「転生の追憶」86話

「ボーッと黄昏れてんじゃねぇよ~っ!中高年癒しの楽園ラジオ」FM WATCH 78.5MHz 毎週火曜日15:00~16:00で始まりました‼(※詳しくは、6月19日のブログをご覧ください)※再放送は、毎週火曜日の19:00~20:00です!

※今年の放送は、2024年1月9日(火)からのスタートとなります。

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「転生の追憶」86話 

宮脇の懐中時計に填め込まれた写真には、自分とそっくりな男が、長い黒髪の美しい女性の腰に手を回していた。

写真は参考

何所かで逢った事のある女。

バックの風景は、紛れも無く半世紀以上前の香港の港だ。

写真は参考

港に寄せる風が強そうで、女の長い黒髪が風になびいている。

首筋には双子のホクロが。

写真は参考


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「転生の追憶」85話

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「転生の追憶」85話 

◆   ◆   ◆

「あっ、裏蓋が取れちゃった」

横浜のベランダと、太平洋上空の機内で同時に声が挙がった。

写真は参考

「あらっ、何この写真」

「あれっ、何だこの写真」

和江と義之は、互いの場所こそ違えども、まったく異口同音に同じ台詞をつぶやき、からくり蓋に填め込まれた写真を繁々と眺め回した。

「…あなたったら…」

「…美恵、お前…」

「あなたこれっていつの写真?こんな写真なんて撮ったっけ?」

写真は参考

「美恵これっていつの写真だい?こんな写真なんて撮ったっけ?」

「ああ、そうか。今はCGでこんな風に出来ちゃうんだ」

再び和江と義之は異口同音につぶやいた。

宮脇と美恵は、妻が、夫が、何を言い出したのかまったくわからず、相手の手から懐中時計をもぎ取って、からくり蓋の写真を眺めた。

写真は参考


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「転生の追憶」84話

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「転生の追憶」84話 

◆   ◆   ◆

機体の揺れはどうやら納まった。

義之は足元の懐中時計を取り上げ、美恵の隣りの席に戻った。

写真は参考

「あら、ごめん。さっきの揺れで飛んでっちゃった」

「こんなの前から持ってたっけ?」

義之は上蓋を開けた。

写真は参考

すかさず美恵が義之の手から取り上げた。

どこも異常は無く、宮脇と共に合せたままの時刻が刻まれ続けていた。

上蓋がカチリと音を立てて閉まった。

裏側で小さくバネが弾けたような音がした。

写真は参考

美恵もそう感じた。

懐中時計を裏返してみると、時計の背面に寸分狂わず張り付いていたはずのからくり蓋が、かすかに持ち上がっているようだ。

美恵の胸が高鳴った。

「これってさあ、結構年代物だよなあ」

写真は参考

義之は再び懐中時計を美恵から取り上げた。


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「転生の追憶」83話

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「転生の追憶」83話 

「あらっ、素敵な懐中時計だこと。ねえ、ちょっと見せて」宮脇が顔を上げると、傍らで和江が掌の中を覗き込んでいた。

写真は参考

「アンティークよね。何処で見つけたの?」

「先日の香港出張中に…セコンドショップの店先に転がってたんだ」

写真は参考

和江は宮脇の手から懐中時計を取り上げた。

昔と変わらぬ長い黒髪が、ベランダを渡る風になびいた。

写真は参考

首筋に双子のホクロを覗かせながら。


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「転生の追憶」82話

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「転生の追憶」82話 

◆   ◆   ◆

宮脇は、ベランダに落っこちた懐中時計を拾い上げた。

文字盤側の上蓋を開いた。

写真は参考

どこにも異常はないようだ。

香港で美恵と共に時間を合せてから、二人だけが共有する秘密の時が正確に刻み続けられていた。

上蓋がカチリと音を立てて閉まった。

写真は参考

裏側で小さくバネが弾けたような音がした。

宮脇はそう感じた。

懐中時計を裏返してみると、時計の背面に寸分狂わず張り付いていたはずのからくり蓋が、かすかに持ち上がっているようだ。

宮脇の胸が高鳴った。


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「転生の追憶」81話

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「転生の追憶」81話 

『もし今生でもう一度、君と二人っきりになるという、偶然という名の必然が待ち受けていたとしたら、今度こそ何も躊躇うことなく、君を口説き落として見せるまでさ。

例え八十に手が届きそうなほど、齢を重ねていたにせよ。

それがぼくの魂の仰せとあらば』

参考

美恵は宮脇の言葉を思い出した。

ポーチの中から懐中時計を取り出して、宮脇の温もりを感じられないかと、掌の中に握り締めた。

写真は参考

トイレのサインが消えた。

写真は参考

義之がスッキリした顔を、通路に覗かせた。

『まずい!』美恵はポーチに懐中時計を仕舞いこもうと慌てた。

写真は参考

突然シートベル着用のサインが、ポーンという電子音と共に点灯した。

機体が音も無く、大きく上下に揺れた。

義之は最前列のシートに必死で掴まった。

美恵の身体もシートごと上下に揺れた。

ポーチに仕舞いかけていた懐中時計が、美恵の手を放れて飛び上がり、天井で鈍い音を立て、義之の足元に転がった。


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「転生の追憶」80話

石川県能登地方で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

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「転生の追憶」80話 

◆   ◆   ◆

「ねぇ、あれってベイブリッジ?」

写真は参考

「う、うん、多分」

義之は美恵の座席に身を乗り出し、窓の外を眺めた。

シートベルト着用のサインが消えた。

写真は参考

「ちょっとトイレへ」

義之はもどかしそうにシートベルトを剥ぎ取ると、急いでコックピット脇のトイレに駆け込んだ。

写真は参考

「シャンパンを三杯もお代わりする人、初めて見たわ。いくらサービスだからって」

写真は参考

美恵は窓から地上を見下ろした。


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「転生の追憶」79話

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「転生の追憶」79話 

宮脇のマンションのベランダから、西の伊豆半島に夕日が沈んで行く。

写真は参考

宮脇は徐に煙草を燻らせた。

写真は参考

ベイブリッジの彼方を、南の空に向け機影が翳めて行く。

写真は参考

「そうか今頃のフライトだったなあ」

参考

『バーを出て部屋まで送ってくれたとき、課長がそのまま部屋に入って来てくれないかなって…心の中で少しだけ期待してたの。本当は…』

あの日の美恵の言葉だけが、宮脇の心の中で空回りを続ける。

宮脇はジーンズのポケットから、美恵との二人だけの思い出の品である、懐中時計を取り出した。

写真は参考

「パパーっ。ねぇ、それなに?」

いきなりリビングの窓が開き、広泰が身を乗り出した。

その途端、宮脇の手から懐中時計が零れ落ちた。

鈍い金属音が響いた。


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「転生の追憶」78話

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「転生の追憶」78話 

◆   ◆   ◆

横浜港みらいの高層マンション。

写真は参考

その一室が宮脇の自宅だ。

「ハッピバースデー ディア 太郎 パッピバースデー トゥーユー」

参考

「良かったわね太郎。今年もパパと一緒にお祝いができて」

参考

『でもあの日、本当はお子さんの誕生日だったんでしょう』

何故か不意に、美恵の言葉が宮脇の脳裏を掠めた。


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「転生の追憶」77話

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「転生の追憶」77話 

「じゃあSMでもしてたんじゃないの。

参考

非常階段の踊り場で。

最近多いのよね。シーツに真っ赤なローソクが垂れてたりとか」

「でもその後、包帯男の隣りの優男が、非常階段を駆け下りてきて、落っこちて来た二人に土下座してたのよ」

参考

「じゃあやっぱり、3Pよ3P。土下座男もMね、きっと」

「なんであんたは直ぐ下の話題に行っちゃうわけ?

私怖くなっちゃって警察に通報しようかって思ってたら、包帯男が『何でもありません。ぼくたち会社の同僚で、ちょっと酔いすぎちゃって。お騒がせしました』って、こんなに手に掴ませてくれたのよ」

年配のハウスキーパーは、三本の指を突き立てて見せた。

参考

「まっ三千円なら、相場ってとこかしら?」

「なに言ってんのよ。三万、三万よ」

「ちょっ、ちょっと豪勢じゃない。帰りに美味しいもんでも奢ってもらうからねっ!」


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