「マミーズ・フォレスト」⑧

完売御礼!!!!

皆様のお蔭をもちまして、完売いたしました。                  後は心を込めて歌わせていただくだけです。                   誠にありがとうございました!       「KIRIN BEER PRESENT’S オカダミノル ほろ酔いLive 2023 in C♭」開催決定!!! ~おつまみは各自1品持ち込み、みんなでシェアー~

『勇輔、もうお止しなさい』

「えっ?」。

聞き覚えのある優しい声が、森中に響き渡りました。

写真は参考

『健一くん。なぜこうなったのかわかるわね。神社の境内で押し潰したあのカマキリは、お母さんだったのよ。お腹には、枝に産み付けるはずの卵が一杯だったの』

「へんっ、それがどうしたんだよ」。

身体中を這うカマキリをどうすることも出来ず、健一くんは泣きじゃくりながらそうつぶやきました。

『森に暮らす全ての動物も植物も虫たちも、みんなそれぞれに役目を持って生まれてくるの。クモやネズミ、カラスにヘビだって、もちろんカマキリもそうよ。でも人間は、汚らしいとか醜いとか、自分勝手な都合で良し悪しを決めてしまう。森の神様から遣わされた全ての生き物は、森にとっての大切な宝物なの。どれ一つ、失っていい命なんて無いのよ』

「――――」。

健一くんはうな垂れ、静まり返った森に響き渡る、透き通った声に耳を澄ませました。

『健一くん、あなたは自分のお腹を満たそうと、木の実を取るために枝を折ったでしょう。木は一度その場所に芽を出したら、もう何処にも行けないの。あなたのような乱暴者が現われて、枝が折られてしまっても、その場所で命が尽きるまで生きて行かなくてはならないのよ』

写真は参考

「だってそんなこと、ぼく知らなかったんだもん……」。

健一くんは、手探りで投捨ててしまった木の実を拾い集め、抱きかかえました。

『あなたがもしこの暗闇の森から一生出られなかったら………。そしてあの枝のように片腕をもぎ取られてしまったら、あなたのお父さんやお母さんは、哀しまないかしら?森は、森で暮らす全ての生き物たちのお母さんなの。あなたに潰されてしまったカマキリも、この森の神の子だったのよ』

「……ゴメンナサイ!ぼく、もう二度と生き物や植物をイジメたり、絶対しません…」。

健一くんは泣きながらそうつぶやくと、その場にへたり込んでしまいました。

写真は参考

すると大きな木の根元から、3人を包み込むように、暖かな光が溢れ出して来ました。

「ああっ、お兄ちゃん」。

「やっぱり!母さんだ!」。

美希ちゃんと勇輔くんは、天空を見上げてつぶやきました。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「「マミーズ・フォレスト」⑧」への6件のフィードバック

  1. リスで思い出すのが・・
    某テレビ局の朝の番組「髪兎ロペ」
    あれってどう見てもアキラ先輩が主役ぽいけど
    皆さんどう思う?
    先日NHKの番組でたまたま「リス」の話で
    リスでも冬眠しないリスがいてエサが豊富な時期に
    ひたすら取って、そのエサを隠して、冬に食べ物がない時に
    そのエサを取りにいって冬場をしのぐそうです。
    けど、中には何処へ隠したか忘れて・・
    その木の実がやがて木になり実を付ける。
    自然世界って言うのは巡り巡っているんですねぇ!

    1. そうですかぁーっる
      リスにも人間同様にキャラクターがあるんですねーっ。

    1. 追加公演ですかぁーっ。
      大変嬉しいお申し出を、ありがとうございます。
      高木さんのようなお声が増えるようならば、ぜひとも検討させていただかにゃなりませんねぇ。

  2. 天空を見上げて…
    「やっぱり!お母さんだ!」
    ん〜
    【いつも見守ってるわよ!】という現実なのか? それとも 母としての直感で時空を超えて 天の神のお力添えで 健一くんを諭したのか?
    全く違ったりして(笑)
    ちょっと気になっちゃいました。
    暖かな光に包まれて…
    三人にとっても 全てが愛おしい時間になったでしょうね( ◠‿◠ )

    1. そりゃあ「お母さん」は、とっても身近な「神」に違いないと、そうぼくは信じています。
      時には子供を虐待する悪の権化のような「お母さん」もニュースで知ることになったりしますが、同じ神でもそれは邪悪な「神」だったりしちゃうものなんでしょうかねぇ。
      ぼくはこの年になっても何ら変わらず、マザコンのままです。

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