「マミーズ・フォレスト」(最終回)

完売御礼!!!!

皆様のお蔭をもちまして、完売いたしました。                  後は心を込めて歌わせていただくだけです。                   誠にありがとうございました!       「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

天空に長い枝が伸び、大きく広がっています。

枝のあちらこちらから明かりが溢れ出し、真っ暗な天空は星空のように瞬き始めました。

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小さな星がいくつもつながり、あっと言う間に一つの輪郭を描き出しました。

勇輔くんと美希ちゃんの記憶の中にある、いつもやさしく微笑みかけてくれた、お母さんの顔です。

お母さんが大きく両手を広げて言いました。

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『さあ、勇輔、美希。健一くんを連れてこっちにおいで』

3人は光に導かれ、大木の根元へと入っていきました。

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「ケン、ユウ、ミキーッ!」。

神社の境内に、3人を呼ぶ声が響きます。

カラスが鳴き声を上げ、羽ばたきました。

すっかり日も暮れた境内奥の森に、懐中電灯の明かりの輪が揺れています。

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「あっ、ここだ!」。

3人は苔生した平らな石の上に、倒れこんでいました。

「おい、しっかりしろ!」。

懐中電灯の光の輪に、3人の驚いた顔が浮かび上がりました。

「誰だお前ら!何をするんだ!」。

健一くんは素早く立ち上がり、光に向かって威勢良く叫びました。

そして両手を大きく広げ、勇輔くんと美希ちゃんを必死で守ろうと、光の前に立ちはだかったのです。

「ケン兄」。

勇輔くんと美希ちゃんは、健一くんの足元に擦り寄りました。

「なに寝惚けてんだよ!」。

健一くんのお父さんの声がしました。

「さあみんな、もうお家に帰るわよ」。

健一くんのお母さんの声も聞こえました。

懐中電灯の光の輪を先頭に、お父さんとお母さん、そしてしっかりと手を繋ぎあった3人の兄弟は、森の入り口の鳥居をくぐって町明かりの彼方へと消えて行きました。

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どうやら3人の兄弟は、どんな宝石や小判よりも、光り輝くかけがえの無い宝物を、この森で手に入れたようですな。

やれやれ……、サワサワ…サワサワ。

風も止んだというのに、神社の森の大楠は、恍けたふりをして、サワサワと葉を揺らしました。(おわり)

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「マミーズ・フォレスト」(最終回)」への4件のフィードバック

  1. 今の子供達って・・
    プチ冒険なんかした事なんてないでしょう
    私の子供の頃は、梅林公園の裏山
    梅林校下の人は「梅林山」って呼んでたけど
    ズボンのお尻が擦り切れるくらい
    斜面から滑って遊んでました。
    けど、流石に山には街路灯がなく
    冬なんかは暗くなるのが早いし怖いので
    マジでぇ⤴・・
    カラスと一緒に家路に向かったもんでした。

    1. 梅林公園の裏山ってぇのは、子どもたちのワンダーランドだったんでしょうねぇ。
      もう既に「腕白小僧」なんてぇのも、絶滅しちゃったんでしょうねぇ。
      寂しい限りです。

  2. 誰にも言えない 言わない 三人だけの秘密!
    いろんな発見 気付き 優しさ 大切さ…
    そして 何よりお母さんの偉大さ♡
    ワクワクしちゃいました( ◠‿◠ )
    私も疑似体験したかのように。
    心に幾つかの言葉を持つ事も出来ました。

    1. やっぱりお母さんは偉大な存在なんです。
      終生マザコンのぼくが言うと、説得力に欠けるかも知れませんがねーっ。

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