「金糸雀(かなりあ)」No.35(最終回)

「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 Autumn in C♭」開催決定!!! ★詳細は4/29のブログをご確認願います。

ぼくの「金糸雀」をぜひともお聴きいただきながら、シナリオをご覧ください。

18 名古屋駅、新幹線上りホーム                         

  発車のベルが鳴り響く。

駅アナ「14番線の列車は、のぞみ40号東京行きです。

写真は参考

   名古屋を出ますと品川まで止まりません。

   ご乗車の方は、お急ぎください。

   間もなく発車となります。

   お見送りの方は、黄色い線の内側までお下がりください」

ナ レ「佳代はボストンバックを手に、新幹線上りホームで、東京行きののぞみ号

   に乗り込んだ」

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佳 代「(涙声)さよなら、たかし。

   さよなら、マリーさん。

   わたし絶対後悔しない!

   ゴメンネたかし。

   わたし金糸雀のくせに、あなたのこと愛しちゃって・・・。

   さよなら・・・」

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  発車のベルが鳴り響き、のぞみ号が走り去る。

(完)

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「金糸雀(かなりあ)」No.33

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  箪笥の開け閉めの軋みと、ボストンバックの開く音。

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  たかしのいびき。

  窓を開ける音。

  風の音に交じって枯葉が舞う音。

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  鳥たちの囀る声。

  たかしのいびき。

  便箋にボールペンを走らせる音。

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  ペンがテーブルに置かれる音。

ナ レ「明け方。

   佳代は、『ゴメンネたかし。わたしは所詮カナリア。

   あなたとの幸せの隙間から、今飛び立ちます』と書いた一枚の便箋を、たか

   しの枕元に置き、ボストンバックを手に佇んでいる」

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佳 代「(小さな涙声)たかし。

   ・・・幸せ、ありがとう。

   わたしの身勝手、どうか許して。

   さ・よ・な・ら・・・」

ナ レ「佳代は窓際にカナリアの鳥籠を寄せ、籠の扉を開けた」

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佳 代「さあ、もうお前は自由よ!

   どこへでも好きな場所へ行って、好きなだけ唄いなさい!」

  静かにドアが開きそして閉まり、鍵が掛かる。

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「金糸雀(かなりあ)」No.32

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  お風呂の湯船の音と、たかしの演歌の鼻歌が聞こえる。

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  台所からは、炒め物の音。

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  茶碗と箸の触れ合う音。

たかし「ご馳走さん。

   旨かったーっ」

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佳 代「どうだったレース」

たかし「まあまあってとこかなぁ。

   復帰第一戦にしちゃあ」

佳 代「もうお布団敷いてあるから、先に休んでて。

   わたしもお風呂入って来るから」

たかし「じゃあ、そうさせてもらおうかなぁ」

  お風呂の湯船の音。

  佳代の鼻歌「You’d be so nice to come home to」が聞こえる。

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  たかしのいびき。

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「金糸雀(かなりあ)」No.31

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17 たかしの部屋                                

ドアのチャイムが鳴る。

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佳 代「はーいっ」

  ドアロックが外され、ドアが開く。

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たかし「ただいまーっ」

佳 代「お帰りーっ。

   遠征、お疲れさまでした」

たかし「ほら、お土産!」

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佳 代「ええーっ、ねぇこれってカナリア?」

  カナリアの囀り。

たかし「ああ、駅前のペットショップで見かけて、佳代の話し相手にもちょうどい

   いかなって思って、つい買っちゃったんだ。

   小鳥嫌いか?」

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佳 代「ううん、そんなことない」

たかし「だったらよかった。

   カナリアって唄うって言うもんなぁ。

   佳代も唄が好きだから、結構気が合うかもなぁ」

佳 代「そうかなぁ?」

たかし「あー、腹減った!」

佳 代「疲れたでしょ。

   取り敢えずお風呂沸いてるから先に入って。

   すぐご飯の準備するから」

たかし「よーしっ、ひとっ風呂浴びるとするかぁ!」

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「金糸雀(かなりあ)」No.30

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   こう見えたって、こんな私でも、結構モテルのよ。

   今日もねぇ、これから同伴なの!

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   あんた何悩んで落ち込んでんだか知らないけど、初めてアンタを見た時の

   輝き、すっかりどっかに落っことして来ちゃったんじゃない?

   早く元気と輝き、取り戻しなさいよ!

   じゃあねぇ」

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佳 代「輝き・・・かぁ」

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「金糸雀(かなりあ)」No.29

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佳 代「悩みかぁ・・・」

マリー「私さぁ、小さな頃から姉のお下がりの洋服ばっかり着せられて育ったの。

   貧乏だったから、仕方なかったんだけどねぇ。

   中学入っても、下着はいっつも姉のお古。

   でも私抵抗なかったのよ。

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   むしろその方が落ち付いたくらい。

   同級生たちがみんな、憧れの女の子に夢中になってたのに、私は野球部の先

   輩の事で頭が一杯で。

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   今風に言えば、性同一性障害っていう、立派な心の病だったみたい。

   でも私が先輩のこと好きだってバレちゃったら、みんなの見る目が急に変わ

   っちゃって、あいつはおかしいって散々苛められたわ。

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   でも私の中では違ってた。

   私は姿形が男に生まれただけで、心は女なんだって、そん時思ったの。

   それから私の生き方が変わったの。

   とにかく自分に正直に生きてやろうって。

   たとえ人からどんな風に思われようと、別に世間様に迷惑掛けるわけじゃな

   いんだからって。

   でもやっぱり所詮は紛い物。

   偽物なのよ。

   最後まで、本物の女にはなれないわ。

   でも私、後悔なんてしてない!

   だってもしも中学の時、自分の中の女を押し殺して、いやいや無理して男で

   生きる辛さを考えたら、まっぴら御免。

   今の方がよっぽどましだわ」

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佳 代「自分の中の、もう一人の自分・・・かぁ」

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「金糸雀(かなりあ)」No.28

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佳 代「(鼻歌っぽく) You’d be so nice to come home to

   You’d be so nice by the fire

   While the breeze on high」

マリー「なぁ~んだ、あんた佳代ちゃんじゃない!」

ナ レ「マリーが佳代の隣に腰掛ける」

参考

佳 代「あっ、あの時の・・・マリー・・・さん」

マリー「あんた唄うまいのねーっ。

   あたし誰が唄ってんだろうって、向こうで聞いてたのよ。

   そりゃあそうよねぇ。

   だってあんた、クラブ歌手だったんだもんねーっ」

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佳 代「ええ、2ヶ月前まではね」

マリー「あらっ、お店やめちゃったの?」

佳 代「そうなの。

   ちょっと嫌なことがあったから」

マリー「あっ、わかった!

   たかしチャンが、お店で唄うの反対なんでしょ!

   あんた悔しいけど可愛らしいから、店の客に奪われはしないかって・・・。

   たかしチャン、あれで随分焼餅焼きだから」

佳 代「そればっかりじゃないんだけど」

マリー「でもいいわよねぇ。

   唄が上手いって。

   ・・・唄ってさぁ、正直者よねぇ」

佳 代「えっ、どうして?」

マリー「あんた唄上手いけどさぁ、さっきの唄、何だか泣いてるみたいだった!

   なんかとっても辛そうだったもの。

   まぁ私は唄のこと、素人だからその理由なんてわかんないけど」

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佳 代「唄が・・・な・い・て・い・た・・・」

マリー「あんた何か悩んでんでしょう。

   だってちゃんと顔に書いてあるんだもん」

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「金糸雀(かなりあ)」No.27

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  ラジオのスイッチを切る佳代。

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佳 代「(独り言)オーディションかぁ・・・。

   ビッグチャンスかぁ・・・。

   はぁ~あ」

16 夕暮れの公園                                

  

写真は参考

  カラスの鳴き声。

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  子供たちのはしゃぎ声。

  子供の名を呼ぶ母親の声。

  「リナちゃーん。

   もう日が暮れるから、お家に帰るわよーっ」

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  「りょう!

   晩御飯よ!

   早く帰ってらっしゃい!」

  子供たちの声。

  「じゃあねーっ。

   バイビー」

  「ケンちゃん、また明日―っ!」

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ナ レ「買い物袋を抱えたまま、公園のベンチに佳代が座って口ずさんでいる」

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「金糸雀(かなりあ)」No.26

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  マンションのドアが閉まる。

  ラジオから流れていた「You’d be so nice to come home to」が終わる。

写真は参考

ラジオ「西区の36歳主婦。

   キャサリンのママさんからのリクエスト「You’d be so nice to come home

   to」でした。

   お便りには『私も若い頃、ジャズシンガーを目指して、この曲をよく弾き語

   りで唄ったものです。

   でも今はその時のピアノで、だんご三兄弟を毎日子供相手に弾いては唄って

   います。

写真は参考

   あの時、もしも主人と一緒にならずに、ずーっと唄っていたら・・・今頃ど

   うなってたのかなぁって、この曲を聴くたびに思い出してしまいます』っ

   て。

   なんとも素敵なお便りありがとうございました。

   そんな風に思い出に浸れるのは、きっと今がとってもお幸せだからじゃない

   のかなぁ?

   みなさんも思い出のエピソードを添え、どんどんリクエストをお寄せくださ

   い。

   さて、ここで番組からのお知らせでーす!

   この番組『ドリーム・カフェ』では、アーバンレコードとタイアップして、

   本格派の新人シンガー発掘を目指して公開オーディションを、明後日日曜日

   午後1時から、渋谷のスタジオ・センチュリーで開催します。

写真は参考

   事前の面倒な応募は、一切必要ありません。

   当日の明後日、午後1時に、東京渋谷のスタジオ・センチュリーへお越しい

   ただければOK!

   ジャンルはポップスやジャズのカヴァーから、オリジナルまで何でもあり!

   とにかく本格派シンガーを大募集!

   ソロでもユニットでも、とにかく何でもOK!

   最終審査でグランプリに輝くと、もちろんアーバンレコードからメジャーデ

   ビューの権利をゲット!

   とにかくビッグなこのチャンス!

   さあ、あなたはどうする!(エコーがかかり、「どうする!どうする!ど

   うする!」とゆっくりフェードアウト)

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「金糸雀(かなりあ)」No.25

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15 たかしの部屋                                

  ジャズのスタンダートナンバーが、ラジオから流れている。

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ナ レ「あれから2ヶ月が過ぎ、佳代とたかしの同棲生活もすっかり落ち着いた。

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   たかしの足の麻痺も取れ、自主トレの調整も終わり、いよいよレース出場の

   ため遠征が始まる。

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   佳代はあの事件をきっかけに、たかしも望んでいるように、プロ・シンガー

   への道を断念しようと、必死に自らに言い聞かせていた。

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   たかしとの愛に全てを賭ける。

   それが一番の幸せなんだと。

   しかし佳代は気付いていた。

   唄うことを取れ上げられ、抜け殻のようになってゆく、もう一人の自分の

   存在に」

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たかし「それじゃあ、行ってくるから」

佳 代「・・・うん。

   ・・・気を付けて」

たかし「何だか最近元気がないんだよなぁ。

   やっとレースに復帰できるんだ、もう少し元気よく送り出してくれよっ!」

佳 代「だって、・・・。

   今まで毎日毎日、朝から晩までずーっと一緒だったから・・・。

   レースに復帰できて、本当は喜ばなきゃいけないの分かってるけ

   ど、・・・。

   今日からしばらく帰って来ないんだって思ったら・・・。

   素直に喜べなくって・・・ゴメン」

たかし「よしっ!

   じゃあ遠征から戻って来る時には、佳代がひっくり返るくらい一杯お土産買

   い込んで来よう!

   だからさぁ、もう機嫌直して見送ってくれよ!」

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佳 代「うっ、うん。

   お土産なんてどうだっていいんだ。

   それよりも早く帰って来てね!」

たかし「ああ、分かった。

   じゃあ行ってくるよ」

佳 代「うん。

   レース頑張ってね!

   いってらっしゃい」

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