今日の「天職人」は、岐阜県高山市久々野町の「小屋名(こやな)しょうけ職人」。(平成21年8月26日毎日新聞掲載)
刈入れ終えりゃ飛騨も秋 氏神様の境内にゃ 秋の実りの供物提げ 氏子が集う村祭 母は炊き出し当番で んてこ舞いで下準備 ぼくも井戸水汲み上げて 母としょうけで米を研ぐ
岐阜県高山市久々野町小屋名の小屋名しょうけ職人の、森久治さんを訪ねた。

小屋名しょうけとは、小屋名に伝わる竹笊(たけざる)だ。
江戸末期、越前(福井県)へと出稼ぎに出た村人が、その作り方を持ち帰ったのが始まり。
かつては升受(しょううけ)と呼ばれたが、いつしかしょうけと訛り、今に伝わった。
村の先達が工夫を重ね、後の世に伝え遺した、美しく素朴な編み目の手仕事ぶりは、今も確かに息づいている。
農閑期の囲炉裏端、暖を囲み秋の夜長に、家族揃って編み手を動かしたことだろう。
素朴なしょうけを見つめていると、囲炉裏を囲む家族の笑い声が聞こえるようだ。
「90年前には65戸で、3200個も生産されとったんやけど、時代が急激に変わって需要も落ち込み、作り手も減り続ける一方やったんやさ」。
久治さんは、13年前に保存会を発足させ、今もしょうけ作りを守り続けている。

「ちょっとそこの勇吉んとこまで行きましょうに」。
青々と成長した稲田の畦道を、久治さんの後に続いた。
「ただなあ、暇つぶって(暇つぶしに)材料やわっとる(準備する)んやさ。せやけんどなぁ、昔は売れて売れてしょうなて、冬なんか夜鍋仕事やさ」。長瀬勇吉さんは、蔦漆(つたうるし)の枝を払い落としながらやさしい顔で笑った。

勇吉さんは昭和11(1936)年、3人兄弟の長男として誕生。
中学を出ると建具師を目指し修業へ。
4年後には修業を終え、自宅で農業の傍ら建具の仕事を始めた。
だがそれからわずか3年後。
「母が死んで、飯炊きがいるぞってことになったんやさ」。
昭和33年、幼馴染の絹枝さん(故人)と結ばれ、二男一女を授かった。
「貧しい時代やったで、結婚式なんてあげられんかった」。
その後昭和40年には、近隣の工務店に勤務し、平成8年に定年を迎えるまで家族を支え抜いた。
「退職した年やったわ。森さんが、しょうけの保存会始めるって言うもんやで。でも不思議と、子どもの頃に教え込まれたしょうけ作りを、この体が覚えとったんやねぇ」。

勇吉さんは、1つ年上の久治さんを見つめ、互いに無言で頷き合った。
幼い日、虫を追い野山を駆け回った、腕白少年のままの瞳で。
小屋名しょうけは、表皮を剥いだ蔦漆を火で炙り、輪にして針金で止め釘打ちし、日陰干しすることに始まる。
次に、古くなった鎌や鉈で作った、竹挽きの道具で篠竹(すずたけ)を4~5ツ割りにして縦竹を作る。
同様に横竹は篠竹を8~9ツ割に。
そして縦竹4本に横竹1本の割合で、交互に胴の笊編みへ。
横竹は3本毎に縁で折り返して編み込む。
胴の両脇に当る尻は、中胴が窪んで半球になるように形を整え、締め上げながら編み上げる。
そして仕上げに1週間ほど水に浸し、皮を剥いだ4ツ割のマタタビで、縁を矢筈(やはず)の8の字に巻き上げ完成。
丸2日を要する。
「時間と手間ばっかで、いくらにもならん。でもこのままやと、今に絶えてまうで」。
かつての腕白少年は、互いに皺深い顔を見つめながら笑い合った。
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お土産物が入っていた竹篭や、ざる豆腐が入っていた竹笊は、使う当ても無いのに直ぐには捨てられない、わ た し(@@;)
わかりますよ、そのお気持ち!
家のお母ちゃんも、何でもかんでも「いつか使うかも知れないから」って、ええって思うものまで仕舞い込んでいたものです。
でも仕舞い込んだ自分が、どこに何を仕舞い込んだか分からずに、役に立ったことなんて無かったような気がしますが(笑)
確か実家に 大きな竹笊が…。
大人数で食事をした際 洗い終わった食器を入れたり 洗った野菜を入れたりしてました。
小料理屋さんのカウンターに お猪口が入った竹笊が置いてあったり その日に使ったお野菜なども入れたり。
そんな小料理屋さん いいですよね( ◠‿◠ )
小料理屋のカウンターで小鉢に入った肴をつまんで、熱燗をキュ~ッと!
窓から深々と降り積もる雪なんぞが眺められたらもう最高ですよねぇ!
「天職一芸〜あの日のpoem 334」
「小屋名しょうけ職人」
使いやすそうですね。
オカダさまの 熱燗をキュ〜ッ!とは
絵になりますね〜!
わかります〜お母様のお気持ちが〜
蜂蜜を2個セットで購入したところ
取り出しやすいように1個の蜂蜜に
なんとも可愛らしい色のリボンが付いていたので とっておこうと直ぐに思いました。お姉ちゃんの蜂蜜にはリボンついてないのが届きますから こっそり
ここで謝っておこっと
可愛らしいリボンの飾りに目を奪われるとは!
永遠の少女のようですねぇ。