「転生の追憶」20話

「ボーッと黄昏れてんじゃねぇよ~っ!中高年癒しの楽園ラジオ」FM WATCH 78.5MHz 毎週火曜日15:00~16:00で始まりました‼(※詳しくは、6月19日のブログをご覧ください)※再放送は、毎週火曜日の19:00~20:00です!

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次回の「オカダミノル ほろ酔いLive」は、来春の開催となります!

「転生の追憶」20話

◆   ◆   ◆

翌朝、宮脇はペニンシュラホテルのロビーで美恵と志津絵を迎えた。

「よく休めた?」

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「お陰様で、胸のうちにしこってたものを、昨日吐き出しちゃったからスッキリ。俄然お腹が空いちゃった」

「やだ、志津絵先輩」

「ぼくもきっとそうだろうと思って、朝食は香港の朝に相応しい、お粥の専門店に案内しようと」

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宮脇は二人を従えて、敵が寝首を欠かれるとも知らず、ぐっすりと休んでいるはずの、インターコンチネンタルホテルを正面に見ながらペニンシュラを後にして歩き出した。

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ペニンシュラとインターコンチネンタルホテルの間を東西に走る道路を潜るように、地下に歩道が敷設されている。

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地下道の入り口から、カンカンカーンとコンクリートに金属を打ち付ける音がする。三人はインターコンチネンタルホテル前の歩道に通じる、地下道を進んだ。

「あれって、もしかして乞食?」美恵が出口を指して小声で尋ねた。

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「ああ、あの場所でよく見かけるG.Iジョーさ」

「なんなのそれ?」志津絵が怪訝そうな顔で宮脇を振り返った。

「いや、彼は陸軍の兵士がほふく前進するような恰好で、いつも通行者ににじり寄り空き缶をコンクリートの地面に打ち鳴らして物乞いをするから。それでいつの間にかみんなから、アメリカンコミック誌に登場するG.Iジョーって呼ばれるようになったとか」

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「足が不自由なのかしら」G.Iジョーの脇を通りながら、美恵は気の毒そうに呟いた。

突然G.Iジョーは、ラベルが真っ黒に変色した、空き缶を激しく打ち鳴らし、美恵の足元に向ってほふく前進を開始した。

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そして美恵に向って「マネーマネー」とだけ言葉を発した。垢で黒ずんだ顔を、覆い尽くすような無精髭。いかつい形相とは裏腹に、鼻の右脇にある大きなホクロが、妙に愛嬌を漂わせる。

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慌てて美恵は駆け出した。

参考
table trip

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「転生の追憶」20話」への8件のフィードバック

  1. 子供のころにテレビのCMで見た人形のGIジョー。持っていた子が羨ましかったなあー!
    それがこんなカタチで登場するとは。でもこれはオカダさんの実体験が反映?

    1. いやいや本当に、九龍の尖沙咀(チムサーチョイ/ぼくの友人の香港ナーは、チムサッチャイと言っていました)にある、インターコンチネンタルホテル(旧リージェントホテル)と、ペニンシュラホテルとを結ぶ地下道に、物語の中のGIジョーの物乞いおじさんがいたんですって!
      彼はある意味有名人でもあったんですよ~っ!
      ぼくも何度も目にしました。
      でもさすがに施しまではしませんでしたけど。

  2. 今日も朝から良い天気なので
    思わず、久し振りに洗車を・・
    綺麗になった車を観ると気持ちがいい ❢
    ストレス解消にもなる。
    けど、腰に爆弾を抱えているので、ほどほどに ❢
    若い頃のツケが回ったのか、チョット油断すると
    「ぎっくり腰」の再発 ❢
    *そう言えば、オカダさんえらい鼻声だったけど
     大丈夫?
    久し振りに自分以外の鼻声を聞きました。

    1. そうなんですって!
      寒暖差と秋の花粉とにすっかりやられ、鼻風邪のような感じになっちゃってました。
      でも熱も無く、もうすっかり良くなりましたぁ!
      お聞き苦しく、申し訳ありませんでしたぁ!

  3. 子供の頃、初詣で熱田神宮とかに行くと
    負傷兵?の様な格好の人が(゜o゜; 
    訳も分からず怖かったけど、気付けば戦後10年生まれ。それは有り!!だったのかぁ〜。

    1. そうそう、ぼくも傷痍軍人さんの姿は怖かったものです。
      でも父は、戦地に赴きながらも、傷痍軍人さんほどの傷を負うことも無く復員できたからか、傷痍軍人さんの前で小さく頭を下げていたことを覚えています。

  4. 昨日の夕方 座ったまま少し下を向いたらめまいが…。
    キタ〜!
    年に1回程 疲れ&寝不足&ストレスでダウンしてしまうんです。
    よりによって 餃子を焼かなきゃいけなくて。匂いでさらに悪化。
    なんとか男性陣に提供して布団に直行。
    その時に言われたひと言。「頼むわ〜。お前が具合悪くなると◯◯達が不安がるだろう⁈」
    そんな事は 私が一番わかってるのだ。だから 嘔吐と戦いながら 入浴介助もしたのだ。
    今朝 昨夜の夕食の食器等の片付けをした。もちろん洗濯も。
    でも有難い事に娘が来てくれました。居てくれるだけで嬉しくて お喋りしながら眠りにつきました。
    心配だから2泊すると。
    きっと明日には元気になってるはず!( ◠‿◠ )

    ps. 一部 愚痴になってすみません。

    1. いやいや、無理は禁物ですが・・・そんなこと言ってられない状況もお察しします。
      愚痴は体外へ吐き出して、心をすっきりさせなきゃいけませんよ。
      無理して自分に自分を偽って、決して呑み込んでしまったりせずに!

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