毎日新聞「くりぱる」2005.4.10特集掲載④

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「巨大な石貨」

「俺りゃあ、これ3つでも抱えて、東新町へ繰り出せるぞ!」と、再び我編集長。

写真は参考

ちょっとちょっと、そう言う問題じゃなくて!

折角の人類太古のロマンを、身の丈サイズの超現実に当て嵌めてしまうんだから。

ここは、南太平洋共同館のミクロネシア連邦コーナー。

ヤップ島で実際に使われていた円盤状の石貨。

写真は参考

直径10㌢ほどの物から、2~3㍍の大型まである。

先程編集長は、ここに展示されている直径50㌢程の石貨を見て、そうのたもうた。

石貨は大きければ、高価という物でもないとか。

石そのものの持つ歴史で価値が分かれるそうだ。

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毎日新聞「くりぱる」2005.4.10特集掲載③

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「編集長の落し物」

藤ヶ丘駅の某ドーナツ屋前。

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某フライドチキンの、柔和な笑みのオジサン人形とは似ても似つかぬ男がいる。

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真っ黒で裾の長い、サッカー用のウインドブレーカーに野球帽、背中にははちきれんばかりのバックパック姿。

眼光鋭い視線で、当りかまわず睨みつけている。

無精髭に仏頂面。

そう、我等が「くりぱる編集長」のT氏。

何でも集合時間の30分以上前に到着し、既に一人で腹ごしらえを終え、おまけに皆の分までカレーパンとピロシキを買い込んだとか。

ありがたいほどのお節介。

しかしいつもと何かが違う。

そう言えば、さっきからどうにもこうにも足が地に定まっていないご様子。

風貌をともかくとすれば、まるで初めての遠足当日、大切な朝を迎えた少年のように初々しい。

またそれを我々に気付かせてなるものかと、何気を決め込もうとするから尚さら怪しい。

気を取り直し我等一向は、30分待ちのリニモの列へと並んだ。

写真は参考

しかし浮かれ続ける編集長は、独りオヤジギャグを連発。

皆が辟易(へきえき)とし出した頃だった。

「ああっ!あれれっ?」。

ウインドブレーカーのジッパーを下げ、デジカメを取り出しながら編集長が雄叫びを上げた。

どうせまたくだらぬギャグが続くかと思いきや、首から下げたプレス・パスのIDカードが見当たらない。

参考資料

首から赤い紐だけがブーラブラ。

「あ~あ!もうやっちゃった!愚かで大きなオコチャマが」。

結局、警察官やガードマンまで動員する大騒ぎ。

おかげで無事、ドーナツ屋前の路上で発見され事なきを得た。

35年振りの国際万博。

老若男女も浮かれるのは、大いに結構。

されど皆さん、我編集長のようなお粗末な失態だけは、見習われぬように。

くれぐれも、ご用心ご用心!

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毎日新聞「くりぱる」2005.4.10特集掲載②

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「グローバル・コモン6、環太平洋の国々を巡る前哨戦!」

今回の「素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)」も、愛・地球博の長久手会場が舞台。

人込みのリズムに合せながら、いつもよりちょっぴり気忙しく、漫ろ歩いてみましょうか。

とにかく会場内のあちこちで、車椅子の姿を見かける。

車椅子に揺られる人も、それを押す健常者も、老若男女それぞれである。

協会がバリアフリーを周知徹底した賜物か?

写真は参考

春の陽気の中で、ほのぼのとした「愛」のある光景が広がる。

「あれれっ!」。

某パビリオン脇、テイクアウェー用の飲食売店。

言わずと知れた長蛇の列。

写真は参考

それに紛れ込むように、車椅子の障害者とそれを押す健常者。

遅々として進まぬ列に、前後の順番待ち客も苛立ちまじり。

それを察したのか、車椅子は順番待ちの列を離脱した。

近くの日影に車椅子を止め、障害者を待たせて健常者が再び最後尾へと並んだ。

それから10分。

やっとのこと売店のカウンターにたどり着き、メニューと料金をあれこれ覚えて再び障害者の元へ。そして二人で注文品を決め、健常者は再び最後尾で順番待ち。

やっとのこと手に入れたランチボックスを抱え、健常者もさすがに疲れきった表情で障害者の元へと戻った。

写真は参考

しかし周りには、テーブルもベンチも無い。

あるのは、売店の外に配置された、立ち食い用のスタンドテーブルだけ。

「ちょっとこれって、何だかなんだよなぁ!」。

無性にせつない気分で一杯になった。

「だって、鳴り物入りでバリアフリーって言うんだったら、こんな仕打ちってないよなぁ!車椅子の障害者用に、別のカウンターを設けるとかさあ!貸し出し用のメニューを用意するとかしないと」。

ぶつけようの無い不満が湧き上がった。

だって、インドの貧しい村とか行ったら、車椅子も無ければバリアフリーだなんて言葉すらない。

だがそんなの無くたって、周りの人が障害者に手を貸すし、何気に居合わせた誰かがごくごく自然に世話を焼く。

きっと日本だってそうだったはず。

ぼくが生れ育った、まだ貧しい昭和の中盤は。

そんな言葉が、思わず咽返るほど沸き上がってきた。

誰にぶつければいいのかわからぬ、言いようの無い寂しさを伴って。

でも別のカウンターもメニューも、無くったっていい。

『お先にどうぞ!』って、一声かける勇気とやさしさを持ち合わせられたら。

だって、愛・地球博なんでしょ!

だったらまず、心がバリアフリーにならなきゃ。

世界から訪れる人は、まだほんの一部のようだ。

しかし協会が力説するように、世界の国々からたくさんの人々が訪れた時、果たしてこんな光景は、彼らの目にどんなメッセージを伴って映るのだろう。

バリアフリーの施設だけご用意しましたから、後は車椅子の方とそれを押す健常者の方で、お好きなようにってこと?

写真は参考

愛・地球博を訪れる誰もが「心のバリアフリー」を持ち供えれば、もっと素敵でやさしい気持ちの博覧会となることだろう。

今回は、日本ともご縁の深い、グローバル・コモン6の、環太平洋の国々を巡ります。

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毎日新聞「くりぱる」2005.4.10特集掲載①

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「こいの池のイブニング」

日没が近付くと気温が急激に落ち、さっきまで傍若無人に池を渡って吹きすさんでいた風が一瞬凪ぐ。

グローバルループ中央の「こいの池」。

写真は参考

開園から各パビリオンを分刻みで駆け巡っていた家族連れの表情にも、自らに科した万博スケジュールの大半を消化し得た安堵感が浮かぶ。

人が人らしく、一番安らいだ表情を浮かべる一瞬かも知れない。

後は家族で夕餉を囲み、眠い目を擦りながら烏の行水を終えさえすれば、ふかふかの布団に包まって春眠暁を覚えずを決め込むだけ。

「ちょっと待ったあ!」。

そうは問屋も卸さぬのが、愛・地球博なのだ。

いや!この「こいの池のイブニング」だ!

池の辺の段飾りのような桟敷では、早くも思い思いに弁当やテイクアウェーの華が咲く。

ぼくも負けじと、池の辺の売店で長さ30㌢もありそうな、ジャンボ味噌カツを肴にスーパードライを傾けた。

「どっかで見た懐かしい光景じゃない?」。

池の水面(みなも)(こぼ)れる光と、照明の薄化粧に、はにかむ森の木々。

確かに残された自然も、「こいの池のイブニング」を彩る舞台装置の一つなのだろう。

「間も無く開演です。『これは一体なに?』って、そんな不思議な感覚を持ち帰ってもらえることを願っています」。

ぼくの周りに纏わりつく、柔らかでちょっと澄み通った早春の風のような、そんな透明感のある声がささやきかけた。

声の主は、イタリア・ミラノ在住の荒川いづみさん(42)だ。

ここの制作を統括するイタリア・ミラノのチェンジ・パフォーミング・アーツ社(CPA社)で、世界各国のスタッフを手玉に取り、開演準備の進行管理に携わった。

荒川さんは、新潟県新潟市出身。

小・中・高を地元で過ごし、東京の大学へ。

「両親が厳しく、一人暮らしには大騒動」だったそうだ。

卒業後は、外国人アーティストの招聘を手掛けるプロダクションに勤務。

世界に冠たる素晴らしいアーティストを目の当たりにした。

「でもそれは全て完成された作品の披露だったわけで、作品を制作するプロセスに身を置いてみたいと欲求が募って」。

芸術の都、イタリアに渡りたい。

そんな想いに突き動かされた。

そして厳しい両親を納得させる為、奨学金を得て1989年にミラノの大学に留学。

「当時まだミラノの大学は人気も無く、倍率も低かったし、何より英語圏には魅力を感じられなくて」。

そしてCPA社を率いるボス「フランコ・ラエラ」氏と出逢い、そのままミラノをベースに世界を駆け巡る現在へと。

「2002年に調査の為の下見から、はや3年。スノーモンキーを中心とするショー自体は、会期中同じ作品を上演しますが、名脇役とも言える周りの森の木々は、春・夏・秋と3シーズンの自然な装いを、大地の力で表現してくれるはず」。

写真は参考

頬を撫でる少しだけひんやりとした、小さな湖畔の風。

水面の舞台に繰り広げられた「こいの池のイブニング」が、幕を下ろすかのように、水面にたゆたう灯りが消えて行く。

目まぐるしく過ぎた(うつつ)の今日を、恋人同士で、或いは家族で振り返るには、何とも「モッテコイ(・・)」の素敵な場所だ。

「どうぞお元気で!明日のフライトでまたミラノに戻ります」。

写真は参考

風の精のような澄み切った声を残し、荒川さんは闇に包まれようとする「こいの池」を見つめた。

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毎日新聞「くりぱる」2005.3.27特集掲載⑨

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「中華 八宝亭」

店の入口に大きな紙製のモリゾーとキッコロ。

「安城の従姉妹が七夕飾りで作った物をゆずってもらって」と、平岩美香さん(39)。

愛知県大府市で20年営業し、一昨年この藤が丘にオープン。

写真は参考

家族的な中華レストラン。

中でも「万博ランチセット」は、デーザート+ドリンク付きで800円の記念価格。

中華 八宝亭 名東区藤が丘(2005.3.27時点)

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毎日新聞「くりぱる」2005.3.27特集掲載⑧

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「万博喫茶 藤」

店名からして、とくかく万博一色。

写真は参考

圧巻は、万博に関する新聞記事を、平成3年から切り抜いたスクラップ。

万博の是非を問うた時代から、開幕までの道程が一網打尽。

マスターのN.Hさんは、93歳。

もっぱら奥さんのCさん(80)が店を切り盛り。

「もうねぇ、主人は万博の話になると、直ぐに2~3時間でも話し込んじゃうんだで」と、困り顔。

万博喫茶 藤 名東区藤が丘(2005.3.27時点)

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毎日新聞「くりぱる」2005.3.27特集掲載⑦

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「アジアンショップ喜楽堂」

「なにい、ここでも万博?」。

地下鉄藤が丘駅の北側、藤が丘市街住宅の1階に、粘っこい彩りの商品が店から溢れ出している。

写真は参考

タイ・ベトナム・バリ・インド・台湾・プーケット・フィリピン・インドネシア・シンガポール・中国・ミャンマー・日本と、アジアの雑貨そうなめ。

中でも圧巻は、タイ直輸入のマネキン。

何故かベトナムのアオザイを身に着け、笠の下の髪の毛は黄色とピンクのストライプ。

とにかくエキゾチックそのもの。

「年配の女性が、海外からのお客様をおもてなししようと、自分用に買っていかれますよ」と、店長。

アジアンショップ喜楽堂 名東区藤が丘(2005.3.27時点)

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毎日新聞「くりぱる」2005.3.27特集掲載⑥

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「リニモ」

磁気浮上式システムのリニモには、あのニュートンでさえ脱帽か?

写真は参考

リニモの床まではニュートンの引力が通じるが、一度リニモが走り出すと、磁気で車体が浮上するからお手上げ。

騒音も振動も少なく、これまでの「ゴトンゴトン」に慣らされたぼくには、何とも気が抜けるよう。

リニモ(東部丘陵線)は、地下鉄東山線藤ヶ丘駅、及び愛知環状鉄道万博八草駅と万博会場駅を結ぶ。

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毎日新聞「くりぱる」2005.3.27特集掲載⑤

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「空中回廊」

空中回廊のグローバル・ループは、会場の中心にある「こいの池」を取り囲むように、全体を一回りできるバリアフリー構造。

写真は参考

右回りで行くも良し、左回りで行くも良し。

逆周りをしてみると、まったく新しい景色と出逢うはず。

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毎日新聞「くりぱる」2005.3.27特集掲載④

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「キッコロ・ゴンドラ」

長久手会場最南端、EXPOドームにある南駅から、会場を見渡しながら北駅を往復するキッコロ・ゴンドラ。

写真は参考

大人600円で子供が300円と有料だが、人込みを掻き分けて空中遊泳する気分は最高。(2005.3.27)

先ずは会場の地図を片手に、お目当てのパビリオンの位置関係を調べたり、混雑具合をチェックするには最適。

またさらに北側には、瀬戸会場へとつなぐモリゾー・ゴンドラ(無料)の長久手駅がある。

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