「ギヤマンの欠片(かけら)」No.16

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まずはぼくの楽曲「花筏」をお聴きいただきつつ、物語の世界をお訪ねいただければこの上なく幸せです。

「ギヤマンの欠片(かけら)」No.16

高遠藩江戸上屋敷の廊下には、血相を変えおろおろと慌てふためく惣兵衛がいた。

写真は参考

奥座敷から一部屋ずつ障子戸を開け放ち、中を確認して次の間へと移って行く。

「おお、定安。そっちはどうじゃった?」

中間部屋から馳せ戻った定安に、惣兵衛が問うた。

「父上、やはりどこにも若君の姿は見当たりませぬ。もしかするとまた市中へ、一人で出掛けられたのでは?」

「仮にそうであったにせよ、若君お一人でいったい何処へ?」

惣兵衛と定安の元へと、老いた中間が駆け寄って来た。

参考資料

「恐れながら申し上げます。先程使いから戻ります時、不忍池の辺を通りました。そこで若様そっくりな町人を見かけまして。でも、七つ八つの娘子も一緒でしたので、まさか若様とは思いもよらず…。それにしても良く似ているお方だなあと、そう思って戻って参りました。すると定安様が、若のお姿が見えぬと、慌てておいででしたので、もしやと思い…」

中間は惣兵衛の前で、申し訳なさ気に何度も頭を下げた。

参考

「定安、早う着替えじゃ。直ちに不忍池へ参るぞ!」

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「ギヤマンの欠片(かけら)」No.16」への4件のフィードバック

  1. 沖縄が梅雨明けしたとか
    台風シーズン前の南国沖縄へ行きたいもんです。
    沖縄離島巡りツアーなんて最高!
    岐阜は少し遠くを見れば、山々
    地平線どころか水平線も見えやしない・・
    でも、岐阜市の良い所は、岐阜城を見れば
    今、自分はどの辺に居るか、大体分かる気がする!

    1. 確かに岐阜城は岐阜市周辺の皆さんにとって、大切なランドマークですよねぇ。
      ぼくも金華山と岐阜城が見えると、自分の位置関係を知ることが出来ます。

  2. 世の中には 自分にそっくりな人が3人いるって以前から言われてるけど まだ出会った事がない。
    全体的な雰囲気が… という人に会った事があるぐらい。あと ◯◯さんに似てるね⁈ って言われたり。
    私は 双子だけど二卵性だから そんなに似てないし。
    でも 人には 祖先がいらっしゃって 枝分かれのように 遠〜〜い親戚がいたりもするわけだから 案外本当にいるのかも⁈
    もし街でその方に出会ったら 二度見三度見しちゃうでしょうね( ◠‿◠ )

    1. ぼくも子どもの頃、お母ちゃんから「自分にそっくりな人が3人いる」と言われたものです。
      わが家から少し離れた家の子で、同級生のS村君ってぇ子がいました。
      ある日お父ちゃんと近所の銭湯へ行くと、番台のオバチャンが「あれっ、S村君また風呂入るんかー。あっ、でも何でオカダさんのご主人と一緒???ありゃりゃ、いやだー、てっきりS村君かと勘違いしちゃったわ。それにしてもよー似とるねーっ」って。
      でも正直、全然似ちゃいなかったんですけどねー。
      お父ちゃんもぼくもビックリでしたーっ。

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