「転生の追憶」66話

「ボーッと黄昏れてんじゃねぇよ~っ!中高年癒しの楽園ラジオ」FM WATCH 78.5MHz 毎週火曜日15:00~16:00で始まりました‼(※詳しくは、6月19日のブログをご覧ください)※再放送は、毎週火曜日の19:00~20:00です!

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「転生の追憶」66話 

「宮脇さん、これって美恵の前の携帯番号ですね…」

参考

「恐らく何らかの事件に巻き込まれ、こんな暗号のような形で送信する他、無かったんだろう。しかも今の携帯は、使うことが出来ない状況にあって…バッグに入れっぱなしの、古い携帯を使ったってことか」宮脇はもう一度、携帯電話のディスプレイを眺めた。

「しかしこの、マイナス プラス コロン コロン…ってなんなんだ?」宮脇はしきりに首を傾げ、独り言を繰り返した。

「課長、みんなが美恵はまだかって?」再び課員が、慌しく駆け寄ってきた。

「もううちの課は、全員集まってるのか?」

「ええ、もうとっくに…っと言いたいところですが、あの変わり者の二之前がまだ…」

不意に宮脇の脳裏に、美恵の言葉が蘇った。

『会社のビルを出た途端、直ぐに電話が鳴るわけ』宮脇はメールの暗号を睨みつけた。

「マイナス プラスじゃない!一 十だったんだ!」

参考

宮脇は携帯を片手に握り締めて、パーティー会場を飛び出した。

参考

慌てて義之も宮脇の後を追う。


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「転生の追憶」65話

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「転生の追憶」65話 

◆   ◆   ◆

シングル・エンド・パーティー会場。

写真は参考

既に会社の同僚達がおめかしをして、ヒロインの登場を今や遅しと待ち構えている。宮脇と義之は、会場入口に近い窓側のテーブル席に陣取り、来客に目を光らせた。

写真は参考

「課長、もっと中央の席にいらしてください。二課のみんなもお待ちかねですから」課員が気を使い、宮脇を会場の中央へと促した。席を立ちかけたところで、宮脇の携帯が鳴り出した。

参考

「Mie Akagawa」の着信名とナンバーが表示されている。いかにも不慣れなタッチで、キーを操作しメールを呼び出した。

参考

「一十,, 1-1 1010 428」

「マイナス プラス コロン コロン 1-1 1010 428…なんだこりゃあ?」


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「転生の追憶」64話

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「転生の追憶」64話 

義之は困り果て、美恵のかつての上司であった宮脇に、心当たりがないか確かめたいと、恥を忍んで連絡を入れた。

「心当たりねぇ…。会社では、みんなからとても好かれていたし、誰とも屈託無く接していたからねぇ…」

義之の携帯が鳴った。

参考

「無言の悪戯です。それともワンギリだったのかな」

参考

「……」宮脇は美恵の言葉を思い出した。

『結婚が決って、課長に辞表を出した日の夜、家に帰ったら切手もない封書が届いてたの。「結婚は破談にしろ。お前が不幸になる」と』宮脇は自分の脳裏をよぎった、不吉な影を払拭するかのように、頭を大きく振った。

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「きっと彼女はパーティーに、何事もなかったようにやって来ますよ」宮脇はまるで自分に言い聞かせるようにつぶやいた。


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「転生の追憶」63話

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「転生の追憶」63話 

◆   ◆   ◆

六本木ヒルズのカフェラウンジ。

写真は参考

「一体、赤川君の身に何が?」

宮脇は、美恵のフィアンセである義之と向かい合って座った。

参考

「一昨日から美恵ちゃんと連絡が途絶えていまして…」義之は香港から戻った翌日、美恵に対して疑惑の釈明を行ったという。

参考

なんとか美恵自身のわだかまりも納まり、結婚式に向けての準備が進められていた。しかし一昨日から、突然美恵の行方がわからなくなってしまっていた。

参考

一昨日は美恵の両親も、またちょっとしたマリッジ・ブルーに陥って、友達の家にでも泊まったのだろうと、暢気に構えていた。

参考

しかし昨日になっても美恵は戻らず、何の連絡も入らなかった。美恵の両親は、心配のあまり義之を頼った。義之とて美恵の会社の交友関係を、全て知りえているわけではない。事件性があるのか無いのか、それさえ全く不明だった。警察に届けたところで、どうにかなるものでもあるまい。むしろ二日後に結婚を控え、できるだけ穏便にと、美恵の両親も義之も考えは同じだった。そして美恵からの音信が途絶えたまま、今日を迎えた。


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「転生の追憶」62話

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「転生の追憶」62話 

◆   ◆   ◆

横浜みなとみらいのグランド。

写真は参考

「パパがいる土曜日なんて、随分久しぶりだこと」宮脇の妻、和江は日傘を広げてベンチに腰を降ろした。

写真は参考

宮脇は軽快なドリブルワークで、小さな二人の男の子をすり抜け、サッカーボールを巧みに操った。

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「どうだ太郎、広泰!パパだって今度のワールドカップに出られそうだろ!」

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不意に宮脇の携帯が鳴った。

「ごめん。部下が一大事だ」

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宮脇は和江と二人の子供に、それだけを告げて走り出した。


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「転生の追憶」61話

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「転生の追憶」61話 

◆   ◆   ◆

翌、月曜日の営業二課。

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「課長色々ありがとうございました」宮脇のデスク脇に立ち、美恵が小声で囁いた。

営業課員が居並ぶデスクの影から、射るような鋭い視線が美恵に突き刺さった。

参考

「改まって、送る言葉とかは、柄じゃないから…とにかくお幸せに」宮脇の言葉を受けて課員が一斉に、美恵へ祝福の拍手を送った。

参考

「じゃあ今度の日曜日、披露宴会場で」

「なに言ってるのよ。その前日のシングル・エンド・パーティーで、もう一度逢えるじゃない」

美恵は小声でそう囁くと、課員の手荒な祝福を受けながら送り出されていった。

参考


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「転生の追憶」60話

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「転生の追憶」60話 

◆   ◆   ◆

「本当にこれいただいていいんですか?」九龍のインターコンチネンタルホテルに向かうタクシーの中で、美恵がつぶやいた。

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「もちろん。でも一つだけ約束だ。このどちらかのからくり蓋が、いつの日か開いた時があったら、絶対にもう一度二人で逢おう。

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半世紀以上も前に封じ込まれたロマンスに、二人で思いを巡らせるんだ。たとえ何十年かかったとしても。そして昨日と今日の二人だけの思い出、そうだなぁ、時間にすれば僅か十四~十五時間を振り返るんだ」

「うん。約束」

そう言うと美恵は小指の先を、宮脇の小指に絡ませた。

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「志津絵ちゃんに怪しまれるとまずいから、ぼくはここで失礼するよ」

「そんなわけないわよ。二人とももう大人なんだし。ところで課長のフライトは?」

「ぼくは最終便のキャセイだ。君はJALだったよな。気を付けて」

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インターコンチネンタルホテルの車寄せに止めたタクシーを降り、美恵は何度も何度も振り返りながらロビーへと消えて行った。


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「転生の追憶」59話

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「転生の追憶」59話 

「『世界中にたった二つしかない時計だから、互いに引き寄せあったのだろう』って…なんか香港の裏通りのバザールで、アラジンの魔法のランプでも見つけたような不思議な気分だ」

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宮脇と美恵は、懐中時計を互いの手のひらに収めてみた。手巻きの懐中時計は、おそらく何十年とリューズも巻かれず、動きを完全に封じ込めていたはずだ。

しかし僅かに揺れる小さな振動を、二人は掌の中にはっきりと感じとった。

写真は参考

「ええっ、うそ!動いたみたい!」

「俺の方も確かに今」

そんな馬鹿な。不思議な感触が押し寄せる。

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初めて手にした時計なのに、二人の肉体とは隔たる聖域で、遠い日の何かが目覚めようとしていた。


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「転生の追憶」58話

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「転生の追憶」58話 

「どんな人が使ってたんだろう?」宮脇の肩越しに美恵が覗き込む。宮脇が美恵の疑問を、店主に投げかけた。店主は店の奥から、古めかしいノートを取り出してきた。

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「誰と誰のペアウォッチだったかまでは、わからないそうだ。でもこの店に再びこの時計が持ち込まれた記録は残っているそうだ。男物の方は、第二次世界大戦後間も無く香港の老婦人の手で、この店に持ち込まれたらしい。

参考

もう一方の女性用は、それから十年ほどたった一九五六年に、日本の業者の手を経てこの店に持ち込まれたそうだ」

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「なぜ片方が香港で、もう一方が日本だったのかしら」美恵は急に興味をそそられたようだ。


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「転生の追憶」57話

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「転生の追憶」57話 

宮脇の目は一点に集中したまま固まった。視線の先には、濁って鼠色に変色した、銀製と思われる二つの懐中時計があった。

写真は参考

宮脇は美恵を引き連れ、店の中へと入っていった。

広東語で店主となにやら会話を始めると、ショーウィンドーの中から懐中時計が取り出された。

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「これは一九三七年頃、この店で特注品として作られたものだそうだ。この店は当時、イギリスの時計メーカーの代理店もやっていた。イギリスから時計職人が招かれていた時代に、作られた手作りの代物だそうだよ。今はもう錆び付いてしまい、開かなくなったそうだが、文字盤の裏側にからくり蓋があって、そこに写真が収められるような仕掛けになっている。

写真は参考

いずれにしても特注品だから、この世にたった一組のペアの懐中時計だそうだ」


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