「14通のラブレター」⑤


まだ子どもたちが小さかったころ。

参考

お隣のご隠居が『今日は鰻がようけ釣れてな』って、丸ごと一匹お裾分けしてくれた日のことや。

すぐに奈々ちゃんが七輪で蒲焼きにして、家族みんなで卓袱台囲んで鰻丼食うたやろ。

写真は参考

食べ始めてしばらくすると一樹が『母ちゃん、鰻嫌いなんか?だって尻尾のとこ、ちょびっとしか乗っとらへんが』って不思議な顔してな。

写真は参考

そしたら奈々ちゃんが小声で『実はな、鰻は尻尾んとこが一番栄養満点で旨いんやて』ってゆうもんやで、それからが一騒動やったわ。

参考

子どもらが皆して、母ちゃんの尻尾と代えてくれって泣き喚いたんやで。

参考

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

「14通のラブレター」④


病室の窓から見える川堤の桜並木が、春一番の風を受け揺れている。

写真は参考

母の枕元へ父を乗せた車椅子を寄せると、父がおもむろに手紙を取り出した。

参考

「奈々ちゃんへ。

参考

夕べから、長男の一樹が来てくれたよ。奈々ちゃんが好きな羊羹持って。今回は仕事もしばらく休みを取ったとかで、弟や妹と代わって世話してくれるそうや。だからしばらくは、毎朝一樹と一緒に見舞いに来れるわ。

奈々ちゃん、覚えとるか?

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

「14通のラブレター」③


父は何時間もかけ、チラシに書き留めたデッサンを、震える指先で手紙の中に入念に描き写す。

参考

すっかり冷めきった母のコーヒーカップは、もう40年以上も前に、母の日のプレゼントとしてぼくが贈った安物だ。

写真は参考

「さあ、出かけよか?」

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

「14通のラブレター」②


ようやく注ぎ終えると、表面に浮かんで渦を巻く粉末クリームを眺め、広告チラシの裏側にその図柄を書き留める。

写真は参考

「菜々子は昔から、毎朝こうやってその日を占っとったんやて」

参考

父はちょっぴり照れくさそうにつぶやき、震える指先でスケッチに精を出す。

参考

「入院してまってコーヒー占いができんで、わしが代わりに占って絵にして持ってくんやて。菜々子が何よりも楽しみに待っとるでな」

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

突然ですが!「寒干し大根がやって来た~っ!」②

昨日から始まりました「14通のラブレター」ですが、今日はちょっとお休みをいただきまして、週末に酒のあてにと作った「寒干し大根とベビーホタテの和風煮~生クリーム添え」をご紹介させていただきます。


今回の酒のあて「寒干し大根とベビーホタテの和風煮~生クリーム添え」は、こちらです。

作り方なんて言うと、それこそおこがましいくらいの、超簡単な一品です。

まず寒干し大根を良く洗って、ボールにお湯を張り寒干し大根を戻します。

寒干し大根がフニャリとなったら、適当な大きさに切り、小鍋に移してボールの戻し汁を入れ、鰹と昆布で煮出しただし汁を加え、ボイルされたベビーホタテを加えます。

そして火に掛けながら、醤油と酒を加え味を染みこませたら小鉢に盛り、その上から生クリームを垂らせば完了。

煮物だから少しは甘みがあった方がいいだろうかと、味醂を入れようかなぁと思いながら!

「待てよ?」と煮汁を味見してみると、何と何と寒干し大根の自然の甘みがしっかりと利いていて、味醂も砂糖も入れずに完成。

「和風の煮ものだけど、生クリームなんぞを上から少し垂らしたらどうだろう?」

そんな思い付きを試してビックリ!

とってもマイルドな味わいとなり、日本酒にもビールにも大変お似合いなあてとなりました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

新シリーズ「14通のラブレター」①


カチャ ガチャ カチャ

参考

父は震える指先で、インスタントコーヒーの入ったカップを、スプーンで何度も掻き回す。そして上からスプーンにすくった粉末クリームを、何かを祈るようにそっと注ぎ込む。

参考

だがパーキンソン病という難病に蝕まれた父の指先は、思い通りに動いてはくれない。それでも父は辛抱強く、その作業に専念し続ける。

参考

まるで司祭が厳かに儀式を執り行うように。

そんな儀式が、かれこれもう2週間も続いている。

参考

永年連れ添った母が末期癌と宣告され、緊急入院した翌朝から始まったものだ。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

「寒干し大根がやって来た~っ!」


ついについに、飛騨市山之村から、待ちに待った「寒干し大根」が届きました~っ!

奥飛騨山之村商店 (stores.jp)

中にはこんなに寒干し大根が!

直径4cm、厚さ1cmほどにその実を縮め、太陽の光を存分に浴び、一身にオレンジ色を纏った、何とも馨し過ぎる寒干し大根です。

北アルプスの麓、標高約1,000mの地で、原材料となる大根の作付けから仕上がりまで、約8ヶ月の期間を惜しみなく費やし、全てこの地の恵だけで作られた、奥飛騨山之村でしか作ることができないJAPAN GIブランドの逸品だけあります。

マイナス二十度にもなる、極寒の地で作られる、完全無欠天然フリーズドライの寒干し大根です。

さっそく試しに、「寒干し大根の餡かけパスタ」を作っちゃいました。

まず初めに寒干し大根を水洗いしてからお湯に浸し、柔らかく戻ったら半分に切り、寒干し大根の戻し汁と一緒に、豚バラ肉と小松菜を入れ、鶏がらスープに醤油と酒で味を調え、片栗粉で餡に仕上げ、茹で上げてオリーブオイルで解したパスタにたっぷりかければ出来上がり。

するとどうでしょう、砂糖など一切入れていないのに、寒干し大根自らが蓄えた、大自然が醸し出す仄かなやさしい甘みが感じられ、とてもとても得も言われぬ美味しさとなりました。

これまた昼呑みのキリン淡麗グリーンとの相性も良く、筆舌に尽くしがたい味わいでした。

やはり人が惜しみなく手間をかけ、大自然が繰り返す寒暖の変化で生み出された、飛騨市山之村の、黄金色した寒干し大根の逸品でございました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

「Doorknob 街中 Watching!」⑤


Doorknob 街中 Watching!第5弾はコチラ!

これぞ昭和の時代の、アパートのドアって感じそのものじゃないでしょうか?

ぼくが若き日に借りていたアパートも、まさにこんな感じで、真鍮製の真ん丸な球体のドアノブでした。

球体のドアノブの中央に鍵穴があって、そこにこれまたレトロな棒鍵錠を差し込んで、カチャリと捻って開錠したものでした。

懐かしや~っ!

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

「Doorknob 街中 Watching!」④


Doorknob 街中 Watching!第4弾はコチラ!

ドアノブがどこにも見当たらない、不思議なドアを見つけちゃったんです。

それにしても一体全体、どうやってこのドア、開け閉めするのやら???

しばらくこの場所で、頭を捻っておりました。

ドアノブどころか、ドアに手を掛ける取っ手のようなものも見当たりませんから、もしやドアの前の小石がコンクリートで固められた、三和土のような場所に乗っかると、自動で開いたりしちゃうとか?

初めて目にする光景にタジタジ。

そんな訳はないとは知りつつ、居ても立ってもおられず、どうにも気になって小石がコンクリートで固められた三和土に、恐る恐る乗ってみるかと、片足を上げたところで「どちらさまですか?何か家に御用ですか?」と、写真の左奥、2体のキティーちゃんの向こうの、郵便受けのある玄関から老婆が!

「ドアノブも取っ手も無いドアが不思議で堪らず・・・」と告げると、「それは昔の家の勝手口だったドアだわ!昔はちゃんと取っ手もついとったけど、デコラ張りのドアが剥がれてまって使い物にならんくなったもんで、不用心やでって同じサイズのドアを工務店に頼んで見つけてまって、嵌め殺しにしてまったんだって!だで、ノブも取っ手もあれせんって」と。

そう言えば、昭和半ばのわが家でも、鍵なんて掛かっていない勝手口のドアから、酒屋のお兄ちゃんが顔をのぞかせ「ちわーっ、三河屋でーす!ご用はありませんかー?」って、そんなこともありましたねぇ。

お通い通帳だって、ちゃんと勝手口の壁に吊り下げられていたものでした。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。

「Doorknob 街中 Watching!」③


Doorknob 街中 Watching!第3弾はコチラ!

なんとも昭和チックな引き戸の真鍮製の引手です。

ぼくが子どもの頃のわが家の引き戸の引手は、引手側の太めの桟を削ったような物でした。

それに当時のわが家の玄関には、こんなTVドアホンなど無く、玄関内側の引き戸の上部に取り付けられていた、引き戸が開くと自転車のベルのような音の出る物が取り付けられておりました。

そして玄関を開けると、来客を告げるかのように鳴り響いたものでした。

おまけに引き戸の鍵は、真鍮製のネジ式だったような記憶があります。

現代のように物騒な時代では、とても通用しないでしょうねぇ。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

【蓬莱本館】2人セット
価格:3,280円(税込、送料別) (2024/2/11時点)


このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。