ちょうど東京五輪の頃。
ちょっと贅沢な外食と言えば、一文菓子屋を兼ねた店のお好み焼きだった。

それですら、何ヶ月もかけて母を拝み倒し、やっとのことでお好み焼き一枚の小遣いをせしめたものだ。
尊い小遣いを片手に、小学校が半ドンとなる土曜を待ち侘び、お好み屋へと駆け出した。
ところが既に、店の外では近所の子供たちが順番待ち。
誰も皆、鉄板の周りの特等席に腰掛け、注文の品が焼き上がるその瞬間を眺めたいからだ。

紅生姜で真っ赤に染まったおばちゃんの指先が、仕上げの青海苔と鰹粉を振りかける。
するとお待ちかねの出来上がりだ。
そいつを小振りの篦で一口大に切り分け、そのまま口元へと運びハフハフしながら頬張る。
そんな思いが頭の中に渦巻く。
だが行列は一向に進まない。
やっと食べ終えた頃には、既に夕日も傾き出していた。
それでも晩ご飯だけは、何食わぬ顔で押し込んだものだ。
だって晩御飯を残そうものなら、二度とお好み代をせがめなくなるのは、請け合いだから。
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亡くなった父は、一銭洋食と言ってました。子供心に、ゴッツォだったと回顧してました。紅生姜、青海苔そして鰹節。写真で見るとアミエビでしょうか。美味しそうですね。醸し出される匂いにヨダレが出てきそうです。グルメよりも、子供の頃に好きだった食べ物に嗜好が変わってきた最近のワシです。むかし、広島でよく頂いた広島焼きが無性に食べたくなりました。街角の小汚いお店が作ってくれた、広島焼きは本当に美味かったです。
庶民の胃袋を満たして余りある、子どもの頃の味に惹かれるお気持ち、ぼくも良くわかります。
特に両親の面影を思い出さずにはいられないような、母手作りの逸品料理(って言ったって、大したものじゃあ勿論ありませんが・・・)は、どんなに恋しくても二度とあの味を口に出来ないもどかしさばかりが去来して止みません。
小学生の頃
子供達の憩いの場所
駄菓子屋さん・・
夏はかき氷、冬はお好み焼き、焼きそば、味噌おでん
このお店のお好み焼きの具は千切りのキャベツに天かす
肉、イカ、タマゴなんて子供達の小遣いでは到底
食べられません!
いつか、大人になったら「肉、イカ、タマゴ」
3種ミックスで食べるのが夢でした。
ちっちゃな夢やな~~ぁ⤴
ぼくが足蹴く通った「トシ君ち」のオバチャンのお好み焼き兼一文菓子屋には、モダン焼きという一番高価なお好み焼があり、子供らには高嶺の花でした。
モダン焼きとは、お好み焼きの中に焼きそばがサンドされた、広島焼きを真似たもの。
たぶんお母ちゃんにせがんでせがんで、やっとのこと一度だけ食べさせて貰った、そんな記憶があります。