「ボーッと黄昏れてんじゃねぇよ~っ!中高年癒しの楽園ラジオ」7月4日(火)からFM WATCH 78.5MHz 毎週火曜日15:00~16:00で始まります‼(※詳しくは、6月19日のブログをご覧ください)

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まずはぼくの楽曲「花筏」をお聴きいただきつつ、物語の世界をお訪ねいただければこの上なく幸せです。
「ギヤマンの欠片(かけら)」No.17
◆
不忍池の水面を揺らし、北風が吹き抜けてゆく。

心なしかお藤の頬が、木枯らしに赤らんでいるようだ。
池の辺で隣り合わせに座りながら、喜八郎はお藤の横顔を窺った。
お藤は膝の上に手拭を広げ、いくつものギヤマンの欠片の中から、一つ一つを取り上げ、矯めつ眇めつ飽きもせず眺め続けている。

「おっ、またピタリと揃ったではないか!しかしお藤の手に掛かると、あれ程難解そうなギヤマンの欠片もピタリと合わさる。まるで手妻でも見せられておるようで不思議でならぬ」
お藤はクスリと笑い声を上げ、嬉しげに喜八郎を眺めた。
「そうだ、今日はお藤に見せようと、貝合わせを持って来たんだ」
喜八郎は袂から、和紙に包まれた貝合わせを取り出し、お藤に手渡した。

お藤は膝の上に包みを置き、恐る恐る和紙を広げた。
「貝殻を開いて見るといい」
蛤の貝殻を小さな両手で大切そうに持ち上げ、そっと開いた。

「ああ、ああ!」
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