昭和がらくた文庫62話(2016.01.28新聞掲載)~「ふたりの長良川」

雪に埋もれた高鷲 夫婦滝で誓った

ふたり寄り添い生きてゆこうと 舞い上がる白鳥(しろとり)に託した

夜を明かして踊れば 八幡の城下町

このまま何処までも あなたとなら

喜びと哀しみ 幸せと不幸せ

ふたり手をとり美濃路を下る 長良の鮎がその身を任すように

長良橋金華橋 互いをただ信じて

この命果てるまで あなたと伴に

ふたり生きた証しが この川を遡る

あとは海へ還ろう 流れるままに

これはぼくが4年前(2012)に作詞作曲を手掛けた「ふたりの長良川」の歌詞。

TV番組「夫婦善哉・金婚庵」の主題歌だ。

ぼくと女性タレントが扮するぜんざい屋夫婦の店に、県内各地の金婚式を迎えるご夫婦が客として来店し、長きに渡る夫婦生活の悲喜こもごもの人情噺を伺う番組だった。

その主題歌ならばと、ぼくは岐阜県人の誇りである、清流長良川と、そこに生きる鮎の一生に、夫婦の生涯を重ね合わせようと考えた。

そして去年暮れ、12月15日にイタリアから吉報が舞い込んだ。

国際連合食糧農業機関(FAO)で、「清流長良川の鮎」がついに、世界農業遺産として認定されたという。

つまり岐阜県の「長良川」と、「長良川の鮎」を世界が認めた証しである。

長良川流域に暮らす方は元より、全県民にとってこれ程誇らしい事はない。

思えば両親がまだ、健在だった32年前。

父は前頭葉動脈瘤破裂から、2度の手術を経て、奇跡的に麻痺も残らず死の淵から生還。

ぼくはなけなしの金をかき集め、両親をささやかな旅行へと連れ出した。

長良川流域の民宿へ。

「生きてまた、こんな旨い鮎の塩焼きが食えるとは…」と漏らした、父の嬉し泣きが、そのニュースに触れた瞬間、鮮やかに蘇った。

おめでとう。

母なる長良川。

そして、美しき鮎よ。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「昭和がらくた文庫62話(2016.01.28新聞掲載)~「ふたりの長良川」」への8件のフィードバック

  1. 世界農業遺産…知りませんでした。
    鮎って いろんな生産地で育ち食されてると思うけど やっぱり水が変わると鮎の味も違ってくるのかなぁ?
    食べたいなぁ〜。
    今年こそは!( ◠‿◠ )

    1. ぼくも郡上からお送りいただいた鮎を、魚焼きグリルで塩焼きにして昨年はいただきました。
      もちろん食べきれなかった塩焼きは、身をほぐして骨と頭を煮出した出汁で、鮎飯を作って美味しくいただきました。
      しかし料理屋さんが作る焼き立ての鮎の塩焼きは、ここ数年なかなかいただいていませんねぇ。

  2. 長良川
    小学生の夏休みには自転車に乗って毎日のように泳ぎに行っていました。
    宿題の「夏休みの友」はやらなかったけど
    長良川は、わたしの友でした。
    上流の方で雨が降ると、翌日は長良橋のアタリは茶色く濁ってましたが
    そんなの悪ガキ共にはお構いなし!
    長良川は岐阜県民の誇りだねぇ!

  3. 長良川と言えばやはり夏がいいですね。鮎の塩焼きのあの香りは癖になりますね。来年こそは花火大会が観たい、岐阜の古い街並みにあがる花火は他では観られない光景ですから。

  4. 伯母の家が長良川の近くだったので 幼少の頃の夏休みは 長良川で水遊びしたり、
    時々 父親の自転車の後に乗せてもらい 姉にはナイショで おやつタイム (◍•ᴗ•◍)❤ 

    そして 長良川 といえば 鮎 
    息子は100日の祝い膳の前に 鮎雑炊を食べていたんです !!!! 
    祖母が やなに連れて行き 一口だけ! のつもりが 欲しそうな顔をして ずっと見ているから もう一口 !!
    だったらしいです〰  (ӦvӦ。) 

    私も 先日 高山に行った時 ランチで 鮎の塩焼き 1年ぶりに食べてきました
    (. ❛ ᴗ ❛.)

    1. 季節季節の地の旬は、その地に行って食すのが一番高価なご馳走ですものねぇ。
      羨ましい!

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