二学期が終わると、妙に心も浮き足立った。
今ほど豊かではなかった昭和の半ば。
だがクリスマスには、バタークリームのデコレーションケーキが、小さいながらも食卓に上った。

しかしその前には、避けて通れぬ通信簿のご開帳。
お小言と大目玉の儀式が待ち受けていたものだ。
クリスマスが終わると、母はお節の準備。
田作り、金団、煮物に昆布巻き。

火鉢の上ではいつも、鍋がコトコトと音を立てていた。
夜更かしの楽しみは、父と差し向かいで五目並べ。
母が煮物作りに精出す火鉢の傍らで、水でふやかす前の白豆と黒豆を碁石に見立ていざ勝負。

だがやはり父には敵わぬ。
ついに見るに見かね、母が隣で指示を出した。
「阿呆。そこやないって、そっちやわ」と、ぼくの打ち手を菜箸が指し示す。
「人のは、よう筋が見えるもんやて」と、母は岡目八目を地で行きご満悦。
挙句に「あかんて!もう、ちょっと貸しゃあ」と、白豆を奪い取った。
以来、お節の煮豆を見るたび、あの日の口惜しさが今も甦る。
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バタークリームケーキ
今の若い人は「なにこれ~ぇ?」って感じでしょうねぇ!
自分達、子供の頃はこれが当たり前だったけど・・
時代と共に食材も変わって・・
口が贅沢になって
バタークリームのケーキは食べたくない!
そもそもデコレーションケーキも食べなくなった
ショートケーキを2・3個食べた方が満足度が違う!
それと、どうしても食べられないのが
おせち料理の「伊達巻」なんか?苦手!
でも時折りぼくでさえ、バタークリームのケーキをほんの一口ほど味わってみたいと思うことがあります。
きっと両親と過ごした、誕生日やクリスマスの味がしそうな気がして・・・。
そういやぁぼくも、おせちの伊達巻は苦手です。
オカダさんの文章から、ご家族の姿が浮かんでまいります。ウチも似たようなものでした。ノスタルジーではなく、あまりにも希少価値的なものだったと考えます。
それがそれぞれのご家庭に存在した、家族模様なのかも知れませんよねぇ。
齢を重ねる度に、ますますそんな郷愁の中に身を投じたくなってしまいます。
バターケーキとゆうだけで懐かしくて幸せな気持ちになりますね。バラも銀色のつぶつぶにも夢が詰まっています。ひとくちだけ食べてみたいです。
そうでしょう!
ほんの一口くらいにしとかないと、胸焼けしちゃいそうですものねーっ。
バタークリームケーキは小学生のとき、クリスマスの給食に付いていた記憶があります。しかし、生クリームケーキの味を知ったら、もうバタークリームケーキには戻れませんでした。それほどに、生クリームケーキは衝撃的な美味しさでした。ところが、オジイになった10年ほど前、無性にバタークリームケーキを食べたくなり、ググッて知った情報をもとに通販で北海道から取り寄せました。やって来たケーキ、ほのかに、ワックス状の香りがして、期待どおりの味でした。
やっぱりねーっ。
同感です!
しかしお取り寄せの1ホールは、さすがに持て余されちゃったのでは?
わ~ デコレーションケーキ!
Happybirthday ♪♪♪
『落ち武者殿 お誕生日おめでとうございます』 ( ◜‿◝ )♡
そうかーっ。
落ち武者殿のお誕生日でしたかーっ!
場違いですが、この場をお借りして、とりあえずお祝いしときましょうかーっ。
いや、生来の卑しさゆえ小ぶりのデコレーションケーキは食べてまいました。またぞろ、食べたくなりました。気分だけでも、昭和40年代に戻れます。