Gifu Poem「きのこ列車」と「昭和懐古奇譚」(2012.10新聞掲載)

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見渡す限り黄金色 山間(やまあい)抜けてゆるり旅

秋もたけなわ桃源郷 きのこ尽くしにコップ酒

きのこ列車の(うたげ)なら いっそ揺られて明智まで

道案内は(あき)(あかね) ハイカラ気取り(そぞ)ろ行く

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「希釈用リンス」

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「ちょっと、あんたでしょうが!お母ちゃんが大事にしとる、余所行き用のリンス勝手に使ってまったの!お母ちゃんはあとどんだけ残っとるか、マジックで容器に線引いとるで、誰かが使えば直ぐに分かるんや。それにお父ちゃんは、未だに体洗う固形石鹸で髪洗っとるんやで、犯人はあんたしかおれへん。まあそれにしても、そんな短い髪の毬栗頭に、何でリンスなんぞしなかん?色気付いとったらかんでっ!」。

母から一方的に捲し立てられ、もはや弁解の余地もない。

中学に上がったばかりの年のこと。

男女数人の同級生と、自転車で近くの公園へピクニックに出かけようとした矢先に、幸先よく?母のメガトン級の雷がさく裂した。

その後は現場検証と称し風呂場へ。

洗面器にどれだけの量のリンスを入れ、どれくらいのお湯で希釈したのか、ネチネチとした事情聴取が続いた。

先日、知人と昭和の昔話で大いに盛り上がった。

すると「いつからリンスは、お湯で薄めなくなったのか?」と大いなる疑問が浮上。

昭和40年代半ばの頃は、リンスと言えば洗面器にキャップ一杯ほどの原液を注ぎ、それを一杯のお湯で希釈し、その中へと頭を突っ込むようにして、しばらく髪を浸したものだ。

参考資料

ならば今のように、直接髪の毛に塗り伸ばすリンスは、いったい何時頃から普及し始めたのだろう?

そもそも物の本によれば、江戸時代なんぞはせいぜい月に1回、卵白や灰汁(あく)、お茶や椿油などで髪を洗ったとか。

やがて文明開化の明治に入り、「髪洗い粉」の名で、火山灰や竃の灰に粘土や白土を混ぜたものが売られたという。

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そして明治も10年以降になり、やっと「粉石けん」が洗髪に用いられたとある。

シャンプーという呼び名が、初めて登場するのは昭和元年。

「植物性シャンプー~モダン髪洗粉」がそれだ。

今度はその4年後、ライオン油脂が「すみだ髪あらひ」を発売。

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これが日本初となる、液体シャンプーで、一瓶130g入りの約10回分。

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リンスという言葉が登場するのは、昭和39年の東京五輪以降とあるが、まだまだ庶民には手の届かぬ高嶺の花。

やがて庶民の間に普及するきっかけとなったのは、昭和45年のエメロン・クリームリンス~日本縦断ふりむき娘のCM、ハニー・ナイツの「ふりむかないで」の大ヒットからだ。

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だが当時のリンスはまだ希釈用。

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現在の直接髪に塗るリンスの登場までには、あと5年ほど時代を下らねばならなかった。

♪ふりむかないで金沢の人♪と、ハニー・ナイツの甘い歌声がTVから流れ出すと、たとえ何をしている最中であろうが、一目散にTVの前へと駆け参じ、ブラウン管を食い入るように見詰めたものだ。

そしてナレーターの「ちょっと振り向いてくれませんか?」の声に続き、黒髪の美女が振り向くその姿を、瞬きもせずただただ見惚れていたものである。

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全国津々浦々の黒髪美女の中、ぼくはなぜだか金沢の人に一番心がときめいた。

ちょうど思春期の真っただ中。

街で後姿の黒髪美人を見つけると、つい後をついて行きたくなる衝動に駆られたものだ。

鼻の穴をヒクヒクとさせながら。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「Gifu Poem「きのこ列車」と「昭和懐古奇譚」(2012.10新聞掲載)」への10件のフィードバック

  1. 今!最も!!
    私が気を使っているのが
    「シャンプーとリンスそして洗い流さないコンディショナー」
    特に!洗い流さないコンディショナーは重要!
    何~~い⤴
    今更、前頭部の髪の毛、無いのに遅いでしょう!
    悔しいけど!確かに!!
    まぁ~⤴無駄な抵抗とは分かっているんですけどねぇ(涙)
    *ふりむかないで♬
    CM思いだす、あの頃は、前見てビックリ!後ろ美人が大多数だったけど
    今は、前も後ろも美人の女性が増えたような・・
    勿論!オカミノファミリーの美熟女の皆さんも含まれます!
    良かった!良かった!

    1. ふりむかないでシリーズって、胸ときめかせてみていたものです。
      あの当時の振り向いた美女の皆さんも、もうそれなりの熟女さんでしょうねぇ。

  2. このCMはよく覚えています。今でもエメロンシャンプーってあるのかなあ?

  3. 懐かし〜い!とにかく懐かしい!
    薄めて使うリンス ありましたね〜。
    洗面器に入れてシャカシャカ混ぜて(笑)
    使ってましたよ( ◠‿◠ )
    それにCMも…。
    サラサラの髪 今でも憧れます。
    少し癖毛なので 昔 ストレートパーマなるものに挑戦したけど 一ヶ月経たないうちに元通り。
    当時のCMみたいに格好良く振り向いてみたいなぁ。

    1. そうかぁ!
      女性目線であのCMを見ると、そうなるんでしょうねぇ。
      それにつけても、懐かしさが込み上げて来ちゃいます。

  4. シャンプーだけじゃ髪がキシキシしてやっぱりリンスは必須⤴️でも何時の頃からか、リンスからコンディショナーに変わって行きました。シャンプーとリンスが一緒になったリンスインシャンプーなる物もあったけど、やっぱり別々が好き。

    1. そうですか!
      無精っ垂れのぼくなんて、リンスインシャンプーって結構使ったものでした。

  5. まだ髪の毛がよーけあった頃は石鹸で洗ってました。脱脂力が強くて髪の毛がゴワゴワになってまって、指でスクことさえできませんでした。ハニーナイツの曲はよく覚えてます。今から思うとあやしい考えですが、マイク持ちのオジさんと、カメラマンのオジさんそれに雑用係の人たちでナンパする輩が出てきたりして。むかしは大らかだったのでしょうか。

    1. ぼくも子どもの頃は、固形石鹼で髪の毛を洗っていたものです。
      だってわが家にはそれしかなかったんですもの。

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