2000年11月21日 毎日新聞朝刊掲載
「ニムの歯ブラシ?」
ブッダガヤを取り囲む集落の朝は、すこぶる早い。
怠け者の早起き鶏など、足元にも及ばない。
子どもらは眠い目をこすりながら、近くの井戸まで水汲みに出掛ける。
幼い子らは、さらに幼い弟や妹を背負い、竈で火を熾す母の周りを行ったり来たり。
そのうち兄弟の中でも木登り自慢が、手慣れた調子でニム(栴檀)の木によじ登り、太さ直径1cmほどの枝を折って地上へと降り立つ。
既に口の中には、長さ10cmほどのニムの枝が咥えられ、枝の先っちょを奥歯で嚙み砕いている。
そして枝に手を添えたまま、まるで歯ブラシさながらに、上下左右の歯に宛がいクチュクチュクチュクチュ。
ほかの枝は家族全員に配られ、それぞれの仕事の片手間にクチュクチュクチュクチュ。
ぼくにはそれが歯ブラシであるなど到底思いも及ばず、「もしかしたらサトウキビのように甘いんだろうか?」などと、見当違いも甚だしいかぎり。
どうにも気になって、ガイドのバサックに尋ねると、昔ながらのインド人の歯磨きに欠かせぬ歯ブラシだとか。

歯ブラシと聞いて益々興味津々。
どうしても手土産代わりに持ち帰りたいと、木登り上手な娘からニムの枝を分けてもらった。
枝の匂いを嗅いでは見たものの、別段どーってことはない。
帰国後、お調子者の友人に「これがインドのニムの木の歯ブラシだわ」と差し出すと、目論見通り彼は興味津々。
ぼくのインドの話などもどかし気に、あっという間に口の中へ。
しかも枝を折った時に生じた、ささくれだった方でやおら歯をゴシゴシと磨き始めたではないか!
「インドの人たちし、みんなこんなにも痛い思いをしながら、毎朝歯をみがいとるんか?」と訝しむ。
ぼくは敢え無く次の言葉を飲み込んだ。
「本物は枝から折ったばかりの小枝の生木。でもそれは、すっかり自然乾燥してしまった、インドの枯れ木だって!」とは、とても言えたものじゃなかった。
歯ぐきに薄っすらと血を滲ませる彼に向って!
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歯ブラシと言えば・・
自分の子供の頃は、歯磨きは上下で磨くように、教わったけど
今は、左右小刻みに、歯茎を傷めないように
力を入れないでソ~ォっと磨くんだそうですねぇ❢
知らなかった、ズ~ッと上下で磨いていた
おまけにソコソコの力で・・
油断すると長年の癖で知らぬ間に上下磨きをしている自分がいます。
「三つ子の魂まで」とは良く言ったもんです。
やはり、年と共に柔軟な頭でいましょう❢
髪の毛は柔軟なんだけどな~ぁ⤴
歯磨きの向きにしても、うさぎ跳びやら、昔は良しとして教わったものが、いつの間にやらそれがダメだったとかで、変更されていちゃって、時代の狭間でビックリさせられますものねぇ。
アレって、いったい何だったのって!
栴檀は双葉より芳し、と言うで白檀を連想していい匂いがすると思ったのですが違うのですね。ぼくが小学生の頃やで60年まえの小学生時代、サ◯スターという歯磨き会社から歯磨き啓発のためか「歯磨き体操」隊の女性陣が数名来校されたことがありました。音楽に合わせて歯磨きダンスをされて、音楽といいダンスといい面白くて面白くて皆んな笑い転げてました。
ほぐが通った小学校にも、歯磨き普及のお姉さんたちが来たことを記憶しています。
巨大な歯ブラシのお化けのようなもので、磨き方を指南くださったように覚えています。
歯磨き… これも凄い進歩してますよね⁈
昔々は 何かきっかけがあって 歯の汚れを取ろうという事になったんでしょうね⁈
我が家では 未だに仕上げ磨きをしなきゃいけなくて…。
長男には 親知らずが生えてるから とにかく虫歯にならないような集中磨き!
近い将来 二人共全身麻酔で抜歯だ〜(泣)
ぼくなんて昔、歯科衛生士さんに言われました。
「もしかしてこの歯の根元が抉れたようになってるのって、虫歯ですか?」と問うたぼくに、衛生士さんが一言。
「それって虫歯じゃなくって、歯磨きする時に力を入れ過ぎて、永年磨かれたようで、歯が削られちゃったんですよ」と。
トホホでしたぁ。