毎日新聞「くりぱる」2004.1.25特集掲載①

今日からは、毎日新聞の「くりぱる」に掲載されたシリーズに、一部加筆修正を加えお読みいただければと思っています。

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

寒風吹きすさぶ中、8000人とも10000人とも言われる裸男たちで、町中がごった返す稲沢市国府宮。

今回の「素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)」は、『祭り』をテーマに漫ろ歩いてまいります。

旧暦、新年の「はだか祭り」に託される願いは、悪疫退散。

祭りとは、「祭る、祀る、奉る」の連用形。

差し詰めこの場合は、神々の前に禊ぎを終えた穢れ無き裸の姿と、邪念の無い清浄な心をもって出で、子どもの頃の押し競饅頭の原型を成すような、裸同士のぶつかり合いを通じ、厄や災いを一身に纏う儺追人(神男)を追い詰め、儺追殿へと封じ込める儀式を指す。

8000とも10000とも言われる裸男。

写真は参考

どんな職業で、どんな肩書きを持ち、どんな暮らし振りで、どんな生き方をしているのか?

身体を被う全てを脱ぎ捨てた瞬間、老いも若きも、文字通りたった一人の裸の男に立ち返る。

真っさらな晒しの褌と白足袋姿が、湯気を立ち上げながら揉み合う姿に、爽やかな潔さを感じる。

どこかの映画の宣伝文句では無いが、侍の国の末裔としての記憶が呼び覚まされるのだろうか?

大戦の果てに拠り所を失ったこの国の先達は、敗戦の惨めさを通り越し、正に裸一貫、潔く生き抜く尊さを学んだことだろう。

しかしそれから間も無く60年。

新年そうそうこの国は、先達が敗戦の惨めさから学んだ精神を、いとも簡単に打ち捨て、言葉遊びの果てに、再び愚かな時代への轍を踏み、玉音と共に封印されたはずの扉を開こうとしているのか?。

ご存知「裸の王様」は、愚かな王が騙されて裸になる話。

しからば、一度は封印した筈の終戦の扉を、言葉巧みに押し開こうとする、永田町のお偉い先生方よ。

一度、国府宮の「はだか祭り(儺追神事)」にお出であれ。

あなた方の考え方が本当に相応しいのか、生まれたままの裸になって、大國霊(おおくにたま)の神のご審判を仰いでは如何か。

あなた方こそ、今年の儺追人(神男)に相応しい方は、他に無い。

多くの民が抱える厄や災いを、一身に担い賜え。

いささかイラクを巡り、きな臭いムードの漂う新年ではありますが、国府宮はだか祭りの儺追人(神男)に憂いを託し、のんびりゆっくりと、漫ろ歩いてまいりましょう。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「毎日新聞「くりぱる」2004.1.25特集掲載①」への6件のフィードバック

  1. 「はだか祭り」と言えば・・
    ふんどし、だ~ぁねぇ❢
    今年も、テレビで、はだか祭りの様子をやっていたけど
    コロナの時代に合わせて、こじんまりやってましたが
    やはり、ふんどし姿でした。
    いつも思うけどさ~ぁ⤴
    あれって、万全に気を付けていると思うけど
    よく「横○ンとおいなりさん」が出しゃばらないよねぇ・・
    以前、コロナ前にケーブルテレビで、はだか祭りをライブ放送でやっていて
    司会者の人が、今年も、なんとか「横○ンとおいなりさん」が
    大人しくしていて放送が出来て良かった❢
    って、言ってた。
    マジで映ったらどうするんやろぅ?

    1. そりゃあ生中継だったら、あわててモザイクも入れられないでしょうから、あとはスイッチャーの腕次第ってぇところでしょうか!
      でもまあ生中継で映っちゃったら、そりゃあもう神聖なる神事ってぇことで、煙に巻くしかないんでしょうねぇ。
      かつてどこかの局の中継で、一瞬映っちゃったことがあったって聞いた気がしますけどねぇ。

  2. お祭りって賑やかだったり 盛大だったり 夕暮れの中のほんのりとした明るさだったり…
    昔々は 楽しさだけだったけど 年齢を重ねるにつれて 感じ方が変わってきたように思います。お祭りの由来などを耳にすると 物凄く興味が沸いたり。
    全てが厳かな感じがしますね。

    1. 幼かった日や、若かりし頃は、非日常的なお祭りでアドレナリンの噴出に抗いきれず、ただただ興奮したものでした。
      しかし齢を重ねると、お祭りに潜む古来からの物語まで、根こそぎ享受したくなっちゃうものですよねぇ。

  3. 子供の頃、毎年2月26日にさほど近くもない神社で『カッチン玉祭り』があり、深い意味も知らず毎年のように行ってました。その日は、一人でも辿り着けるくらい目指す所はみんな一緒で、へその緒を形どったカッチン玉(棒に付いた大きな飴)を買ってきます。後々、安産祈願、厄除けなどの意味があるお祭りだと知り、自分の安産祈願にも訪ねました。今年も沢山の人で賑わうといいな⤴️

    1. へぇー、『カッチン玉祭り』ですかぁ!
      知りませんでしたが、物凄く興味がわきました。
      調べてチャンスがあったら、ぼくも訪ねて見ようと思います。
      まぁ、もちろん、安産祈願じゃありませんけどねぇ。

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