今日の「天職人」は、岐阜県高山市大新町の「煮たく文字職人」。(平成22年9月18日毎日新聞掲載)
飛騨高山も夏明けりゃ 饐えた臭いに咽返る 樽の古漬け塩を抜き 母の一手間煮たく文字 胡麻の油が香り出しゃ 子らも群がる勝手口 ちょいと味見と小皿出しゃ 秋一番のおご馳走
岐阜県高山市大新町、郷土料理の「京や」。女将の西村京子さんを訪ねた。

秋が忍び寄る勝手場から、饐えた漬け物と胡麻油の入り混じった、何とも言えぬ臭いが立ち込める。
「昔はそこらで、夏が終わると煮たく文字を煮る、とんでもねぇくっせぇ臭いがしたもんやさ。ましてや今年みたいあっつい夏は、も一つくっさいでかん。でもくっさねぇとうまねぇでな」。京子さんは、目を細め高笑いを連発した。

京子さんは昭和19(1944)年に、7人姉妹の末子として誕生。
「父はガンド(鋸)の目立て職人で、母は煮炊き上手な人やった。せやで近所の人や、旅館の女将さんらが、煮炊きを習いに来て、『きぬさんのお陰で、煮炊き上手になったわ』と言わはるほど。調味料なんか、手掴みでバサッと入れはるもんで、『ちょっと待って!砂糖、何グラムか計らせてもらうで』ってな調子。母は片手で塩を握ると、人差し指から中指と、順に広げながら鍋に放り込み、最後に薬指と小指の開き加減一つで微調整しとったんやさ」。
中学を出ると市内の会社に事務員として勤務。
3年後、同県郡上市でお好み焼き屋を営む姉の元に、住み込みの手伝いへ。
「しばらくしてスキーへ行ったら、そこで大阪から男2人で遊びに来とった、お父ちゃんと知りあってな」。
昭和41年、西村洋治さんと結ばれた。
「そしたら両親が猛反対でな。『大阪なんか、ブラジルへ嫁にやるようなもんやであかん!』って。仲人さんが来ても、母は居留守使うほどやった」。
結局、洋治さんが高山へ移り住むことに。
翌年、一人息子を授かった。
「お父ちゃんは、弁当屋に勤め、私は小さい喫茶店をやりかけてな。それがまたよう流行った。立ち飲み客まで出る始末やさ。そしたらその内に、『飯があったらもっと売れるぞ。食堂でもしたらええぞ』って」。
昭和57年、新潟県柏崎から移築した、古民家の貸し出し話しが舞い込んだ。
「葛屋(茅葺き)造りやで、最初は民宿でもと考えたんやさ。そしたら母が『煮ものならオラがするでな』って張り切り出して。それで郷土料理の店にしたんやさ」。

京や自慢の在郷定食には、きぬさんが伝授した郷土の煮物が居並ぶ。
中でも「煮たく文字」は、仕込から数え1年以上を費やし、やっと食卓に上る逸品である。
「く文字とは、公家言葉の漬け物らしいわ。それを煮るでそう呼ぶんやさ」。
煮たく文字作りは、塩漬けした蕪、白菜、野沢菜などの古漬けを、丸1日水に晒す塩抜きに始まる。
それを絞り、鰹や煮干の出汁に入れ煮立てる。
「昆布出汁やと足が早いんやさ」。
次に出汁を軽く絞り、胡麻油で炒めながら塩、砂糖、味醂、酒、醤油で味付けし、半日ほど煮上げれば完成。

「私ら漬け物が酸っぱなっても、ほかることようせん。もったいないやろ」。
京子さんの煮たく文字も、今が秋酣。
三三九献重ねつつ、母を慕いて煮たく文字。
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漬物ステーキは聞いた事がありますが、煮たく文字は初めて聞きました。寒い地方ならではなンでしょうね⤴️どんな味なんだろう。
それがまたまた、別物の美味しさなんですって!
古漬け沢庵は、たま〜に煮ますが、やっぱ部屋中が臭って、しばらく大変です。
それでも「煮たく文字」は初めて知りましたね〜っ。美味しそう!
ご飯何杯もイケちゃいそう。
何より、お酒が進みそぉ〜っ!!
とんでもなく罪な、ごっつぉですなぁ!
onaka hetta !
女子はお漬物が本当にお好きですよねぇ。
ぼくはキュウリやナスの糠漬けと、野沢菜に壬生菜くらいなもんです(汗)
我が家では、白菜の漬物に飽きたら、味噌煮で食べます。
これもまた、田舎料理で美味しい⤴
私も「茄子の糠漬け」大好き!
でも、私の周りには、茄子の皮の食感が気になるらしく嫌いな人が多くて!
中々口にする事が出来ません!
美味しいのにねぇ!
ナスの皮って、キシュキシュって、そんな音が確かにしますものねぇ。
白菜漬けの味噌煮ですかぁ!
これまた郷土色がたっぷりで上手そうですねぇ。
❖ 煮たく文字 ❖
懐かしいですね〜 幼少の頃 明治生まれの伯母がよーく作ってくれましたが『 漬けもんたいたよ〜 』と言って出してくれていたので まさか 煮たく文字 だなんて初めて知りました
( ◜‿◝ )♡
京やさんには 10年程前 飛騨桃を買いに行った時 友達に連れて行ってもらい
、漬物ステーキを初めて頂いたのも京やさんでした あの煖炉の前で飛騨牛の網焼きや鮎の塩焼きも美味しかった (✿^‿^)
蕪の柿酢漬や古漬もお土産に買ってましたが 4〜5年くらい前から 海外の観光客の方に大人気で 週末のランチ時間帯は行列 お漬物のお店も閉店
ちょっと淋しいです •́ ‿ ,•̀
そうでしたか!
京やさんをご存知でしたか!さすが美味しい喪のと酒に目がないハートさんですねぇ。
確かに海外からの観光客で、高山の町は賑わっていましたものねぇ。
ところが今度はコロナでまたしても一変!
早くコロナが終息して、マスク無しで高山散策と洒落込みたいものです。
これまたお初です。
古漬けを炒めて食べた事はあるけど 煮た事はないなぁ〜。
昔の人の知恵なのか 無駄が無いし よく考えられてますね。
風情あるお店で日本酒片手に 頂きたいものです。
いつかきっと( ◠‿◠ )
フードロスの最たる取り組みですよねぇ。
何もかも最後の最後まで、大切に味わい尽くすと言う、精神文化が根付いていた証かも知れませんよね。
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