン・氷結レモン」「キリン・ホワイトホースハイボール」「キリン・グリーンズフリー(ノンアルコールビルー)」の飲み放題)*感染症予防への取り組みで、缶商品でのご提供となります。

*ソフトドリンクをご希望の方は、「C♭」で1ドリンク500円でご注文いただくことも可能です。またソフトドリンクの持ち込みも可能です。

*おつまみは参加者各自1品持ち込みで、みんなで持ち寄ったおつまみをみんなでシェアーしていただきます。(おつまみは、自作自慢の1品でも、スーパーのお惣菜でも、市販のコンビニおつまみや、缶詰とかお菓子類でもOK)

*参加者全員に、KIRIN BEERさんからのお土産もご用意いただけます!

●定 員:30名(全席自由席)

●申込み:メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係まで。*万が一キャンセルの場合は、必ず2023年 3月31日(金)17:00までにメールでご連絡願います。その時点を過ぎると、全額負担とさせていただきます。

●締 切: *先着順、定員となり次第締め切り

●問合せ:herakozu@yahoo.co.jp

●主 催:オカダミノルほろ酔いLive実行委員会

●協 賛:KIRIN BEER

*Live終了後はオカダミノルもご一緒させていただき、二次会打ち上げパーティーを開催いたします。(*二次会のご飲食代は、別途実費精算となります)ご希望の方は、お申し込み時に「二次会出席希望」とお書き添え願います。二次会参加者人数が確定した段階で、詳細の参加費が算出されるため、参加者人数確定後に参加費のご連絡を申し上げます。

まずはぼくの楽曲「Mammy’s Forest」をお聴きいただきながら、お読みいただければ幸いです。

サワサワサワ…、サワサワサワ…

写真は参考

夕暮れ時まで神社の境内に、童歌と子どもたちのハシャギ声が聞こえていたのは、もうかれこれ30年も昔のことになりましょうか。

私は境内の奥で、子どもたちが学校から戻って来るのを、毎日毎日それはそれは楽しみに待っておりました。

写真は参考

しかし最近では、神々の懐の杜で遊ぶよりも、ゲーセンとか言いましたっけ、あんな騒々しいところの方が宜しいようでして。

写真は参考

あっ、今日は珍しく子どもたちがやって来ました。

なあんだ、またあの子たちか…。

いえねぇ、お兄ちゃんの健一くんがちょっと意地悪な子でして、弟の勇輔くんや妹の美希ちゃんをいつもいじめてばかりいるんですよ。

勇輔くんと美希ちゃんは、2年前交通事故で両親を亡くし、父方の従兄弟にあたる健一くんの家に引き取られて来たんです。

なぁに私も、近所の奥さん達の噂話をちょいと聴きかじっただけなんですけどね。

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「味(あんじ)ようやりや」~晴れのち曇り、一時雨

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

●日 時:2023年 4月16日(日)

     14:00開場、14:30頃開演、16:00頃終了

●会 場:MUSIC & BAR 『C♭』

 岐阜市神田町7-7-3 神田セブンビル 2F 058-266-4477

●出 演:オカダミノル & ヤマもモ(友情出演)

●参加費:お一人様Live Charge \4,000-(「キリン・一番搾り」「キリン・氷結レモン」「キリン・ホワイトホースハイボール」「キリン・グリーンズフリー(ノンアルコールビルー)」の飲み放題)*感染症予防への取り組みで、缶商品でのご提供となります。

*ソフトドリンクをご希望の方は、「C♭」で1ドリンク500円でご注文いただくことも可能です。またソフトドリンクの持ち込みも可能です。

*おつまみは参加者各自1品持ち込みで、みんなで持ち寄ったおつまみをみんなでシェアーしていただきます。(おつまみは、自作自慢の1品でも、スーパーのお惣菜でも、市販のコンビニおつまみや、缶詰とかお菓子類でもOK)

*参加者全員に、KIRIN BEERさんからのお土産もご用意いただけます!

●定 員:30名(全席自由席)

●申込み:メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係まで。*万が一キャンセルの場合は、必ず2023年 3月31日(金)17:00までにメールでご連絡願います。その時点を過ぎると、全額負担とさせていただきます。

●締 切: *先着順、定員となり次第締め切り

●問合せ:herakozu@yahoo.co.jp

●主 催:オカダミノルほろ酔いLive実行委員会

●協 賛:KIRIN BEER

*Live終了後はオカダミノルもご一緒させていただき、二次会打ち上げパーティーを開催いたします。(*二次会のご飲食代は、別途実費精算となります)ご希望の方は、お申し込み時に「二次会出席希望」とお書き添え願います。二次会参加者人数が確定した段階で、詳細の参加費が算出されるため、参加者人数確定後に参加費のご連絡を申し上げます。

「実はなぁ、お前にゃあ兄さんと姉さんがおったんや」。

父は特別養護老人ホームのソファで、いきなり切り出した。

写真は参考

中指と人差し指の間で、紫煙がくゆり、長く伸びた灰が音も無くポトリと落ちた。

写真は参考

喘息持ち父は、医師から喫煙を禁じられていた。

ぼくは父を訪ねる度、それを承知で煙草に誘った。

その度父は、悪戯っ子のように、嬉しそうな眼差しを向けた。

田舎生まれの父は、青春の大半が貧しさと戦争に蝕まれた。

写真は参考

戦後は、この国が見事に復興を遂げる狭間で、身をボロ雑巾のようにして働き詰めた。

何も望まず、多くを(ほっ)せず、ひたすら母とたった一人の息子を育てるためだけに。

写真は参考

蝉の抜け殻のように背を丸めた父は、遠くを見つめていた。

写真は参考

<今日は、どうやら雨かな>

いきなりの告白に、ぼくはそう感じた。

76歳の父の痴呆は、4年前から3歩進んで2歩下がるを繰り返していた。

痴呆の症状は、日によって現われ方が異なった。

ぼくと妻は、それを天気になぞらえた。

澱みない会話が成立する日は快晴。

全く意味不明な状態を、ドシャ降りと称した。

写真は参考

今思えば、せめてもの父への尊厳だった。

やはり実の息子としては、痴呆を心の何処かで認められずにいた。

「何ていう名前だったの」。

父のドシャブリに、ぼくは付き合う決心をした。

「兄の名が、奥田□×◎、姉が□△○」。

父の震える指先が、空を這った。

完璧な表記だった。

しかしぼくの姓は岡田だ。

思い過ごしか。

やはり父は、ドシャブリの中を彷徨っているようだ。

まだぼくはそう感じていた。

父は遠くを見つめながら、話を続けた。

戦地から引き揚げて直ぐ、口減らしも兼ね津市に婿養子に出された。

そして二人の子を儲けたが、訳があって離縁し、その後、ぼくの母と再婚したという。

雨はどうやらぼくの気のせいだった。

むしろ雲ひとつ無い、日本晴れそのものだった。

「ワシが逝ってしもても、お前は一人ぽっちやない」。

父は燃え尽きた煙草を、灰皿で何度も揉み消した。

写真は参考

「家族みんなと味よう(あんじょう)やりや」。

生涯抜けることの無かった、故郷訛りで、父はぼくに念を押すよう呟いた。

それから程なく、父は施設で睡眠中のベッドから落ち、脳挫傷で帰らぬ人となった。

「ありがとう、お父さん」。

そう言う間も無く、そそくさと母の元へと旅立った。

良いことなど数えるに足りぬ、父の人生。

争うことを嫌い、人を恨むことを嫌って、ただただ不器用に、最後まで「(あんじ)よう(ょう)」を身上に通した父。

「ありがとう、お父さん。ぼくは(あんじ)よう(ょう)やってるよ」。

写真は参考

パナマ帽を被った父の遺影に、ぼくは手を合わせ、火を灯した煙草をそっと供えた。

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「野辺の一輪」

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

●日 時:2023年 4月16日(日)

     14:00開場、14:30頃開演、16:00頃終了

●会 場:MUSIC & BAR 『C♭』

 岐阜市神田町7-7-3 神田セブンビル 2F 058-266-4477

●出 演:オカダミノル & ヤマもモ(友情出演)

●参加費:お一人様Live Charge \4,000-(「キリン・一番搾り」「キリン・氷結レモン」「キリン・ホワイトホースハイボール」「キリン・グリーンズフリー(ノンアルコールビルー)」の飲み放題)*感染症予防への取り組みで、缶商品でのご提供となります。

*ソフトドリンクをご希望の方は、「C♭」で1ドリンク500円でご注文いただくことも可能です。またソフトドリンクの持ち込みも可能です。

*おつまみは参加者各自1品持ち込みで、みんなで持ち寄ったおつまみをみんなでシェアーしていただきます。(おつまみは、自作自慢の1品でも、スーパーのお惣菜でも、市販のコンビニおつまみや、缶詰とかお菓子類でもOK)

*参加者全員に、KIRIN BEERさんからのお土産もご用意いただけます!

●定 員:30名(全席自由席)

●申込み:メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係まで。*万が一キャンセルの場合は、必ず2023年 3月31日(金)17:00までにメールでご連絡願います。その時点を過ぎると、全額負担とさせていただきます。

●締 切: *先着順、定員となり次第締め切り

●問合せ:herakozu@yahoo.co.jp

●主 催:オカダミノルほろ酔いLive実行委員会

●協 賛:KIRIN BEER

*Live終了後はオカダミノルもご一緒させていただき、二次会打ち上げパーティーを開催いたします。(*二次会のご飲食代は、別途実費精算となります)ご希望の方は、お申し込み時に「二次会出席希望」とお書き添え願います。二次会参加者人数が確定した段階で、詳細の参加費が算出されるため、参加者人数確定後に参加費のご連絡を申し上げます。

「花はぁ~いらんかえ」。

薄汚れた身形の爺さんが、縄暖簾を掻き分け、皺枯れた顔を覗かせた。

写真は参考

萎れかかった野辺の花を大切そうに抱え。

写真は参考

「花なら間に合ってらあ」。

一杯呑屋の板場から、大将ががなり声を上げた。

爺さんはすっかり項垂れ、小さく「へぇ」とだけ応え、寂しそうな後姿を残し店を出て行った。

写真は参考

「あらやだ。爺さん、花を置いてっちまったよ」。

女将はまだ揺れている縄暖簾を見詰めた。

「なんだよ、ちっ野菊一輪じゃねぇかよ」。

「あれっ?・・・確かどっかで…」。

女将はしきりに首を傾げた。

写真は参考

「へい、いらっしゃ…、何だい、また爺さんかい。もう花はいらねぇって…」。

「野辺の花一輪と一杯の酒が、一年に一度の楽しみじゃった。なんとかこれで一杯頼む」。

爺さんは懐から、皺くちゃの1円札を差し出した。

写真は参考

「はい、お待ち」。

女将が差し出す、並々と注がれたコップ酒を、爺さんは両手で包み込み、目を閉じたまま愛おしそうに口元へと運んだ。

写真は参考

ゆっくりと舐めるかのように、一口酒を啜っては「ヒュー」。

バタン!

奥の間から物音がして、女将は慌てて駆け込んでいった。

仏壇の写真盾が倒れ、落っこちているではないか!

「あんた!今日って確かお父さんの…」。

女将の声に大将は、小さな頃戦争で亡くした父の命日だったことを想い出した。

「しまった!」。

大将も慌てて仏壇に駆け寄った。

参考資料

供花は枯れ果て、写真盾も埃塗れ。

息を吹きかけると、軍服姿の遺影が浮かび上がった。

「ああっ!」。

二人は急いで店へと駆け戻った。

しかしもう何処にもお爺さんの姿は無い。

飯台の上には皺くちゃの一円札と、売れ残りの野辺の花一輪が。

「お、お父さん?」。

大将の上擦った声の先で、わずかに縄暖簾が揺れていた。

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ひととき2013.4「遠近見聞録⑥」⑦

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

●日 時:2023年 4月16日(日)

     14:00開場、14:30頃開演、16:00頃終了

●会 場:MUSIC & BAR 『C♭』

 岐阜市神田町7-7-3 神田セブンビル 2F 058-266-4477

●出 演:オカダミノル & ヤマもモ(友情出演)

●参加費:お一人様Live Charge \4,000-(「キリン・一番搾り」「キリン・氷結レモン」「キリン・ホワイトホースハイボール」「キリン・グリーンズフリー(ノンアルコールビルー)」の飲み放題)*感染症予防への取り組みで、缶商品でのご提供となります。

*ソフトドリンクをご希望の方は、「C♭」で1ドリンク500円でご注文いただくことも可能です。またソフトドリンクの持ち込みも可能です。

*おつまみは参加者各自1品持ち込みで、みんなで持ち寄ったおつまみをみんなでシェアーしていただきます。(おつまみは、自作自慢の1品でも、スーパーのお惣菜でも、市販のコンビニおつまみや、缶詰とかお菓子類でもOK)

*参加者全員に、KIRIN BEERさんからのお土産もご用意いただけます!

●定 員:30名(全席自由席)

●申込み:メールで、herakozu@yahoo.co.jp「オカダミノルほろ酔いLive 2023」係まで。*万が一キャンセルの場合は、必ず2023年 3月31日(金)17:00までにメールでご連絡願います。その時点を過ぎると、全額負担とさせていただきます。

●締 切: *先着順、定員となり次第締め切り

●問合せ:herakozu@yahoo.co.jp

●主 催:オカダミノルほろ酔いLive実行委員会

●協 賛:KIRIN BEER

*Live終了後はオカダミノルもご一緒させていただき、二次会打ち上げパーティーを開催いたします。(*二次会のご飲食代は、別途実費精算となります)ご希望の方は、お申し込み時に「二次会出席希望」とお書き添え願います。二次会参加者人数が確定した段階で、詳細の参加費が算出されるため、参加者人数確定後に参加費のご連絡を申し上げます。

『尾張名古屋の珈琲茶論(コーヒーサロン)』

「繋がりが生まれる場所」

「今日はお爺さんの命日だで、このポットにコーヒー入れてまえん?持って帰って、仏前に饅頭と一緒にお供えさせてまうで。だってお爺さん、この店のコーヒー大好物やったでなあ」と、客の老婆。

写真は参考

「そうそう。一日に3~4回は来てくれとったでなあ」と、コンパル本店の山口店長。

その光景を見て思い至った。

尾張名古屋の喫茶店は企業にあらず。

ましてや何杯のコーヒーを売ったかの、多寡(たか)でもない。

その店に集い、そして憩い語らう者たちと、店主やママとの一期一会ならぬ、一期八重に重なる人肌の繋がりがあってこその物種だと。

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ひととき2013.4「遠近見聞録⑥」⑥

いよいよ明日9:00am発表!!!「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」 ~詳細は明日2023.02.12のブログで発表いたします!!!

『尾張名古屋の珈琲茶論(コーヒーサロン)』

もう一つ、名古屋発祥グルメの喫茶店版の代表格と言えば、ずばりイタリアンスパゲティ。

昭和の名古屋モンにとって、イタリアンスパゲティと言えば、喫茶店で食べるものだった。

ところが何処をどう見ても、本場イタリアの洒落たパスタとは一線を画す。

ステーキ用の鉄板皿に溶き卵を敷いた、ケチャップ味と相場は決まっていたものだ。

写真は参考

だから誰もが全国どこでも、それこそが紛れも無いイタリアンスパゲティだと、疑うことすらなかった。

「亡くなった主人が洋行好きで、イタリアの本場でスパゲティを食べて、『これをうちの店でだそうか』と」。

昭和32年開店の喫茶ユキ。

写真は参考

創業者の妻である丹羽静江さん87歳は、まるで遠き日を手繰り寄せるかのように話し始めた。

「どうしても主人は、『熱々のまま食べてまいたいで、ステーキ用の鉄板に盛って出したろまい』って」。

昭和35年、ついに名古屋メシの元祖の一つ、鉄板盛りイタリアンスパゲティがこの店から産声を上げた。

それから半世紀、静江さんは今もフライパンを振り続ける。

静江さんの顔の皺は少なく、お歳の割に艶々のピッカピカ。

半世紀に渡って炒め続けた、スパゲティの跳ねた油のご利益か。

あまりに顔の色艶も良く、お元気ゆえついつい不躾にも、いつまで厨房に立ち続ける気かと問うた。

すると「そんなもん、命ある限りに決まっとるわさ」と、高らかに笑い飛ばした。

喫茶ユキには、昔からモーニングサービスなどない。

だが半世紀前から、鉄板も味も何一つ変わらぬ、昭和半ばの鉄板盛りイタリアンスパゲティがある。

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ひととき2013.4「遠近見聞録⑥」⑤

近日発表!!!「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」 ~2023.02.12詳細はブログで発表いたします!!! 

『尾張名古屋の珈琲茶論(コーヒーサロン)』

「名古屋の喫茶店は、老舗の心意気」

一方、尾張の中心地、名古屋。

一宮モーニングとは異なるスタイルながら、名古屋の喫茶店もまた、茶飲み好きの名古屋人に愛されて、独自の進化を遂げてきた。

「わし、今日はぬくたいで、レーコーでええわ」。

年配の男は薄手のジャンパーを脱ぎながら、通いなれた体でボックス席へと坐した。

冷珈(れいコー)」とは昭和半ばの尾張名古屋で、喫茶通を自負するオヤジたちが、誰とは無しにアイスコーヒーを(かぶ)いて呼んだ名のこと。

「はいっ、お待たせしました」。

ボーイはデミタスカップに、並々と注がれたホットコーヒーと、氷入りのグラスとミルクピッチャーを置いて立ち去る。

写真は参考

すると男は、まずホットコーヒーをスプーンに掬い、手慣れた調子で口元へ。

ゆっくりとコーヒーを一口味わったかと思いきや、今度はシュガーポットから、砂糖を3匙も注ぎ入れ、スプーンで掻き交ぜる。

そして徐にコーヒーカップを持ち上げると、そのまま氷の入ったグラスへと注ぎ入れた。

さらにストローでグルグルと掻き混ぜ、グラスの縁を這わせるようにミルクを流し込み、美味そうな音を立てストローを啜る。

そつのないその所作たるや、まるで名のある茶人の一服のお点前さながらだ。

「これがうちの店流の、アイスコーヒーの特徴です。たった一杯のコーヒーで、何度も違う味わい方が出来るという」。

名古屋市中区大須にある、昭和22年開業のコンパル本店。

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山口篤店長は、やさしげな眼差しを男に送りながらつぶやいた。

コンパルは、名古屋を中心に9店舗を構え、独特の名古屋喫茶店文化を牽引してきた、地元のコーヒーチェーンだ。

コンパル流アイスコーヒーは、「冷房の無い店内で、少しでも涼んでもらいたい」との思いから考案された。

当時、出来合いのアイスコーヒーは、豆で淹れるホットコーヒーに比べ品質が悪く、甘味を付けて味を誤魔化すものが多かった。

創業者の若田積蔵氏は、本来の淹れ立てコーヒーの香りと味が楽しめ、尚且つ客の好みで甘さを加減出来る、そんな画期的なスタイルを生み出したのだ。

ホットコーヒーと同じ豆を用い、少ない湯量で濃度を高めて抽出。

それを瞬時に冷却することで、味と香りも損なうことなく、解け出す氷でホットと同じ濃度になるよう工夫を凝らしたとか。

コクがあり嫌味のない苦みのアイスコーヒー。

分厚いエビフライサンドイッチとともに、コンパルの看板メニューを飾る。

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ひととき2013.4「遠近見聞録⑥」④

近日発表!!!「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」 ~2023.02.12詳細はブログで発表いたします!!! 

『尾張名古屋の珈琲茶論(コーヒーサロン)』

「モーニングサービスの裏方~喫茶店卸し一筋に生きる、筋金入りのパン屋」

「Café & dining Karen」の厨房を覗くと、切り分ける前の大きな業務用のパンに、「本」の文字が浮き上がっている。

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パンに屋号を刻み込むとは?

単なる遊び心か、それとも底知れぬほどのプライドの現われか?

どうにも気になり尋ねると、東海地区の喫茶店の多くにパンを卸し、それだけで業績を広げた「本間製パン」のものだと言う。

美和ちゃんはこの店を開く前から、本間パンを使いたかったと言う惚れ込みよう。

しからば小牧市にある、本間製パンへと向かわずにはおられまい。

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「ある喫茶店の店主にお客さんが、うちの業務用パンを『売ってまえんか』と。すると店主が、『そんなに食べたいんなら、うちの店に来て食べてちょー』って言ったとか」。

そう自慢気に話し始めたのは、営業部長の森謙次さんだ。

初代の本田勝蔵氏は、帝国ホテルのベーカリーから名古屋観光ホテルのベーカリーへと転身し、名古屋市西区で開業した人物だ。

まだ豊かではない時代、より高品質なパンづくりを目指し、ひたむきな研究を重ねたという。

最初の頃は創業者自らが、自転車を漕いで配達しながら、地道に営業を重ねたそうだ。

やがて訪れたモーニングサービスの隆盛と相俟って、仲卸の人たちがパンの焼き上がりを工場前で待ち構えるほどに。

東京オリンピックの前年頃からは、寝る間も無いほどの忙しさだったそうだ。

本社敷地内にある工場には、ほっこりと焼きあがった、温もりのあるパンの香りが漂う。

ここでは今も55年前そのままの、初代のレシピが頑なに守られ、乳化剤などの添加物も一切使用せず、誠実で一本気なパン作りが続けられている。

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「粉にもそれぞれ長所短所ってのがあって、仲良くなる粉を選び独自にブレンドしとるんですわ。酵母も我が社独自のブレンドですし」。

本社工場長の菱川和則さんが誇らしげに笑った。

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焼き立てのパンを試食させてもらう。

何とも言えぬ柔肌のパンながら、程よい噛み応えが実に小気味良い。

それでいて口解けは抜群。

特に感心したのは、パンの耳の何とも言えぬ美味さである。

「耳まで美味いのが、我が社のパンの特徴ですから」。

焼き上がりから1時間。

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3斤分の業務用食パンは、側面中央に本間の「本」の字を誇らしげに浮かべ、ベルトコンベアーに揺られながら、ゆっくりと工場内を一周し喫茶店への出荷の時を待つ。

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