「100ユーロの土産」②

近日詳細を発表!

次回の「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 Autumn in C♭」の日程が決まりました。

2023.09.17 sun 14:00~16:00

詳細は決定次第このブログで発表させていただきます。

何を思ったのか、妻は途中の免税店でウエストバックを買い求め、それを着用するよう私に命じた。

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私はまるで腹巻のようにウエストバックを巻かされ、そこにデジカメからパスポートや貴重品までを押し込まれた。

3日目にパリに到着。

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妻が事前に調べ上げたコースをたどり市内観光へ。

セーヌ川の辺を寄り添い歩き、ルーヴル美術館で名画を鑑賞。

ベルヴィル坂のオープンカフェで、まるで丼のようなボールに入ったキャフェラテを楽しんだ。

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記憶の彼方で薄れてしまった、まだ恋人同士だった甘い時代が微かに甦ったものだ。

だがそんな矢先に事件は起こった。

「せっかくだから、地下鉄にも乗ってみましょう」と、妻に促されるままメトロの駅へ。

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改札で妻は「地下鉄が一番スリに会いやすいんですって。特に一番の標的が日本人の中年夫婦みたい。まるで私たちみたいじゃない」と、地球の歩き方で学んだ俄仕立ての講釈を一くさり。

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「大丈夫さ。仕事でもっと治安の悪いところへだって、散々行ってるんだから」と、私も負けてはなるものかと、頼もしさをひけらかし、腹巻のウエストバックをパンと一叩き。

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さっそく地下鉄へと乗り込んだ。

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「100ユーロの土産」①

まずはお知らせです!

前回のLiveの模様です。

次回の「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 Autumn in C♭」の日程が決まりました。

2023.09.17 sun 14:00~16:00

詳細は決定次第このブログで発表させていただきます。

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 Autumn in C♭」ご期待ください!

今日からは、ぼくの創作散文にお付き合いいただきましょう。

この「100ユーロの土産」は、かれこれ15年以上前に綴った散文だと記憶しています。

どうぞよろしくお付き合いください。

参考

旅の恥は掻き捨てとか。

しかし掻き捨てたはずの恥の記憶が、旅先の都市名を耳にした瞬間、たちまち甦ってしまう。

しかもどの思い出よりも鮮明に。

普段仕事ばかりに明け暮れ、家庭を(かえり)みなかった罪滅ぼしを兼ね、妻をヨーロッパ巡りの旅に連れ出した。

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これまで私は広告マンという仕事柄、ありとあらゆる世界の都市を訪ね、それなりに英会話にも自信を持っていた。

だから久しぶりに妻との二人旅で、颯爽とエスコートをしてやり、国際感覚に(た)けた夫として見直させてやろうという密かな狙いもあった。

旅の話しが決まってからと言うもの、妻は十分に時間と金を注ぎ込み、実に楽しげに旅支度に(いそ)しんでいた。

それだけでも多少は妻孝行になったのかも知れない。

だが一方私はと言えば、まとまった休みを取るために、いつにも増して仕事に忙殺され、とても旅支度どころではなかった。

それに海外出張など、スーツの代えとYシャツさえあれば、後は何とでもなる。

だから妻との旅も、その程度にしか考えていなかった。

だが旅の前日、妻が私に問うた。

「あなた明日、どんな服着て行くの?」と。

私は当時持っていたスーツの中から、スポンサーへのプレゼン時に必ず勝負服として着ていた一着を取り出した。

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すると「ちょっとあなた、仕事じゃないのよ。もっとカジュアルでなきゃ」と一蹴。

仕事一筋で生きて来た、同世代のサラリーマン諸兄ならお分かりのように、カジュアルっぽいファッションと言って思い付くのは、差し詰めゴルフウェアくらいのものだ。

妻は明らかに落胆の色を滲ませた。

しかしもう今更、買い求めに走り回る余裕など無い。

何とかかんとか妻の機嫌を取り成し、翌朝成田を発った。

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いよいよヨーロッパ古都めぐりのスタートだ。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.59 最終話

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

「ねぇモッくん。モッくんのおじいちゃんやおばあちゃんは?」。

「パパの方のおじいちゃんもおばあちゃんももう死んじゃたから、ママの方にしかいないよ」。

「ねぇモッくん。死んだおじいちゃんやおばあちゃんってさあ、モッくんに逢いに来たことある?」。

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「なんだよ急に変なこと言い出しやがって」。

「ねぇねぇまじめに答えて」。

「うーん・・・そうだなあ、そう言われて見れば、ケンカで負けそうになった時なんか『おじいちゃん、おばあちゃん助けて!』って心の中で叫んだことあるけど、・・・そうするとなんか不思議に、急に強くなった気がするんだよなあ」。

「ふーん」。

「で、なんなんだよ」。

「ううん。ちょっと聞いて見たかっただけ」。

「変な奴だなあ、お前って」。

「あのさあモッくん、明日の事ってやっぱりわかっちゃいけないんだね。わからないから『ああ明日どんな日なんだろう。早く明日が来ないかなあ。明日が待ち遠しいなあ』って思えるんだね」。

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「あーあなんだか、わっけわかんねぇなお前って」。

「いいの、いいの。わけわかんない方が、いいことだってこの世にはちゃんとあるってこと!」。

「あーあ、あったまいってぇー!」。

(完)

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.58

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

「木乃葉、これっ」。

「エエッ?・・・モッくん、これってもしかしてカブトじゃん。・・・エエッいいの?」。

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「だってこの前、約束しただろう」。

「うっ、うん」。

大人たちの酔っ払った笑い声が遠くに聞こえる。

キャンプ場の外れの芝生の上で、木乃葉も基喜も大の字になって空を見上げた。

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さっきまでの雷雲は遠く北の空に移動し、満天の星たちが辺り一面に広がっている。

「でもさあ、なんでお前ここまで来たんだ?しかもたった一人でだろう?オレびっくりしたよ。さっき」。

「エッ、一人?」。

「ああ。さっきお前『動かないで』って突然現われるんだもん」。

『じゃあ、モッくんにはおじいちゃんの姿は見えなかったんだ・・・』

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.57

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

「お手柄だったんだって?コンチャン」。

「あれっ?パパ、ママ?でも・・・どうしてここに?」。

「パパとママも、コンチャンと一緒に、モッくんたちのキャンプの仲間に入れてもらおうと思って」。

「なんだかさっきから騒がしくって眠れないんだけど・・・ねえ、パパ?なんかあったの?」。

モッくんママがボサボサヘアーで眠そうにやって来た。

参考

「なにをのん気な。お前何にも知らなかったのかよ!」。

美代を肩車したモッくんパパが大声で笑った。

「そ、それに・・・なんでコンチャン家のみんなまでここにいるのよ?」。

「まあそんなことどうだっていいじゃないか!さあ、もう一度今から、キャンプファイヤーの宴会をやりなおすぞ!おおいっ基喜、ビールだビール!」。

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モッくんパパは大声でまくし立てた。

「おおいっモトキ!ビールだビール!ワーイワーイ、コンチャンとイッチョニキャンプ(・)イヤーだじょう!」。

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肩車の美代もパパを真似奇声を発した。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.56

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

砦岬キャンプ場の入口は、深夜とは思えぬほど騒然としていた。

赤色灯を回転させる警察車両や救急車、それに猛獣の応急処置に駆け付けた獣医の車。

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「木乃葉ちゃん、さっきはありがとう」。

麻美がサーカス団のトラックの窓から、木乃葉に手を差し出した。木乃葉も真新しい包帯の巻かれた腕を上げ、握手に応えた。

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「今度ティグの赤ちゃんが生まれたら、連絡するから絶対見に来いよな」。

卓磨も木乃葉に別れを告げた。

「うん、絶対!」。

「本当に木乃葉ちゃんの勇気に感謝だよ。テディもティグも、今日から木乃葉ちゃんのお友達だからね」。

満は木乃葉に向かって手を振った。

「ほっ、本当?」。

「本当よ!だつて命の恩人なんだもの」。

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麻美の頬を涙がつたった。

サーカス団のトラックは、真っ赤なテールライトを左右にゆったりと揺らしながら、闇の向こう側へと消えて行った。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.55

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

「あれっ?おじいちゃん・・・」。

木乃葉は一瞬白い煙を上げた、崖っぷちの老木を見詰めた。

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さっきまでその場所にいたはずの老人の姿が消えていた。

「ああっ、ゴモラン」。

老人が姿を消した草むらには、ポーチに取り付けられていたぬいぐるみのキーホルダーだけが転がっていた。

『よくやったぞ、コンチャン!なかなか、立派じゃった。熊もトラも、わしら人間も、この世に生を受けた者たちの、命の重さはみんな一緒なんじゃ。わしはもう帰らねばならん。またいつか、コンチャンに逢いにいくからのう』

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木乃葉がゴモランを握り締めると、どこからともなく老人の声が聞こえた。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.54

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

ピカッ!バリバリバリッ!

ドッカーン!

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「うわっ、つ、ついに落ちたぞ!」。

「ねぇ、パパあそこよ!ほらっ」。

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砦岬キャンプ場の突端の老木から、白い煙が立ち昇って闇夜の彼方へと消えて行った。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.53

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

強面の刑事の拳銃の先から、わずかに煙が立ち昇った。

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「南無阿弥陀仏!」。

老人は天を仰いで何やら一言呟いた。

ヘリの上空を覆っていた雷雲から、轟音と共に稲妻が走った。

ピカッ!バリバリバリッ!

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ドッカーン!

「キャーッ!」。

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強面の刑事の拳銃から発せられた弾丸は、稲妻の逆鱗に触れたように打ち据えられ、熊の直前で砕け散った。

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7歳の娘に毎日送ったハガキ~132通の物語『明朝新聞(みょうちょうしんぶん)』No.52

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」無事に終了いたしました。誠にありがとうございました。

「待って!もうこれ以上撃たないで!」。

木乃葉は、両腕を真っ直ぐ水平に伸ばし両足を開き、「大」の人文字のような格好で、狙撃班の銃口の前に立ちはだかった。

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「コンチャンの腕の傷は、ママにお薬塗ってもらえば、直ぐに治っちゃうよ。でも、熊さんやトラさんの心にできた傷は、もう治らなくなっちゃうんだよ。もう人間のこと、誰も信じられなくなっちゃうんだよ」。

ライフルの銃口が下げられた。

木乃葉の前にもう一つの影が立ちはだかった。

「お願いです。どうか熊のテディもトラのティグも助けてやってください。トラのティグのお腹には、赤ちゃんがいるんです。ですから、どうか命だけは!」。

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麻美は狙撃班の前にひざま付いた。

「そうか!熊のテディは、トラのティグのお腹に赤ちゃんがいるって知ってたんだ。だからあんパンだって自分は食べないでティグにあげてたんだ」。

「大」の字の状態で立ちはだかる木乃葉の真横に、熊が仁王立ちのまま歩を進めてきた。

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パンパーン

乾いた銃声がヘリのエンジン音を切り裂いた。

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