
愛知県と三重県との県境に横たわる、木曽・長良・揖斐の三川が車窓を横切る。

指定席の窓側に座った木乃葉は、座席の上に正座した状態で車窓からの景色を眺めていた。
「幕の内に松坂牛のステーキ弁当、コーヒーにジュースは如何ですか?」。
前方から車内販売の声が聞こえた。

グッググゥー
「あっ、あれ・・・?今鳴ったの、コンチャンのお腹かい?」。
「・・・」。
「そうか、もうすぐお昼だもんな。じゃあちょっと早めに、お弁当でも食べるとするか」。
老人は車内販売のワゴンを止め、松坂牛のステーキ弁当と幕の内弁当、それに缶入りのお茶を買い求めた。

「わしゃあ入れ歯だし、肉は噛み切れんから、コンチャンがステーキの方を食べておくれ」。

「ウッワーイ!コンチャン、ステーキ大好物!お肉だったら一杯いっぱい食べられるんだよ!いつもパパの分まで平らげちゃうんだもの」。
「そうかい、パパの分までなあ。コンチャンのパパは、ちょつと太り気味じゃから、ステーキでこれ以上栄養付ける必要もないからのう」。
「ええっ!おじいちゃん、コンチャンのパパ知ってるの?」。
「うっ・・・ううん。いっ、いやきっとそんな気がして・・・さあ、そんなことはどうでもいいから、温かい内にお食べ」。
「うん!」。
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