「まあちゃんのママゴト」③


ヒロくんちのお向かいは、どんぐり広場です。

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待ちくたびれた、ドングリ眼のまあちゃんは、砂場にママゴト道具を広げてプンプン。

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慌てて駆け出すヒロくん。

「まあちゃん、ゴメンネ。遅くなっちゃった」

まあちゃんの隣に座ろうとするヒロくんに向かって、「アンタ、ほんまにグズやなぁ」と、まあちゃん。

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思わずシュンとするヒロくん。


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「まあちゃんのママゴト」②


「ヒロく~ん!あ・そ・ぼ!」

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またまた、まあちゃんの呼ぶ声が聞こえます。

「男の子なんだから、いつまでもグズグズしてないで、さっさと食べなさい!女の子待たせるなんてねぇ、男として最低よ!」

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お母さんは、洗い物をしながら捲し立てました。

「ごっつぉーさん!」

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ヒロくんは、お父さんの口ぐせを真似、玄関へと一目散で向かいました。


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新シリーズ「まあちゃんのママゴト」①


今日からは、ぼくの歌にございます「まあちゃんのママゴト」の、ベースのような物語にご案内いたしましょう。

ぼくがまだ幼稚園に通い始めたばかりの頃、近所には同い年の子たちがたくさんおりました。

取り分け近所には、女の子が多く、「高子ちゃんのタカちゃん」「真由美ちゃんのまあちゃん」、そして「幸子ちゃんのサッちゃん」と。

女の子の一番のお遊びは、もちろん有無を言わさず「ママゴト遊び」と決まったもので、ご近所に同い年の男の子がぼくしかいなかったこともあって、パパ役としてぼくは引っ張りだこでした。

そんな当時の微かな記憶が、空回りしてこんな物語をベースに「まあちゃんのママゴト」が生まれました。

恐らくこの曲のさらにベースとなったのが、「修学旅行レポート」のテーマソングだと思っています。

どっちが先に誕生したかと言うと、「修学旅行レポート」のテーマソングが先で、それから2~3年後に「まあちゃんのママゴト」が誕生したように記憶しております。

それでは、物語をご紹介する前に、この物語のベースとなった「修学旅行レポート」のテーマソングと、「まあちゃんのママゴト」をお聴きいただけたらと思います。

それでは、こんな物語ではございますが、どうぞお楽しみ下さい。

垣根の向こうから、大好きなお友達、まあちゃんの声が聞こえてきます。

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「ヒロくん。あ・そ・ぼ!」

「あっ、まあちゃんだ!」

ヒロくんは、朝ご飯の「ご馳走様」も言わないで、玄関へと駆け出しました。

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「こらっ、ヒロキ!ご飯まだ食べ掛けじゃない!こんなに残したら、罰が当たるよ!」

お母さんの大きな声に、ヒロくんはビクン。

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トボトボと後ずさりして、仕方なさそうに食卓へと戻りました。


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「聞こえないほどの小さな拍手」⑩(最終話)


ぼくの拙い歌にさえ、小さな、しかし力一杯の拍手を贈ってくださったあのご婦人。

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今ぼくは30代半ばとなり、追い続けていたシンガーへの夢も、いつしか遠い記憶の彼方へと、置き去りにして来てしまいました。

しかし、あのご婦人がくれた、小さな力一杯の拍手の音は、今も耳を澄ませば聞こえてくるような気がします。

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そしてもしもどこかで、あのご婦人にお会いできることがあったならば、今度はぼくが「あなたにいただいた、小さな力一杯の拍手のお陰で、今日まで一生懸命に生きてこられました。ありがとう」そう言って、心から感謝の拍手を贈りたいものです。

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「聞こえないほどの小さな拍手」⑨


ぼくは思わず、ご婦人の両手をぼくの両手で覆い「わざわざ本当にありがとうございます。ちゃんとあなたからの拍手を、十分に受け取らせていただきました」と。

それでもなおも拍手を続けようとするご婦人の手を、ぼくも両手で覆い続け、ご婦人の手を止めたものでした。

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その時のご婦人の手の温もりは、まるで幼い頃の母の手の温もりそっくり。

何だか訳もなく涙が溢れそうになるのを必死で堪え、ご婦人に別れを告げ、その場を後にしました。

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今思えば、なぜその時、せめてお名前だけでもお聞きしなかったのかと、悔やまれてなりません。

もしも今でもご健在であれば、70代半ばくらいのはず。


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「聞こえないほどの小さな拍手」⑧


「私ねぇ、手首がリウマチなんです。

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・・・だからあなたが唄い終わった後、客席から拍手をしていたんだけど・・・

ついつい手首を庇っちゃって、大きな音で拍手が出来ず、小さな音の拍手にしかならなかったから、あなたの耳まで届いていないと思って・・・

だからもう一度、どうしてもあなたの目の前で拍手をしたかったの」

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そう言うとご婦人は、ぼくの目の前で拍手を始めたのです。

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手首の痛みに堪えながら。


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「聞こえないほどの小さな拍手」⑦


ちょうど会場の出口まで来ると、一人の60歳くらいの女性が、ぼくの前に立ちはだかったのです。

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「あのーっ、すみません」

「ハッハイッ、何か?」

「あのー、もう一度、もう一度あなたの目の前で拍手させてください」

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「エエッ」

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「聞こえないほどの小さな拍手」⑥


すっかり自分の非力さに嫌気がさしねステージを降りると、スポンサーである漢方薬局の社長さんから、夢にまで見たチェー万のギャラが手渡され、「どうも、お疲れさん」と。

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ぼくの自責の念に拍車をかけるがごとく追い打ちされ、それでも何とかぼくも「本当に申し訳ありませんでした。あまりお客様にもお愉しみいただけなかったようで・・・」と、口籠りながら申し上げました。

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すると「なぁに、どうせ堅苦しい講義の間の余興だから、なんてぇこともありませんって!ワッハッハツハ」と、またまた返り討ちに!

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成す術もなく後味の悪い会場から一刻も早く立ち去りたい心境で、ギターケースを抱え、会場の出口へと急ぎ足で向かいました。


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「聞こえないほどの小さな拍手」⑤


自分の出番まで、どうにも落ち着かず、如何にしてこの難局を切り抜けるべきか、ただただそれだけが頭の中を駆け巡っていたようです。

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しかし、運命の時間は容赦なくやって参りました。

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ぼくは、自分のオリジナル曲の、ラジオの深夜番組のテーマソングとして今流れている曲から唄い出し、自分のペースを作って、少しでも自分に有利な展開へと持ち込み、それから不得手な演歌を唄うつもりでいたのです。

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ところが50代後半以上の、一番ラジオの深夜番組になど縁遠い人たちを相手に、そんな姑息な手など通用するはずもなく、トイレに立つ人やら、あくびをここぞとばかりにする人たちで、すっかりぼくが想定したペース配分など脆くも崩れ去り、惨憺たる有様となってしまいました。

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「聞こえないほどの小さな拍手」④


会場内に張り出されているプログラムを、こっそり盗み見てこれまたビックリ!

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何とこの集会は、「リウマチ友の会主催の療法研究セミナー」だったのです。

だからそこに集っている方々は、どこかかしらリウマチを患っておられる方々ばかりだったのです。

そのプログラムによれば、第一部、第二部共に、どこそこ医大の教授が「どこそこ温泉の湯が、何とかのリウマチにとても効果がある」とか、スライドを使って、治療方法の説明が行われ、第三部の講義との間に小さく「余興/歌」と表示されているじゃないですか!

実は何を隠そう、その「余興」こそがすなわちぼくのその日の歌の仕事であったのです。

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まぁ、高価な懐石料理の間に供される、箸休めのような、そんなあっても無くてもさほど意味を持たないような存在。


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