岐阜新聞「 トーキングフラッシュ」2010.09.16

祇園精舎の砂時計が、ぼくの宝物だ。

わずか3センチの瓢箪型。

逆さにすると赤みがかった砂が、真ん中の窪みをすり落ちる。

写真は参考

しかし何度試みようとも十一秒しか刻まない。

以前取材で、ブッダの聖地、インドの竹林に囲まれた祇園精舎を訪ねた。

写真は参考

珍道中の数々、見るもの聞くものすべてが驚きの連続だった。

帰国の途に着く機内で手荷物カバンをまさぐった。

タオルで大切に包まれた赤煉瓦の欠片。

但し、そんじょそこらの赤煉瓦じゃあない。

祇園精舎の遺跡で拾った、ブッダの聖地の煉瓦だ。)

その煉瓦を粉砕し、この世にたった二つの砂時計に仕立てたものが、冒頭の宝物である。

だがよくよく調べ直してみれば、インド国内のどこにでも転がっているただの赤煉瓦と判明。

たった十一秒の砂時計。

だが瓢箪を逆さにすれば、ブッダの里の景色が、今も色鮮やかに甦る。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「岐阜新聞「 トーキングフラッシュ」2010.09.16」への4件のフィードバック

  1. 砂時計と言えば・・
    グラシェラ・スサーナさんの「サバの女王」
    サビの部分
    ♫あなたがいないと 生きる力も失われてゆく 砂時計♫
    思い付くのは私だけでしょうか?
    こんな歌詞のように言われたら
    男冥利 に尽きるよねぇ!
    まぁ⤴一生言われないだろうけど

    1. ぼくなんて子どもの頃「サバの女王」って、あの塩焼きのサバだとずっと信じ込んでいて、どんな大きなサバなんだろうと、結構中学に入るくらいまでは真剣にそう思い込んでいました。
      情けなやーっ!

  2. 「約11秒」の砂時計。禅問答に出てきそうな対象ですね。

    1. たったの11秒、されど侮るなかれの11秒でもありますから。
      ちょっとカップヌードルの食べ頃を見極めるにゃあ、無理がありますけどね。

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