7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.42

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

ギィーコ、ギィーコ、ギィーコ

バッターン

写真は参考

ギィー ィー ィー コ・・・

「ねえ、パパ」。

「シーッ」。

「大きいニイチャンもモトキも、どこに隠れちゃったんでしゅか」。

写真は参考

「この薮の中かもしれないなあ。ちょっと美代ちゃんはここで待っててね。パパが薮の奥まで行って見てくるから」。

「ウン、平気。ミオここで待ってる」。

美代はその場にしゃがみ込み、薮の中に入って行くパパの姿を見送った。

黒く大きな影が、美代の直ぐ真後ろへと忍び寄っていた。

ガルル、ガルル

写真は参考

「あれっ?」。

美代は後ろを振り返った。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.41

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

「大きいニイチャーン、モトキーッ」。

「こらっ美代。そんな大きな声出したら、裕也と基喜にばれちゃうでしょう。シーッ」。

モッくんパパと美代の声が、軋み音と唸り声のする二つの方向とは全く違う方向から聞こえてきた。

「ってことは・・・父さんがバイクに乗ってたんじゃない」。

「じゃあお兄ちゃん、あの唸り声も父さんじゃ・・・ない」。

写真は参考

裕也と基喜は、思わず不気味そうに、顔を見つめあったまま身動きが出来なくなってしまった。

ギィーコ、ギィーコ、ギィーコ

参考

軋み音は、裕也と基喜が潜む茂みの手前で進行方向を変えた。

「バイクが父さんの声のする方に回った」。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.40

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

ギィーコ、ギィーコ、ギィーコ

「あっあの音」。

ギィーコ、ギィーコ、ギィーコ

「オレのバイク」。

写真は参考

基喜が呟いた。

「そうか、父さんもう酔っ払ってたから、歩いて探すのが面倒で、お前のマウンテンバイクに乗ってんだぜ」。

裕也は自信たっぷりに基喜に告げた。

ガルルルゥー、ガルルルゥー

ガルルルゥー、ガルルルゥー

写真は参考

「なっ、なんだあの声」。

裕也はバイクの音とは反対を向いてつぶやいた。

「どうせ父さんがオレ達を、驚かせようと思って唸ってんだろう」。

「ば、馬鹿。父さんはバイクに乗ってんだろう。だったら唸り声とは反対のあっちじゃないか」。

ギィーコ、ギィーコ、ギィーコ

ガルルルゥー、ガルルルゥー

バイクのチェーンの軋み音と、不気味な唸り声が徐々に二人に近づいて来た。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.39

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

ガサガサ、ガサガサ、ザザザザザーッ

「ウッ・・・」。

岬の突端。

写真は参考

立入禁止の柵を乗り越えた茂みに、身を潜めていた裕也が小さな声を漏らし、大きな身体をさらに畳み込んだ。

写真は参考

既に鬼役のモッくんパパと美代が、間近に迫っていると裕也は感じた。

「シーッ!」。

茂みの草の間から、基喜が顔を覗かせた。

「なっ、なんだ基喜か・・・」。

「エヘヘ。びっくりした?」。

「馬鹿野郎!脅かすなよ」。

「エヘヘ。鬼に見付かったかと思った?」。

「うるせえ。お前こそなんでこっちに来んだ、もっと別の場所に隠れろよ!ほらっ、さっさとあっちへ行けよ!」。

「だってオレは、最初っからここに隠れるつもりだったんだもん。それなのにお兄ちゃんがここへ来ちゃったんじゃんか」。

「あっ、そうか。とかなんとか言っちゃって、本当はお前、怖くてしょうがないんだ。それで俺の後、付いて来たんだろう」。

「へっ、ちがうわいッ」。

「怖いなら怖いって正直に言ったらどうだ。そしたらここに匿ってやったっていいんだぜ」。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.38

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

「あっ、お巡りさん。あなたご家族は?」。

パトカーに向かおうとした警察官の背中に向かって、パパは言葉を投げかけた。

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「わ、わし?」。

「ええ」。

「家はかかあと、子らは上が男で下が女、それにじいさんの5人や」。

「だったらこの私の気持ちも、わかっていただけますよね」。

「・・・もしわしがあんたで、娘が岬へ・・・だったら・・・。あんたと同じ事ゆうたやろな」。

そう言い残すと、警察官は道路を封鎖して止まるパトカーに乗り込んだ。

「一応わしも職務ですからゆうときますが、署の確認を取るまで、危険ですんでこっから先へは進まんといてな。一応、ご協力のお願いはしときましたんでな・・・」。

警察官は徐にハンドルに手をかけた。

「どうもこの場所は無線の状態が良くないんで、電波の届きそうな場所へ移動しますわ」。

パトカーの運転席の窓から身を乗り出してそう告げ、警察官はパトカーのアクセルに足を掛けた。

「ああそれから、それから。余分なことかも知れんけど、さっき言い忘れてもうたが・・・。ここいらには、わし一人しか警官おりませんで、・・・まあ後は、よろしゅうたのみますわ」。

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パトカーはタイヤを軋ませながら、岬と逆方向に向かって走り去った。

「ねぇ、パパ。あのお巡りさんが言ってたこと、あれどういう意味?」。

「こういうことさ!」。

「エエッ!」 。

パパの車もタイヤを軋ませ、岬へと続く一本道を突き進んで行った。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.37

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

「あれっ、検問だ」。

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「なんで?こんな山の中の一本道で」。

「何か大事件でも・・・」。

「ちょっとあなた。それよそれッ!明日の朝刊に載るはずの?」。

フロントガラスの正面で回転するパトカーの赤色灯が、パパとママの不安を一層かきたてた。

「すんませんなあ。こっから先は、通行止めなんさ!」。

パパが運転席の窓を開けると、中年の警察官の声が飛び込んできた。

「なっ、なにかあったんですか?」。

不安げにパパが尋ねた。

「なんでもなあ、サーカス団の熊と虎が、移動中に脱走しよったみたいで、この先の岬の方へ逃げ込んでしまったようなんさ。それで今し、岬に続くこの道を封鎖して、猛獣の捕獲にあたることになったんさ」。

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「娘が、娘が岬のキャンプ場に向かったんです。何とか、何とかここを通していただけませんか?」。

ママが運転席に身を乗り出す格好で警察官に迫った。

「そう言われてもなあ。この先は非情に危険やしなあ・・・。それにさ、道路封鎖は県警からの命令なんさ・・・わし一人の一存では・・・ちょっと、なんぼなんでもなあ・・・」。

警察官はしどろもどろと口篭った。

「じゃあ、何とか県警に確認を取って下さい。お願いします。大至急!娘の、一人娘の大切な命が掛かってるんです!」。

パパは車から降りて警察官に向かって深々と頭を下げ続けた。

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「困ったなあ・・・。じゃあ、ちょっと無線で署に指示を仰ぎますんで、そこで待っとってもらえますやろか」。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.36

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

「おおっ、そうだそうだ。おおいっ、みんな!今から肝試しを兼ねてかくれんぼしようか?」。

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突然酔っ払いのモッくんパパが、ふら付きながら立ち上がった。

「オオイッ、ミンナ。キモラメシガネテ、カクレンボシルジョウ」。

顔中ハチミツだらけの美代が、パパの台詞を真似、裕也と基喜に駆け寄って行った。

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「こんな遅くに?」。

「なあんだ裕也。お前本当は怖いんだな?」。

「こっ、怖くなんかねぇよ」。

裕也は憮然として言い返した。

「エエッー、マジー?」。

基喜が不満の声を上げた。

「基喜、お前怖いんだろう?」。

今度は基喜に向かって、モッくんパパは詰め寄った。

「ウワーイ、基喜本当は怖いんでちょう」。

美代が基喜を茶化した。

「そっ、そんなわけねぇよ。ミヨちゃんと違ってオレ男だし、ちゃんとチンチンも付いてるからなあ・・・怖くなんかねぇよ」。

「モトキーッ、チンチンあったら怖くにゃいの?」。

「それが男ってもんさ」。

「ねぇ、パパーッ。ミオもチンチン欲しい!」。

「美代ちゃんはチンチンなくってもいいの。女の子だからねぇ。じゃあ、かくれんぼは、美代ちゃんとパパが一緒のチームで、鬼をやろう。そしたら美代ちゃんパパと一緒だから怖くないでしょう」。

「うん。わーいわーい、パパといっちょのチーム、チーム」。

「じゃあ決まりだ!折角のキャンプなんだし、子供達と一緒に思い出深い遊びの一つでもしとかないとな」。

モッくんパパと美代が鬼になり、肝試しを兼ねたかくれんぼが始まった。

テントの中からは、モッくんママの小さな寝息が聞こえ始めた。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.35

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

砦岬キャンプ場では、数組の家族連れが夕食も終わり、思い思いにくつろいでいた。

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どんよりとした雲が、湾内に突き出た岬の上空にゆっくりとかかり始めていた。

「おおいっ、裕也!ビールがねぇぞ、ビールが!」。

モッくんパパは、すっかりいい気分で酔っ払っていた。

「おおいっ、基喜!ビールがねぇぞ、ビールが!」。

虫篭のクワガタを眺めながら裕也が、基喜にむかってパパの台詞を真似た。

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「おおいっ、美代!ビールがねぇぞだってさ!」。

基喜も虫篭の中のカブト虫にスイカを与えながら、美代にむかって裕也の台詞を真似た。

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「おおいっ、ママ!ビールがねぇじょだって、モトキがいった!」。

キャンプ用の組み立て式テーブルで、デザートのワッフルにハチミツをたっぷりぬりながら、手と口の周りをハチミツでベトベトにした美代が、基喜の台詞を真似た。

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「裕也、基喜!何であんた達は、いっつもそうなのよ!パパに最初に頼まれたのは、いったい誰よ!」。

モッくんママの怒鳴り声が響き渡った。

「オレでーす!」。

裕也はふて腐れながらクーラーボックスからビールを取り出した。

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「あらっ、ねぇパパ、今パラッパラッと来なかった?」。

「ウィーツ。パラッとでもドサッとでも、こーなったら、ウイッ、何でも来て見やがれってんだよ」。

「まったくこの酔っ払いが・・・話になんないわ!あっそうだ、基喜っ!雨が降り出しそうな雲行きだから、マウンテンバイクはちゃんとシートの下に入れておきなさいよ。じゃあね。お先に、オヤスミ」。

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ママは酔っ払いのパパに愛想を付かして、さっさとテントの中に潜り込んで行った。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.34

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

「岬のキャンプ場には、猛獣が迫っている事など、なんにも知らないキャンパー達がいるんだぜ!もしもその人たちに危害が加わる恐れがあったら・・・」。

「恐れがあったら・・・?」。

卓磨と麻美は、鸚鵡返しで刑事に迫った。

「その時は、容赦なく狙撃する!」。

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「あの子たちは、そんな凶暴な事をするわけがありません」。

麻美はなおも刑事に食い下がった。

「あの、刑事さん。麻美はサーカス団の猛獣使いです。なんとか連れて行ってやっちゃもらえませんか?きっと多少のお役には立てるはずですから。それに麻美にとっちゃあ猛獣達は、兄弟のような存在なんです。だから撃ち殺されるかも知れない状況を放って置くわけにはいかないんです。それが人情ってもんでしょう。ねっ、何とかお願いしますよ」。

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満は刑事にそう言いながら、トットと麻美をパトカーの後部座席に押し込んだ。と、同時に卓磨もすかさず満の脇をすり抜けて、麻美の足元へと潜り込んだ。そして後部ドアを内側から思いっきり引いた。

写真は参考

「たっ、たく・・・」。

満の驚いた顔が窓ガラス越に映った。

(シッ、シー)

卓磨は窓ガラスの向うで呆然と立ち尽くす満に向かって、ジェスチャーで黙って見逃してくれるよう拝んだ。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.33

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」2023.04.16開催

「熊と虎の逃走経路ですが、この裏手の薮を突っ切って砦岬のキャンプ場方面へ向かったものと思われます。現在無線で県警に応援を要請し、狙撃班の緊急配備をかけました。我々も直ちに砦岬キャンプ場へ向かいましょう」。

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部下と思われる若手の刑事が駆け寄り、強面の刑事に告げた。

「なら、私も連れて行ってください」。

麻美が一歩前に出た。

「あのねぇお嬢ちゃん。これは犬や猫相手の捕り物じゃあないだ。相手は猛獣」。

パトカーに乗り込もうとする強面の刑事が振り返った。

写真は参考

「わかってます。でもお願いですから、私も連れて行って下さい」。

麻美は刑事に食い下がった。

「だから、これは女子供の出る幕じゃねぇっていってんだろう」。

「テディとティグを殺すつもりなんでしょう!」。

一瞬刑事の動きが止まった。

「だって狙撃班を向かわせたって・・・あの子達、見つかったら撃ち殺されちゃうってことでしょう」。

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麻美はその場にへたり込んで、大声で泣き叫んだ。

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遠巻きに事の成り行きを見詰めていた野次馬の「ひでえ刑事だなあ、まったく」「情の欠片ってもんもないのかしら」「ドラマの刑事さんとは大違いだわ」等と、口々にやじる声が強面の刑事に浴びせられた。

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